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送り出し布。
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送り出し布とは、機にタテ糸を結びつけて・・・
なるべく綜絖の近くまで、同じテンションで織る
ことができるよう、チキリというタテ糸を巻きとる
筒にくっつけた布のコトでして。
カセットテープなら、始めと終わりの巻取りの
部分みたいな箇所でして、丈夫なキャンバス
地で出来ています。(写真下)
これが出てくると、おぉぉ。もうすぐ終わるぅ~!
と、がんばるパワーが湧いてきます。

今年初めに、立て続けに広幅の機のほうで
銀河シルクの山形斜文の八寸帯地を織った
のですが、その最後にビリリっ!と糸を結んだ
鉄の棒が、キャンバス地を切り裂いてしまって。

なんといっても。
25年使い続けてきたものなので愛しく。
2週間ほど夜な夜な・・・補修の刺し子しまくり。
糸をかける鉄の棒が入るところを、二重にして。
我が家のミシンは、昭和の足踏みで。仕事場
の明るい窓際に鎮座しているものだから・・・。
夜は仕事場は寒いので、リビングで手縫いに
なりまして。広幅の送り出し布は、90センチある
のでチクチク甲斐がありました(笑)。
これであと30年は使えそうです。
あとは、こちらがあと何年現役でいられるか・・・
ですけれど(笑)。

破れた部分を切り落としていたら、今年中2に
なる息子が「25年かぁ・・・。んで、直したらあと
何年くらい使えるもんなの?」
「送り出し布は、結構長いからね。まだまだ50年
でも大丈夫じゃないかなぁ・・・。」私。
「次切れるかもしれない25年後には・・・オレ39
になってるね。髪の毛大丈夫かなぁ?」嬉しそうに
最近薄毛のクニヒサを眺めながら・・・(笑)。
「あーたたちが独立して出て行ったら・・・アタシ、
うちにペッパーくんを導入しようかな?」私。
「えっ!?かぁちゃん、ペッパーくんに機織り教える
の?・・・なんか、面倒くさい機械化だね。」息子。
「うん。お父さんとアタシが死んだあと、ペッパーくん
がココで機織りしてるの。なんか泣ける?」
「いやいや・・、鉄拳のパラパラマンガなら、子ども
たちは、ぐれて家を飛び出してるパターンね。」
クニヒサ。
「あ、そうそうイイね!んで、風の噂を聞きつけて帰
ってきたあーたは、機織りしてみようとするんだけど、
不器用だから、ペッパーくんに『アナタハ、コノシゴト
ニフムキデス』ってダメ出しされるの(笑)。」私。
「エツコさん、ペッパーくんって足ありました?踏み木
踏めなきゃ、織れませんよ。」クニヒサ。
「えぇ~っ!残念!あと10年くらいで進化するコト
を願おうかな・・。」私。

この機を購入した21歳のときには、25年後は
もっと未来っぽいミライかと思っておりましたが。
まさか、明治建築の気密性ゼロの寒い工房で、
こんなバカな会話をしてるとは・・・思ってもおりま
せんでしたが。人に癒しをくれるかもしれない、
アトムのような人型ロボットが、販売されてると
いうことは、やっぱりミライになっているんだなぁ・・・
と実感してみたり。
どんな時代になっても、誰かの心に寄り添うよう
な織物を、まだまだペッパーくんに頼らずに(笑)、
クニヒサと二人でこの機から生み出したいと思い
ます!

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by senshoku-iwasaki | 2016-03-01 22:01 | 道具
きつつき工房さんの『綜絖通し』。
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先週のこと。
『甕垂』な八寸を、もうすぐ織り上げ・・・なクニヒサと、Kさまの地紋のある紬をもうすぐ織り上げ・・・
な私(エツコ)。お互い一越一越の、越し数を数えながらなので、いつもの機上会議も機を降りてから(笑)。
「次に掛かる準備なんですけど・・・。」クニヒサ。
「順番はわかってるんだけどね。」私。
「地紋のある・・・を、変化させたいんですよね?」クニヒサ。
「アタシじゃないのよ、ちっちゃい神様が言ってるんだわ。あーた聞こえない(笑)?」私
「私には聞こえませんけど・・・。じゃ、やりますか!」

・・・てな展開になりまして。
『甕垂』のあとに取り掛かる八寸は、銀河シルクの山形斜文の八寸になりまして。
それを進めながら、地紋のある紬の新バージョンに掛かろうというコトに。
新しい銀河シルクは、ツヤツヤ感を活かしたクリーム色で。

iwasakiでは糸の染色、糊付け、整経、綜絖(そうこう)通し、筬(おさ)通し・・・はクニヒサの担当に
なっておりまして。(あらあら、いつの間にか・・・ほとんどクニヒサの担当に!?・笑)
『綜絖通し』という、この小さな道具も、掛かる糸の太さに応じて4種類ほど使い分けています。
無撚りの銀河シルクには、きつつき工房さんのこの、綜絖通しでないと。
「先端の、引っ掛ける丸い部分が、糸を割らないんですよ。エツコさーん、聞いてます?」クニヒサ。
「なるほど、なるほど・・・聞いてる聞いてる!」
クニヒサが準備中の間、私は工房のウール糸を全て防虫剤を入れて衣装ケースに収納して・・・。
せっせと・・・屋根裏の糸保管場所に運び込み。
掃除機をかけて・・・今度は生紬の砧打ちを。やっぱり京都製の桜の布用砧は使いやすいなぁ・・・。
お道具のチカラも借りて、二人で手分けをしながら・・・少しずつ前進しております。
by senshoku-iwasaki | 2015-01-28 21:09 | 道具
いつの間にやら・・・増えた杼(シャトル)。
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23年前に4丁ずつ、二人で8丁の杼から始まったiwasakiの杼。
ウール用の大きな投げ杼や、板杼。絹用も紬に向く杼、薄物向きの杼・・・
後から買い求めたもの、織物を辞めた方から戴いたもの・・・
いつの間にかイロイロ増えておりました。
もともと私たち、『コレを織るためにはコレっ!』みたいな融通の利かないタイプ(・・・じゃなかった・笑
マジメなタイプではないので・・・)なるべく互換性のあって、使いやすいが一番!な、人たちのですが。
それでも織るものによって、気分によっても!?(笑)京都や、北欧の職人さんが作った手作りの
これらの杼に、たくさんパワーをいただいております。

投げ杼は特に。
左手から右手に、右手から左手に。その重さや、手触りを感じながら一日中繰り返すもの。
sunriseショールのように、たくさんの色糸を一越ずついれていくようなときには・・・10丁以上の杼を
使ったりします。そんなときにも糸の色を見る前に、手にした杼の重さでどの糸かだいたいわかります。
iwasaki、織り手は二人しかいないのに(笑)機は4台使い分けていたりするので・・。
これだけあっても足りないときもあったりします。

この3日ほど・・・。
次にかかるタテ糸の準備やら、機にセッティングやら、お天気の晴れ間に糸の染色やら糊付けやら・・・と。
ぽっかりと3台の機が空いた状態でして。久しぶりに大掛かりに(!?)工房のお掃除が出来ました。
キモチよくなったところで・・・私(エツコ)は、今日からご注文の綾織りの紬を織り始めました。
今回は赤い樫と、白い樫の杼で。紅白で縁起がよいかも!?と。
何度となく織った組成のものでも、織物はいつだって自分を、思い上がらせてはくれないので(涙)。
1,470本のタテ糸の、一本一本の声を聞きながら・・・見覚えはあるけど、初めての旅に出るキモチ
でガンバリマス!
by senshoku-iwasaki | 2014-07-09 22:00 | 道具
6台目の機。
f0177373_2058454.jpg縁あって昨年手に入れた機は、『三つ道具
式』と呼ばれるカタチの手機でiwasakiでは
まだ使ったコトが無いカタチ。
踏み木が8本まで増やせそうなのでこの度、
きつつき工房さんに8枚綜絖専門用に・・・
パワーアップしてもらいました。
8枚綜絖の織物なんで、クニヒサ専用だと思
いますが。私(エツコ)は、多綜絖の織物、
何が苦手って、綜絖に糸を通すときに間違え
やすいのがひとつ。綜絖がぶれて開口が
開き難くなると、タテ糸を潜って・・・
トビ目になってしまったり、またほどくのも大
変だったりと。織物は気が長くないと出来な
いので、私もかなり気は長いのですけれど。
それでもコレは、クニヒサの担当かな(笑)。
きつつきさん、8枚の綜絖がぶれ難いように
綜絖を吊るロクロを、シーソーのように作り変えてくれ・・・中古の道具に、新材が入って生
き返ったみたい!20年以上使われずに解体され押入れに眠っていたという機。8枚の綜絖が使われるコトの無かったこ
の機で、iwasakiで作りたいと思うモノは・・・懐かしくもあり、新しくもある工藝的な織物!!
・・・でもきっと、織るのはクニヒサ。
by senshoku-iwasaki | 2013-07-05 22:53 | 道具
今は織物の赤ちゃんの赤ちゃんが入っています。
f0177373_19442262.jpg息子が生まれる前に、お下がりで戴いたクーハン。
退院したときも、1ヶ月検診も・・・確かにココに入っていた
ハズ・・・なんだけど。11年前は。今や50キロ級の特大小5。
あーあ。あの頃は可愛かったなぁ・・・っけかなぁ!?(笑)
眠りが浅いのか、すぐぐずってぜーんぜん仕事させてくれな
かった第一子とは違って(笑)、その2年後にココに入った娘
は、この中でもよーく寝ておりました。機場の横で、この中で
スースー眠る娘は、まるでエジコで眠る時代劇の子供のよう
だったのを・・・ぼんやり思い出します。

綾織りの紬着尺、二反掛けで織っています。一反目はご注
文のグレー。ようやく・・明日にも織り上がりそうです。二反目
は、色味の違うグレーで・・・と思っております。
不思議なコトに、10日前あれほど眼を悩ませたタテ糸が・・
今は全部見えるのです。眼が慣れるのだとしたら、まだまだ
織れるうちに織っておかなきゃ・・・と。クニヒサが『ぜんまい』
で準備中のこの糸は、この次の次にかかる綾織の紬のタテ
糸です。そのタテ糸を巻き取る、木枠がクーハンに眠ります。
「エツコさん、ホントに今度も二反分掛けるんですか?ご注文
分の一反でもイイんじゃないですかねぇ・・・?」クニヒサ。
実は、原料の絹糸も高騰中。中でもまわたのつむぎ糸の高
騰は昨年から続いていまして。う~ん・・。でも作りたいなぁ。
無地のようで無地でない、綾織りの無地はまるで江戸小紋
のようなタレ感があり、平織りとは違う魅力に満ちています。
                                   iwasaki、今年の秋冬のオススメ着尺となりそうです。
by senshoku-iwasaki | 2013-06-17 21:15 | 道具
今年は何故か、昭和製モーターに縁があります。
f0177373_2018284.jpg新シリーズのショール、『sunrise』は進化中。
大きな段のぼかしが、ビミョーに変化してゆくのだけれど。
この夏に縁あって譲り受けた・・機道具の中にあった、自動
の大管巻き機。
大管(おおくだ)は、通常タテ糸を整経するときに使う道具。
iwasakiでいつも使っている、木枠よりも糸に撚りがかからな
いというメリットがあるのだけれど、管にタテ糸を手動で巻く
のは周囲が細いので大変疲れる・・・というデメリットも(笑)。
『自動大管巻き機』の存在は知ってはおりましたが、20年前
の駆け出しの私たちが揃える道具としては、高額だったのも
あって諦めた道具のひとつ。
それが有る・・・となると、使わない手はないっ!・・・と。でも
整経はキホン、iwasakiではクニヒサの担当なので(笑)。
とりあえず着尺で残った、ヨコ糸のつむぎ糸をイロイロ巻い
て。柔らかな植物染めの色糸を、組み合わせて織るコトに。
より複雑に、よりビミョーに変化してゆく『sunrise』。
織物で、いろんなコトを試してみたいと思うと、道具が増える
のは仕方の無いコトで。それを、増やさずストイックにモノを
作るのもひとつの生き方。でも、チョットの工夫と努力(!?)
でいろんなやり方を発見できたらもっと楽しいっ!
もっと楽しくもっと自由に・・織物力のあるモノが作りたくて。
たまたま私たちのところにやってきた・・・新しいご縁の道具
たちと面白い発見をもっとしてみたい・・・と思う日々。
by senshoku-iwasaki | 2012-11-06 21:34 | 道具
いろんな杼(シャトル)。
f0177373_20595992.jpg今、iwasakiでは一年の中でも
一番いろんな素材を同時期に
使うときでして。
工房にある、4台のはたには全
て糸がかかっている状態。
織り手は二人きりなのに(笑)。
着尺に帯地に、ショール地に
マフラーと。それぞれ絹糸でも
太さも違うし、ウールなら尚さら
なんだけど・・・。ここにある他
にも10丁くらいあります。でも
元々は、こんなにはなくて。
少しずつ作るものに合わせて
買い足したり、縁あって譲り受
けたものだったりとイロイロ。
最近譲り受けたお道具は、
30年ほど前に、紬織りの大家について学んだ方のもので。ご結婚とともに20年以上しまいこんでいたというもの。
ほとんど使っていない、まっさらな杼に、『昭和54年12月』なんて文字を見つけて・・・。
私が今の息子と同じ、10歳のころ、33年後にこんな出会いがあるなんて!人生って、思いもよらない出来事の
連続なんだなぁ。その10年後に織りの道に迷い込んでしまった・・・私たち。
『続ける』コトが出来るのは、とても幸せなコトなんだけど。
女の幸せとなると・・どーなんだろうなぁ・・・。安定とはとても言い難い(笑)、相変わらずのiwasakiのいかだ舟(涙)
いやいや・・・いろんな素材の、いろんな人の夢を乗せたシャトルで宇宙まで(!?)ガンバッテみようと思ってます。
by senshoku-iwasaki | 2012-09-20 22:11 | 道具
モーター付きカセ上げ機。
f0177373_1952165.jpgぜんまい』のときに、iwasaki
初のモーター付き・・・と言いつ
つ。あれ!?まだあった!
もう10年以上前になるけれど
お世話になっている、Nさんに
いただいたものです。
木枠や、コーンなどに巻いた糸
からカセに上げる・・というコトは
ウチでは、そうたくさんはないの
だけれど。たまにあるのです。
そういうときはホントに便利!
こちらのメカは、多分最近・・・
平成生まれかな(笑)。ものすご
く静音タイプ。この辺りの古い
民家で明治と大正くらいの差
を感じたのは私だけ!?
by senshoku-iwasaki | 2012-09-07 20:59 | 道具
『ぜんまい』、早速稼動。
f0177373_19273479.jpgブォーン、グルグルグル~ッ!!
おぉぉ・・・昭和製モータ音もたまらない・・・(笑)。
小森さんが絶賛していた、糸のカセから木枠に上げる際に
糸を『振る』、『木製手振り』が確かに『イイ仕事』をします。
「これをな、作っとた機料店がな、ほんまええ仕事をしよっ
たんや。なくなってもうたけどな。コレは当りやで~。」
小森さんの、そんな声が聞こえてきそう。
ホントに、構造はいたってシンプル。モーターこそあれど、
他は全部木製で、手作り感あふれるボディに、創意工夫
が溢れています。
今回は、サカタとのコラボ商品、裂き織りのトートバッグ
フタタビノフクロ2012』のタテ糸の準備に使用。
3カセ同時に木枠に上げたのだけど、途中糸がスムーズに
出なくなると、引っ張りすぎるコトなく・・・その枠だけ止まり
ます。なので、糸が切れたり綾が乱れるコトもなく手巻きと
同じように巻いてくれます。
おそらく・・・昭和40年代に一番働いていたこの道具。
染織iwasaki初の、電動式道具。カイコ趣味なんかじゃあ
りません。道具は、使われてこそ。
コレを導入して、ビックリするほど仕事が捗るか?っていう
とそれはどうかわからないけど(笑)。
iwasakiらしい使い方で・・永らく一緒に仕事をしたいです。
by senshoku-iwasaki | 2012-08-30 19:42 | 道具
『小森虎機料店』
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23日、京都へ『ぜんまい』を受け取りに行ってきました。
中古機道具を扱っている小森さんに
「コンパクトな『ぜんまい』が入荷出来たら連絡下さい。」
とお願いしたのが8月1日で・・・、8月2日に
「良いのが入ったでぇ」とお電話くださいました。(笑)

『ぜんまい』という道具は、カセ状態の糸を木枠に巻き上げる糸繰り機でして。京都ではなぜか『ぜんまい』と呼ばれています。『ぜんまい』の話はまた改めてするとしまして・・・

小森虎機料店、織物をされている方からいろいろと頼られており、月に一度くらいは九州出張に、今月末には山梨の勝沼まで、織り機を納品に行くとおっしゃっておりました。伺った時にも頻繁に電話が鳴って、とてもお忙しそうでした。

メイドインジャパンを支えている京都soul!な機料店、
私にとってはかなりのパワースポット、また参拝させて
下さーい。


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by senshoku-iwasaki | 2012-08-24 22:35 | 道具