カテゴリ:着尺・帯( 289 )
無地じゃない無地、杉綾織りの着尺『乳灰色』と『錫色』。
f0177373_21225457.jpg

先月取り掛かっていた・・・杉綾織りの2反の着尺。
昨日、郡上八幡の湯のし屋さんから戻ってきました。
この2反、タテ糸が違いまして。
淡いライトグレーに、ヤマモモで染めたアイボリーをヨコに入れた乳灰色。
それより一色濃い、淡いシルバーグレーに更に一色濃い、シルバーグレーを入れたのが錫色です。
今回はつむぎ糸ではなく、玉糸なので光沢が紬のときよりもありまして。
どちらも色なんだけど、色だけじゃない、織物らしさを控えめに主張しています(笑)。
陰影礼賛な織りの無地は、明るい場所で見るときよりも・・・薄暗い場所で地模様が浮かび上がります。
f0177373_21231913.jpg

無地だけど、縞であり格子でもあるのがこの杉綾織りのシリーズ。
3寸で切り替わり、2寸の間だけ不規則に切り替わる菱が・・・さーっと、静かに力強く落ちてくる・・・
私(エツコ)の勝手な(!?)池波正太郎の雨のイメージです(笑)。
一番最初にこのシリーズにかかったとき、5寸で切り返したのですが。
3寸のほうがしっくりくるような気がして・・・それからはなんとなく3寸に・・・。
ぱっと見ではワカラナイ、じっと見でスーッと見えてくる・・・雨のしずくに気づいていただけたらウレシイです。
by senshoku-iwasaki | 2016-10-08 23:01 | 着尺・帯
吉野格子九寸帯地 440シリーズ・緯ずらし絣『練り上げ文』。
f0177373_20402584.jpg

今年の春に取り掛かっていた440シリーズ。
時間にゆとりがあるときでないと・・・二人がかりでもナカナカ出来ない(涙)、難易度の高い440シリーズ。
これも丸文と並んで、大師匠の代表的なモチーフのひとつです。
絣染めしたヨコ糸を、少しづつずらしながら・・・三日月を作ってゆくのですが一番高い山は、10回括るので。
多少のずれが出てきたり、ちょっとぎこちない三日月になってしまったり・・・。

440(しーしーおー)と書いて、師匠。
師匠の完コピを目指しているワケでは無いのです。
完コピなんて、出来るわけ無いっ!ただ少しでも。
あのとき、そのとき、師匠がどんなキモチで向き合っていたのかを知りたくて。
直弟子でもない、学校の生徒だった私たちだけど。アイデアだけでも技術だけでもなくて。
絣という、古典的な技法を使って。後染めで生地に絵を描くのとは違う、織物ならではの柄、文様。

吉野格子は、立体的な格子。
格子の部分のタテ糸、ヨコ糸の密度が、倍量入っています。
その立体的な格子でさえ・・・この絣が入ることで、背景にしか見えなくなる不思議に出会いました。
この龍の鱗のような?、雲のような?絣が更に手前に浮き出て見えてくるのです。
イワサキ夫婦がまだ小学生だったころに・・・大師匠が発表した『練り上げ文』。

見れば見るほど、やればやるほど・・・奥の細道に入り込みます(笑)。
大師匠のような「織物力」を手に入れたくて。まだまだ腕を磨きたくて。(でもそれが難しくて~・涙)

13日から始まります・・・染織こうげい・神戸店さんでの展覧会に、この440シリーズも出品いたします。
伝統的?、原始的?、民俗的?工藝的?民藝的?・・・いろんなアリを、いっぱい詰め込んで。
おととしよりも、昨年よりも、もっともっと!iwasaki的な織物展になっていると思います。
ご覧いただけましたら嬉しいです。
by senshoku-iwasaki | 2016-10-06 21:44 | 着尺・帯
青木間道をモチーフにした八寸帯地、『障子越し』。
f0177373_19552340.jpg

10月ともなると。
いつもだったらカラッと晴れて。障子越しの真白い日差しに秋を感じる頃なのですが。
あぁぁ。今年は。
雨雨雨・・・で。この夏前に畳替えをした床の間のある6畳間は、カビとの戦い(笑)。
せめて気分だけでもカラリとドライに、スカッとした細格子で。
モノトーンのほかに、こんな青空も入れてみました。
この青木間道をモチーフにした八寸帯地には、タテの縞をかき消す組織の段が入ります。
太めのタッサーナーシや、これも野蚕種の柞蚕の太い生糸が・・・まるで刺繍を刺したみたいに、
ぽつぽつぽつと愛らしい風情になりました。
この感じ・・・なんだかすっかり気に入ってしまいまして。
只今制作中の、タテ絹の幅広マフラーにも登場します(笑)。

先日ようやく山の水も出るようになりまして。
雨雲の合間を縫って・・・洗濯大臣でもあるクニヒサ、糸染めやら糊付けやら・・・。
「あのぅ・・・。シーツ洗いたいんですけど、今日はダメですかねぇ・・?」私(エツコ)。
「今日は糸を干すのでダメです。それに午後から雨の予報です。」なぜかきりっと!?クニヒサ。
あぁぁ。恋しい秋晴れの日。
by senshoku-iwasaki | 2016-10-05 21:35 | 着尺・帯
文字よりも言葉よりもココロに響く、チカラのある織物。
絞り絣八寸帯地のシリーズは、iwasakiの織物のなかでもチョット特殊。
なんといっても。
一度仮織りをしてから・・・絞り染めの要領で布を後染めすることで作る絣。
f0177373_2095384.jpg

糸を括って作る絣との違いは、この絞り足・・・。
もやーんと、ぼわーんと。
織物は特に、キッチリと計算しないと作れないのですが。
そこに後染めの要素が加わることで、ジャズのような即興性が生まれます。
ざっくりとした八寸なので、繊細な絞りは向きません。
いやいや、こればっかりは繊細じゃダメなのです。
大胆で、健康的で、のびやかで、生きている歓びを絞りたいのです。

アンデスの、ナスカ/ワリ文化・6世紀から11世紀のものといわれる染織品。
えっ!?1000年前の人々も。
獣毛を梳いて撚りをかけて・・・糸にして。小さな織物を作り、それをはぎ合せ・・・。
絞って染めた鮮やかな布。
f0177373_20102142.jpg

iwasakiの絞り絣は、これをリスペクト。
ワリの人々は、死者を葬るときに・・・あの世で着るものに困らないように?
生まれ変わっても織物が出来るように?死者にこのような鮮やかな布を纏わせて。
死者の脇には・・・織り糸や、機織り機まで出土しているというから。
もしも文字を持っていたならば、インカ文明の前に栄えていたという、ワリの人々の
謎がもっと解明されていた・・・ということらしいのだけど。
ムズカシイことはワカラナイ、おバカな私(エツコ)にとっては。
この布が、紀元前でも10世紀でも中世でも、仮に最近のモノだったとしてもでも。
そんなことは実はどうだって構わなかったりします(笑)。
だってこの織物に、文字よりも言葉よりもココロに響く、チカラを感じてしまったのだから。
そんなパワー溢れる織物に、iwasaki心の底から憧れて・・・。そんな織物を目指して!!
by senshoku-iwasaki | 2016-09-26 22:16 | 着尺・帯
織り上がったばかりの・・・絞り絣八寸帯地。
今年は、4種の絞り絣。
この斜めの段は、山形斜文で・・・色違いで2種。
f0177373_19571384.jpg

ヨコに焦げ茶を入れたタイプは、地色の部分の菱がよく見えます。
f0177373_1958521.jpg

ヨコにピスタチオグリーンを入れたほうは、絣の焦げ茶のあたりでよく見えますが・・・。
こちらのほうが、経縞のブルーが効果的に出ているようにも感じます。
糸を絣にして括るのと違って、一度布にしてから絞って作る絣なので・・・先染めならではの
ストライプにして、織物らしさを控えめに(!?)強調しているのですが。この縞が、絞るときに
目安の一つにもなり、また色が乗ることで独特の深みも出してくれます。

この絞り絣、とにかくヒトの手を感じるモノにしたいのです。

工藝の捉え方として・・・幾度となく繰り返される工程の中で、その都度手の跡を消し去ることで
およそ手づくりとは思えないほどの・・・緻密で精巧で完成度の高い造形を目指すのもひとつ。
美術工藝といわれるジャンルは、こちらが近いのかもしれません。。。

iwasakiが目指すのは、用途があって美も成り立つ民藝の方向なので。
私(エツコ)の大好きな最中でいうなら(!?)『愛おしくて絶品』を目指したいのです。
チョット不細工かもしれないけれど、なんともクセになる愛おしさに加えて・・・絶品の仕事を感じる
そんな織物にしたくって・・・。
440シリーズの絣は、九寸帯地で制作しておりますが。
絞り絣はざっくりと八寸で。とびっきりのフツーの日を彩る帯になりますように!
by senshoku-iwasaki | 2016-09-19 21:47 | 着尺・帯
2016・絞り絣八寸帯地は・・・。
染織こうげい・神戸店さんでの展覧会まで・・・いよいよ1ヶ月を切りまして。
こうげいさんに向けて、昨年から制作している『絞り絣』のシリーズの最大のテーマは『THE HANDS』。

ヒトの作り出す、曖昧で不確かで不均一・・・なんだけど、明確で確信的に帳尻を合わせるコトが出来る
のも高等動物の、ヒトならではの造作で。
ペルーのナスカ/ワリ文化(紀元前~800年/700~1000年)の染織品に、すでに赤やグリーンに染めた
四方が耳の小さな織物を、絞りで柄を作ったものがありまして。
15年ほど前に、古民具・坂田さんで求めた・・・埋葬用のその布の一部に、いつもパワーを頂いて。
純粋に。
1500年以上も経過して、小さな島の日本の山の中で・・・同じくらいパワーのある織物をつくりたい!と。
そして今年も。4種の絞り絣がうまれました。
f0177373_194249.jpg

一度木綿糸でさっくりと織ってから、絞り染めをしまして。
それも絣の要領で、まずは一番薄い色になる山吹色から染めまして・・・緑にこげ茶。
この色は、絹に染まる酸性染料なので、ヨコ糸の木綿は染まっていません。
染め上げてから・・・再び機(はた)にセット。ここからクニヒサにバトンタッチ。
f0177373_1942842.jpg

クニヒサ、眼鏡を外して(笑)・・・慎重にタテ糸を切ることのないように耳で木綿糸を切りまして・・・。
ヨコ糸を抜いていきます。この姿、なんか・・・お爺ちゃんですねぇ・・・(笑)。
そして・・・。
クニヒサ、いつものタテ糸の綜絖(そうこう)通し、筬(おさ)通しを経て踏み木にセットしまして・・・。
やっと。杼(シャトル)に絹糸を入れまして、本織りに入ります!
by senshoku-iwasaki | 2016-09-17 21:34 | 着尺・帯
平蔵×勝負服でもあり・・・=乳灰色の杉綾織着尺。
f0177373_20421453.jpg

『乳灰色の無地じゃない無地』は、私(エツコ)にとって特別な色。
伊と忠さんが銀座にショップがあったときに、この乳灰色をテーマに展覧会をさせていただいて。
あのときは、九寸の帯地で緯吉野や吉野格子で凹凸感を出しましたが。
今回は杉綾織で。

今年夏、愛媛県の大三島・大山祇神社の宝物館で・・・緊張感ある美しい鎧兜たちを見て。
あぁこれは。一流の武将たちの、覚悟を決めた一流の勝負服であり、死装束でもあるのかと。
私にとっての着物は、仕事着であり、勝負服であり。。。
だから基本的には汚れの付きにくい(!?)濃い色目のものばかりだったりしますが。
タテ糸のシルバーグレーと、ヨコ糸のアイボリーで織りなす特別な乳灰色で、腹を決めた特別な
着尺を織っております。

20歳くらいのときだったかなぁ・・・。
チョット敷居の高そうな古美術店のショーウインドウに、小ぶりの御所人形が置かれていて。
それまで古いお人形とか・・・全くキョーミ無かったのだけど、ものすごく惹かれて。
珠のような肌と、まんまるで無垢で、健やかなのに高貴な感じのするその赤ちゃんに、
『江戸期 大木平蔵』とキャプションが。
学生ごときがそんなお店に入れるワケもなく、外から眺めつつ・・・。いつか子供を持ったときに、
こんなお人形を買えたらイイなぁ。。。と思ったコトがありました。
そのときに大木平蔵という名称と、艶のある乳灰色の色の美しさがアタマの隅に残りまして。

それから干支が一周したころに・・・息子が誕生したものの。
クニヒサと両輪で、必死に漕がないと生活が出来ない自転車操業のiwasakiだもの。
子供が出来て余裕など全く無くなりまして(笑)。
しかもよく考えたら、クニヒサの実家は玩具問屋でしたので。
クニヒサ誕生のときに、お爺ちゃんが揃えてくれた・・・鎧兜に、鍾馗様、金太郎に桃太郎・・・。
ガラスケース入りの五月人形がどっさりありまして。あぁぁ。御所人形じゃないわねぇ・・・。と。
じゃ、せめて。
人形師なら大木平蔵、龍村織物といえば龍村平蔵、鬼平は長谷川平蔵、竹中平蔵さんもいらっしゃる。
一瞬、息子の名前にあやかりたいとよぎったものの。あぁぁ。母親はアタシじゃ・・・違うわねぇ・・・と。

iwasaki家では取り入れることの出来なかった・・・大木平蔵の御所人形でしたが。
染織iwasakiとして、陰影礼賛な乳灰色の織物として取り入れることができそうです。
只今1丈6尺。ちょうど山の中腹です。
息を止めて、緊張感を保ちつつ・・・折り返したいと思います!
by senshoku-iwasaki | 2016-09-05 20:41 | 着尺・帯
今、クニヒサが織っているのは・・・。
f0177373_2017817.jpg

青木間道をモチーフにした八寸帯地です。今回はモノトーン。
そういえば。
無彩な感じは久しぶりかもかも。
セリシンを残した、ちょっとマットな生糸ベースのタテに、光沢あるグレーや黒の銀河シルクを利かせて。
奥行きのある・・・モノトーンを目指して。

ポップなカラーも大好き。アースカラーもステキ。となると、色の無いのも新鮮だったりして(笑)。
結局のところ・・・何でもアリで、何でも好きなのです。
iwasaki、夫婦して二人とも・・・。色そのものよりも、その色と色の組み合わせ(織りによる交差)で出来る
思いもよらない風情のようなものが好きなんだと。。。

なので、この秋は。
一見無地なんだけど、実は縞で実は格子でもある・・・なーんて新作の杉綾織着尺に私(エツコ)は取り掛
かっておりまして。それも無彩な感じです。
偶然にも。工房はストイックなカラーになりまして。
となると。
きっとこの次にかかる帯地は、ぐっとカラフルな絞り絣になりそうです。

行ったり来たり。
寄せては返す波のように・・・いろんなカラーで、全部がiwasakiカラーになりますように・・・。
by senshoku-iwasaki | 2016-08-30 22:09 | 着尺・帯
itonosakiさんにお納めした八寸も、秋の新色です。
f0177373_20232829.jpg

銀河シルクの山形斜文といえば。
itonosakiさんに、ご注文いただいていたのがこのお色。
タテ色は濃いグレー、ヨコ色は深いブルーです。
こっくりと。深まる秋に似合う青い鉱石『Lander Blue』。
夜明け前の、空の色のようです。
今日もイイ日になりますように!

早起きはあんまり得意じゃない(笑)、チームiwasakiですが・・・。
息子の部活の練習試合とかで・・・やたら早起きさせられた日には、こんな空にも空気にも出会えまして。
家族の、日々の些細な出来事に・・・巻き込まれたり翻弄されたりする中で、織りなされるモノもあるのだと。
この歳になっても。ぜーんぜん!思い通りにならないコトだらけの毎日ですが・・・(涙)。

iwasaki家の、暮らしの中で生まれてくる織物たち。
猪鹿駆ける山の中、築140年の明治の家で、iwasaki家の生活まみれ(!?)で生まれるこの織物が。
都会の中のオアシスのような・・・itonosakiさんで。
クールでスタイリッシュな帯として、凛と佇む姿が浮かびます。
by senshoku-iwasaki | 2016-08-27 21:39 | 着尺・帯
銀河シルクの山形斜文の八寸帯地、秋に向けての新色は・・・。
f0177373_19584535.jpg

煉瓦づくりの街並みのようなカラーです。
iwasakiの、今までに無かったニュアンスのあるものになりました。
蔦の絡まる!?古味を帯びた!?私(エツコ)の妄想の旅は、すっかり晩秋。
街路樹は、赤に黄色にチョコ色に・・・。夏は跡形も無く消え去って。

妄想の旅先で、すっかり日本が恋しくなりまして(笑)。
ひとつ制作したところで、クニヒサにバトンタッチ。
このほかにヨコ糸がアイボリーのタイプも、只今クニヒサ制作中です。
まだ夏は終わらないで・・・と思って帰って(!?)きたのに。
度々やって来る台風に、夏の終わりが憎らしくもなってみたり。。。

本当の秋が来る頃に始まる、染織こうげい・神戸店さんでの展覧会に向けて・・・。
糸の染色やら、整経もするクニヒサも。織ったり、絣を括る私も。
今を名残惜しみながら・・・キモチは次の季節に。
おっとそうだった・・・。
いよいよもうすぐ新学期の、我が家の子供たちも!(大丈夫・・・なんだよねぇ?大丈夫ってことで・汗)。
なんだか。毎年夏休み最終週は、我が家に巨大な暗雲が・・・。
by senshoku-iwasaki | 2016-08-23 21:35 | 着尺・帯