Sさまに過去に桜で染めた糸で織った、無地の紬のサンプル
を見ていただいたのは昨年の秋のこと・・・。工房までおいで いただいて、糸を見ていただいて。色味のご希望を伺って。 クニヒサ、たて糸を染めた段階で一度糸サンプルをお送りし てはたにセットしてから、よこ糸は濃淡2パターン染めて。 Sさまの最初のご希望は、濃いほうの無地に近いけど、淡い 無地も試し織り。更に、3越しずつ濃淡で入れたパターンと、 2越しずつのパターン・・・と。4種の試し織りで先日やっと サンプルを、Sさまにお送りできました。 昨日、Sさまからお電話いただいて・・。「だいたい決まった のだけど、せっかくだからもうチョット悩んでイイですか?」 喜んでいただけて・・二人してホッとしたのと同時に、とても 嬉しくなりました。 織物をはじめて勉強した、10代の終わり。 とてつもなく面倒臭い作業の連続のあげくの果てに・・・(笑) こんなに『どうってコトないもの』しか出来ないのかぁ・・と つくづく嫌になって、つくづく面白いと生意気にも思いました。 自分にしか出来ないモノがもし、あるのならそれを作り出せ る人になりたいと思っていた、ティーンネイジャーだったから。 カンタンにカタチにならないもの。 カンタンに自分らしさが出ないもの。 織物を、知れば知るほど・・『無地に始まり無地に終わる』と いう言葉の意味を思い知るコトになります。 『誰が作っても似たようなもの』かもしれないけれど、確実に一つだけ言えるコトは、『似ていても誰かが作ってる限り全部違う』という至極当たり前のコトが、20年経って出た結論なのです。 Sさまの桜の紬、たて糸は宮坂製糸所の玉糸(双子の繭の座繰り糸)が実にイイ節味になる予定です。写真の色が実際の色とはチョット違うのが残念ですが・・。
by senshoku-iwasaki
| 2012-04-10 21:28
| 着尺・帯
|
ファン申請 |
||