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結び初め。
f0177373_20543455.jpg機織りをすると必ず出る、切らなければならないタテ糸。
織物を初めて勉強した、25年前から一度だって捨てたコトは
ありません。
だって・・・捨てたら、次に繋がらない!そんな気がして。
いつだって手指は止めない、ビンボー症にピッタリの内職。
ショールのタテ糸は、着尺や帯のタテ糸より太いので繋げる
と、わりと早く貯まるので。今までもストールやマフラーの
ヨコ糸に使ったりしてきましたが。着尺の糸となると・・・。
繋げても繋げても、再び着尺に活かすくらい貯めるのは至難
のワザ(笑・でも、ホント)。過去に着尺の繋ぎ糸を使って織っ
たのは10年くらい前に遡り・・。それも紬のスーツ地でした。
・・・ってコトは、10年に一度くらいの、ある意味大作(笑)。
百貨店での催事のときなどは、忙しいのが理想なのだけど
意に反して(!?)ヒマな時間が多いので(涙)。
この内職を、立ちっ放しにもかかわらず・・・黙々と続けるの
が私(エツコ)のもう一つの仕事でして。
昨年も新宿伊勢丹だったかなぁ・・・。シコシコ繋げていたとこ
ろ・・・10年以上お付き合いいただいているMさまが。
「今度コレ、いつ着尺になる?」
「うーん・・・。結構繋げているんですけどねぇ。まだ足りませ
んねぇ。でも、百貨店でコレを稼いでいちゃダメですよねぇ。」
「いえね私、次はその繋ぎ糸の着尺欲しいと思って。」


f0177373_20552219.jpgMさまの着尺や帯、はたまたekkaでコートやジャケット地
・・・と。今までにもイロイロ作らせていただきましたが。
とってもお洒落なMさまは、超有名トップブランド服や靴や
お帽子にバック・・・だけどどれもブランドで選ぶってコトが
無く。ご自分のセレクトで・・・その中に、iwasakiやekkaが
入っているという・・・この奇跡(!?・笑)
「私もさ、ここまで来るのに寄り道をイッパイしたんだけどね。
結局、『何でも兼ねられる』ってのは一番つまんないコトなん
だと思ったのね。そうなると『何にも兼ねられない』ってコトと
同じになっちゃって。だったら、エツコさんみたいに『日常着』
や、『労働着』として割り切って着るのってサイコーに『贅沢』
だよね~って。ホラ私、他に着るモノいっぱいあるし。」

正月早々なんだけど、Mさまのお誘いでこの着尺の打ち合
わせを先日、クニヒサも一緒にさせていただきました。
「繋ぎ糸をタテにも散らしたモノは、結び目がぬけ易いので
古い物でもボクもあまり見たコトが無いので。せっかくなの
でタテヨコで散らしましょうか。」繋ぎ糸を作らないクニヒサ。
「キホンいつもどおり、全部お任せするわ!」Mさま。

心あるお客様に支えられて・・・2013年もはじまりまして。
なんだかよい年になりそうです。
でも、繋ぎ糸づくりにやっぱりクニヒサ関わらず。(何で?)
結局、エツコの内職初め。
by senshoku-iwasaki | 2013-01-05 23:17 | 工程
整経。
f0177373_185512.jpg世界のグーグラーじゃなかった、iwasakiの『グルグラー』
といえばクニヒサ(笑)。
カセから木枠にグルグルグル・・・と、回転数を数えながら
巻き上げるのだけど。先日手に入れた、『ぜんまい』だと
とりあえず木枠に上げるところまでは・・何カセか同時に進
めることが出来はしますが。そこからもう一度、整経に必要
な量=回転数分巻きなおす・・・という作業になります。
iwasakiでたてるタテ糸の長さは、長くても全長25mくらい
ということがほとんどなので、小分けしないとならないのが
残念といえば残念なわけだけど、ほぼ毎日のようにクニヒ
サ『ぜんまい』を稼動させております。
これは次にかかる、昼夜織りのマフラーのタテ糸でシルク。
ヨコにはウールが入ります。こういうツルっとした、絹糸は
『ぜんまい』は得意みたいだったけど、今日かけた着尺の
タテになる、玉糸は苦手だったようでクニヒサ、つきっきり
の糸巻きとなりました(笑)。さすがグルグラー。
機械まかせだけには出来ないって感じの背中(笑)。
『ぜんまい』のグォ~っというモーター音が、『生産中!』
と言ってるようで・・・なんだか活気付いているような気に
なってるつもりのiwasakiなのですが・・・。
家内制手工業化にはナカナカなれそうもありません。
by senshoku-iwasaki | 2012-09-10 21:18 | 工程
検品。
f0177373_19175197.jpgやっと織り上がった・・・
Mさまのシルクのインバネスコート地。
生地幅約95センチの、無地なんだけど無地じゃない・・・
この生地。筬目に入った、タテ糸は同系色で細い縞なん
だけど、本数が違うので見え方が違って見えます。
ヨコ糸は野蚕系の玉糸で、カセによってはちょっと扱いに
くかったりして(笑)クニヒサも思ってたより、時間がかか
った様子。生地幅が広いのも、右と左で同じテンションに
するのも難しいのです・・・。アーチが問われる仕事なの
で、広幅はクニヒサの担当の一つ。

まだまだ残暑の続く日々ですが、秋冬に向けて・・・
私(エツコ)も暑苦しい(!?)ショール、ネックウェア地
などなど・・・制作中。

今年12月のギャラリー工さんでの、『ゆきかうもの』は
15年目にして、工さんではひとまず最後の展覧会になり
ます。盛りだくさんの15周年記念の『ゆきかうもの』にし
たいと思っております!!
by senshoku-iwasaki | 2012-09-03 20:44 | 工程
伊勢丹での催事は今週も・・・。
続いておりますが、後半はiwasakiブースも『布きれ・やました』さんにおまかせをして。
山梨の工房に私(エツコ)は戻ってまいりました。
家のことも子供等も、私が一週間くらい留守にしていても・・・なんにも問題無いのですが。(トホホ・・)
仕事場のほうも、クニヒサがイロイロ・・次の次にかかる作業まで準備が進んでおり・・・。
クニヒサ、父親っぷりも仕事っぷりも・・どうやら私が居ないほうが良い様子(笑)。

新作の着尺は、以前にグレーやチャコールグレーで織った『視覚詩』シリーズの白バージョン。
無地なんだけど、無地に見えなくて、まるで小さな文字が書かれているかのような効果は、大島紬の絣のヨコ糸を
タテ糸に散らす・・・ことから生まれます。
「エツコさん、この小カセの白大島の絣糸に糊付けしときましたので、木枠に巻き上げてください」クニヒサ。
「あのぅ・・都会の人ごみで私、疲れちゃったんですけど、お休み無しですのん?」私。
「気分転換で木枠をグルグル・・・しちゃってください」クニヒサ。
「社長命令じゃ、仕方ない・・・。ハイハイ・・やらせていただきますョ」私。
ヨコ糸用なので、ホントに小さなカセごとに閉じてある、糸をほどいて・・そぅっとグルグルグル・・・
動き出すと止まらない、単純作業好きの私。だんだん要領が掴めてきまして・・・あぁ。止まらない。
おかげさまで、すっかりいつものモードに・・・。
by senshoku-iwasaki | 2012-03-14 20:55 | 工程
最新の楊柳のストール・doris は・・・。
f0177373_2049565.jpgアゲハや、シジミチョウのようなカラー。
一昨年・・裏庭で真冬に出会った、ムラサキシジミ。
確か・・こんな感じだったかなぁ・・・。
ローズガーデンのようだった、前作のdorisが織り上がったの
は先週の木曜日。 クニヒサ、新作の赤城の節糸がタテ糸
の八寸の帯地を整経してから、こちらのタテの準備が出来た
のが金曜日。土日で帯地とこのショール地をはたに糸をかけ
て・・・今日からそれぞれに織りはじめ。
3月7日~19日までの、新宿伊勢丹5階ザ・ステージ#5に
出品します。新作は全部、楊柳の大判 dorisシリーズ。
いつもより、かなりハイペース。
いつもより、仕事を濃くしたいとなると、段取りと手際につき
まして。・・・となると、整理整頓ということに。
ストールの場合は、とにかくさまざまな糸を使うので、使うで
あろう糸を準備して、木枠にあげるものはあげておいて・・。
クニヒサがヨコ糸の小管巻きを使っていたら、その間に他に
するコトを前もって用意しておいたり・・・と。
楊柳のストール、これまでにどれだけ織ったのか自分でも
よくワカラナイのだけど(笑)。自分の思惑以上のモノが出来
る奇跡(!?)に何度か遭遇しています。まるでフワフワっと
空から美しい蝶でも舞い降りてきたかのように・・・。
『想像通りのモノ』だけじゃつまらない・・毎回発見がある、
だからやめられない・・・エンドレスな仕事。

↑ 機にかける前の縦糸 約20m。
by senshoku-iwasaki | 2012-02-27 23:20 | 工程
綾をとる。
f0177373_20405466.jpg綾は大事。なんといっても。
綾を落としてしまっては、織物は出来ません。
織物の見所は、色、柄、詩情・・・ばっかりじゃなくて。
淡々と、積み重なってゆくこの綾に、次に出来る織物の
イメージが明確にフツフツ・・・と。
織物のイメージは出来るのだけど。
『染織iwasaki』なんていうと、まるで企業みたいだけど
実はたった二人っきりの手織り業(笑)。
展示会や、個展、注文制作・・・。やってみたい試みや、
新しいコト・・。自分たちの全体の仕事のイメージはなかなか
出来ませんで(涙)。おまけに天然のボケが加速中。
今まではスケジュール帳は、クニヒサと共有していました
が、そうなるとすぐにお互いを当てにして忘れる・・(笑)。
もともとiwasakiは二人して、
『オレがオレが』じゃなくて『キミがキミが』の精神・・。
2月3月と新宿伊勢丹のイベントがあって、2月には今年も
名古屋のMONONさんでの『伊勢木綿展』に、半幅帯を出展
を予定してまして・・。
4月~5月には愛知県刈谷市の雅趣kujiraさんで、新作の
帯、着尺を出展・・そして5月には夏じたく展のほかに
能楽師の兄の神楽坂のスタジオでイベントを計画中・・・。
あわわ・・。先週、今週、来週・・とずっと手は動きっぱなし。
スケジュール帳を確認しつつ、綾をしっかりとらないと・・・。
by senshoku-iwasaki | 2012-01-20 21:39 | 工程
絹糸の精錬と薪割り、障子の張り替え。
f0177373_20373078.jpg織物屋のくせしてシルクアレルギーのクニヒサ。
シルクのセリシンがアレルゲン(笑)。精錬は命がけ(!?)
適度な距離をもって制するコトが大事のようで、クニヒサは
染め場に篭らずに・・入り口を全開にして、同時進行で薪割り
を染め場の前でやり始め・・・。 この薪割りがまた重労働。
一気にやると疲れちゃうから、精錬との『距離』間の中で進め
るのがクニヒサ流(笑)。タラタラと、同じテンションで
仕事のような、仕事でないような・・でも全部『生きる』に
直結しているiwasakiなので。
私(エツコ)も次の楊柳のストールのヨコ糸を考えながら・・
クニヒサが割った薪をせっせと片付けながら・・・
工房の障子の張替えを・・・。欲張りな年末デス。
精錬は先日、宮坂製糸所でわけていただいた春蚕(はるご)
の生繭生糸(なままゆきいと)。
「あ~。やっぱり白いわ・・・。」クニヒサ。
「そーでしょー。やっぱり、そっちの障子も替えなきゃダメ
かなぁ・・」私。
「障子じゃなくて、糸のコトだったんだけど。」クニヒサ。
繭の中の蛹を、先に熱で殺さずに生のまま糸にするのは
糸の生産効率を考えると効率は悪いので、贅沢なコトなのだ
けど。昔は少しずつだったので、当たり前にあったもの。
大量に生糸をとる、自動繰糸機が主流の時代には入手が困
難だったけど、宮坂さんのところでは要望があれば作ってこ
られてきた定番の糸のひとつ。さて。真っ白なこの糸で
来年のクニヒサの初仕事は、この糸の透明感を活かした着尺から・・かかれるといいなぁ・・。
by senshoku-iwasaki | 2011-12-19 21:52 | 工程
台風一過。
f0177373_2172920.jpg4日間も!断続的に降り続いた雨・・・。
はた織りをしていても、気が気ではなかったものの。
今朝はやっと晴れ!
盛大に、外に干した洗濯物を・・・クニヒサにとっとと
取り込まれた!と思ったら、糸染めをしておりました。
スミマセン。お仕事優先でお願いしま~す!(笑)
Tさんご注文の、緯吉野の着尺。
緯糸が出る組成の織りなので、グレーベースに緑や
青、茶・・といった挿し色がどう出るか・・・が、
難しくもあり、楽しくもあり、悩めるトコロ。
糸染めもかなり・・・悩んでいる様子・・・。
Tさん、とてもお洒落な男性の方。織物の知識も豊か
な方なので、iwasakiらしい織物ができれば・・・と。
「エツコさーん。・・・どうかなぁ・・・。」クニヒサ。
「私もTさんのイメージっぽいと思うケド。ヨコ糸って
結局いれてみないとわかんないよね・・・。」私。
「・・・だよねぇ・・。」クニヒサ。
「ま、止まない雨はないっ!」私。
「チョット!他人事みたいな言い方しないでください
っ!」クニヒサ。 悩みながら、楽しく進めている時間。
by senshoku-iwasaki | 2011-09-06 21:49 | 工程
ある晩のヨリヨリ。
f0177373_19364650.jpg房の『ヨリヨリ』は、仕上げの前段階。『ヨリヨリ』後・・・
湯通しをして、検品をして、タグをつけて・・・終了。
『ヨリヨリ』には、重しが必要なのだけど
iwasaki的には、広辞苑じゃダメダメ。(笑)
こーゆー作業こそ!夢のある本じゃなきゃ。
マックスビルの作品集だったり、デンマーク家具の
本だったり、入澤康夫や、北園克衛の詩集だったり。
普段はほとんど開かないくせして(笑)。
『ヨリヨリ』に疲れたら、パラパラ~っとめくって眺める。
これでいいのだ、という感じ。
ちょうど、宿題の漢字練習で「詩集」と書いていた
息子。「おっ!これがモノホンの詩集だね・・」
「あーた、モノホン言うのやめなさいって。」私。
「かぁちゃん、コレ、何のなかの幽霊ってあるの?」
北園の詩集を手にとっている・・・。幽霊は読めて、
眼鏡が読めないところが小学男子らしいけど。
「『めがねの中のユーレイ』ってどんな詩?」息子。
「知りたい?えーっと・・・私は陶器の華奢なパイプ
をもって天文台を眺めた・・・・」私。
「・・・!?」トンチンカンな顔している息子。お前もか。
「えっ!?私は憂鬱である、で終わり?」息子。
「終わり。」私。
「かぁちゃん、んで、どーなの?」息子。
「何が?この詩のこと?アタシのこと?」私。
                                       「全部。」息子
                                       「これでいいのだ」私。
by senshoku-iwasaki | 2011-07-15 20:25 | 工程
久々の絣括りは、目にくる。肩にくる。腕にくる・・・。
f0177373_20532422.jpgくるくるクルと、全然エコじゃないナイロンテープを糸に巻き、
巻いてないところだけを、染めます。

10年ほど前に。
百貨店のイベントに出展していた、私たちの紬を見て・・・。
「もしや、郡上紬の流れをくんでいませんか?」と声をかけて
くださった初老の淑女に、それから何度かお会いして・・・。
ある日、届いた宅急便。
「どうしても、あなたにもらっていただきたいのです。」と
届いたのは、大師匠の作品集にも掲載されている、
昭和45年作の、ほぐし絣。パッと見はワカラナイかも!?
だけど(笑)。織りをやっている人間には、キョーレツにその
大変さがワカル代物。
大変なワリに、普通の人が見ると、そうはワカラナイ・・。
宅急便にはその他に、大師匠の帯と、とても郡上らしい
柄ゆきの格子の着物が入っていて。

それから・・・。
どういうわけか、その淑女とはぱったり連絡がつかなくなって
しまったのだけど。


f0177373_20542872.jpg洗い張りをして、仕立て直しは、単衣にして。
私は 日常に大師匠をさんざん身に纏い・・・。
あの淑女が、私たちに託したかったコトを考えてみたのだけど。
結局。
私たちに出来るコトは、大師匠みたいにはいかないけれど、
大師匠みたいなファンタジーをこめて、織りを楽しむコトでは
ないかなぁ・・・と。

今回は iwasakiの大師匠である、宗広力三氏へ
敬意をこめてオマージュとしてのぼかし絣。
大師匠は、『どぼんこ染め』と言っていたけれど。
昨日はクニヒサと二人がかりで、この小さなカセをぼかしながら
染め・・・。今日はナイロンテープをほどいて・・・・。
全くエコじゃない(笑)ゴミがたっぷり出て。

あとはクニヒサが、糊付けをして・・・この絣を吉野間道の中に。
今回は 初めてのお太鼓柄。
三渓園までに・・・間に合うかなぁ・・・。
by senshoku-iwasaki | 2011-05-18 21:45 | 工程