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絞り絣八寸帯地 『corona』。
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私(エツコ)の、郡上での学生時代の話。
偶然の出会いから・・・それまでの私にとって見たこと聞いたこと無い、初体験を
沢山させていただいた、『齊藤美術館』の齊藤家。
齊藤家の玄関に入ると、8枚はぎ(・・・だったような)の齊藤の文字を抜いた藍染
めの暖簾をくぐりまして。
広ーい土間、ぐるりと広ーい板の間に2畳半くらいのサイズの敷物がありまして。
古いものなんだろうなぁ。なんか柄もよく解んないけど、キレイでもないなぁ・・・。
それより。使わない、部屋じゃない部屋のこの空間、すっげぇなぁ。贅沢だなぁ・・・。
と思ったのが、一番最初のその敷物の印象。
それから何日かして・・・。
ある日のある時間の、表の格子戸から降り注いだ光を浴びたその敷物を見た瞬間。
衝撃が走る、とはこのコトなのかぁ~!とビックリして二度見ならぬ三度見をして。
近づいて、手にして繁々と見せてもらっていたら・・・。
「これな、宗廣さんが昔な、反物と交換してくれんか?って随分頼まれたんやて・・。
今となっちゃ、交換しとってもよかったかもしれんけど(笑)。ご先祖さんが大事にし
とったもんやったで、こうしとるんやけど。
おまん、18歳で鍋島段通わかるって流石やなぁ。」小母さん。
「鍋島段通って言うんですか?」
「知らんのにイイと思ったんか?何でや?やっぱりおまんは面白いコやなぁ。」
あのときに。
ぱっと見の印象、じっと見の印象、ある瞬間の劇的な豹変・・・それは底力のあるモノ
にしか現れないのかもしれないのだけれど、その瞬間に出会ってしまったら!!
そんな織物を、いつか自分も作りたい・・・と思ったあの日から28年目。
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「絞り絣」とはiwasakiの造語。
ほぐしの技法で、タテ糸を機にセットしてから・・・仮に木綿でさっくりと織ります。
一度布の状態にしてから、絞り染めの要領で染色します。
色を染めたいところから、染めたくない部分をギュッと絞って、絣をつくるときの
ようにビニールをかけてポリエチレンの紐で括りまして・・・染めるのですが。
今回何がしたかったかというと・・・。
タテ絣でもヨコ絣でもない、ぼわーんとした絣。そうです、コロナのような。
そんな絣のなかに、織りを閉じ込めてみたかったのです。
二人がかりで、ものすごく手間をかけて、ビミョーなモノかもしれないけれど(笑)。
『作品』といわれるような、立派なモノにしたくなかったのです。
なので、カジュアルな八寸で。
記念日でもなんでもない、とびっきりのフツーの日を彩るモノで。
最終的に織ったのはクニヒサ。
この帯、不思議なくらい見る角度で見え方が変わります。
どうしたものか・・・。
織るときの真正面上からの距離が、一番ビミョーに見えるのです(笑)。
「あのぅ・・・エツコさん、これ・・・大丈夫ですかねぇ?私には使い込まれた古い
鍋島段通みたく(薄汚れて?)見えるんですけど・・・。」
あっ!!
だったら大正解!・・・・かもしれない。
by senshoku-iwasaki | 2015-10-08 19:36 | 着尺・帯
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