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古袱紗といえば・・・の宝物。
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「えっちゃんが!?ほんにお茶習いたいんか?ほぅーか。ほぅーか。
私な、おまんには言わなんだけどな。本屋の奥さんからおまんがウチに来てすぐに
表と裏千家のそれぞれの解説本、買うとったって話聞いとって知っててん。
感心やわーって話してたんやで。・・・そやけど、おまんの性格からすると。
おまん、ホントは花嫁修業みたいな習い事、大っキライやろ?」

織物を勉強しに18で行った郡上八幡で、郡上入りした翌日の郡上散策で見学させて
もらった『齋藤美術館』。そのときに館主のご主人に、なんでか・・・受付のアルバイトに
スカウトされて。すっかり齋藤家の一員のごとく(笑)、出入りさせていただいていた私。
いやぁ。何が感激って、齋藤家の建物は町屋づくりの商家、それは立派な古建築で。
齋藤家はもともと・・・郡上のお殿様とともに茶人としてやってきたご先祖さまから始まって。
14代目のご主人は、お婿さんで。
えっちゃん、えっちゃんと・・・私を娘のごとく可愛がってくださった奥さんが齋藤家の血族。
郡上八幡町は、小さいけれど文化的な町で。町内で大体のものは揃うし、なんの不自由も
無かったのだけれど。齋藤家は町の中心に君臨していたし、齋藤さんの小母さんも中心的
存在の方だったので、何でもバレちゃうというのが難点といえば難点だったけど(笑)。
美術館では、代々の齋藤家のお茶道具を展示しているものだから、バイトの受付とはいえ
それらのお道具がどうやって使われるのかぐらいワカラナイのもどうかと・・・。
私なりに考えて・・・小母さんには、お免状が欲しいワケでは無いというコトと、
学生の体験の一環で教えて下さるどなたか・・・良い先生が町内でいらしたら紹介して
いただけないかと相談したときの小母さんの反応。
小母さんは、眼を細めて喜んでくれて。すぐさま素敵な先生を紹介してくださり・・・
お陰で私の郡上留学が、本当に充実したのは言うまでも無く・・・。

「ちょっと待って!お茶習うなら使うから、おまんにコレあげる。」
差し出されたのがこの古袱紗。
「私のお祖母さんの丸帯から作ったんや。チョット小さいんやけどな。私とお揃いや。」

小母さんはいつも心配そうに。
「おまん、学校卒業したらどうするんや?」
「おまんにとっちゃ、大先生の宗廣さんかて・・・そりゃぁ苦労なさってたんや。
そんな世界で、ほんまに生きてこうなんて思うとるん?」
実家の母よりよっぽど小うるさく(笑)、私のアパートの部屋がぐっちゃぐちゃなコトや
買い物の仕方に関して・・・私の将来を心配してくださった方。
反面。
「えっちゃんを見てるとな、ほんに羨ましいんや。おまんはどこまでも自由で。
そやけど、そんなんでおまんが女として幸せになれるんやろかとも思ったり・・・。」

小母さんには、旧家の血筋がゆえのご苦労も当然あるわけで。
郡上八幡で、齋藤家を継ぐために祖父母に育てられたのだとそのとき聞いて。
この古袱紗には、天国の小母さんと小母さんのお祖母さまが一緒に鎮座されてるようで。

25年ほど昔の、私(エツコ)の郡上時代の物語。
大好きな小母さんの古袱紗は、私の宝物。
by senshoku-iwasaki | 2014-01-05 21:31 | iwasakiの持ち物
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