カテゴリ:いわさきのつながり( 79 )
森くみ子さんのアトリエに伺いました。
今回の旅の目的のひとつ。
森くみ子さんは、徳島で阿波藍を建て染めて。研究者でもある方です。
藍染めというと、さまざまなイメージが人それぞれあるかと思いますが。
工房に伺って。
あぁ。やっぱり。森さんだ・・・。と二人で納得しました。
計算された設計で、特注の藍甕はステンレス製。甕の周りは、驚くくらいキレイです。
20年以上・・・ここで日々、藍染めをしているとは思えない、シミひとつ無い床です。
こちらは森さんの御祖母さまが暮らしていたお家だそうで。東京・千葉で育ち、東京で暮らしていた
森さんが御祖母さまの介護に徳島に戻られたのが・・・藍とのきっかけになったそうなのです。

徳島の街の中心地。
ご近所にはデパートや、ホテル、マンション・・・。
とても藍染め工房のあるような雰囲気ではないのだけれど・・・。
あぁ。なるほど。森さんの藍の建て方なら、込み入った住宅地でも大丈夫だろうと。
臭いがほとんど無いのです。
藍液の中は、多くの菌が働いているので・・・雑菌が増えれば異臭もするし、ハエも発生するはず。
森さんは慎重に、でも確実に眼で藍液の調子を見極めながら管理しています。
なんせ、この染め場の隣がダイニングですから。
そのダイニングのほうでいただいた、お庭の柿の実を昨年凍らせたもので作ってくださった・・・
デザートが美味しくて。丁寧で、豊かなお暮しがわかります。。。
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森さんとのプロジェクトの第一弾となる、森さんと私(エツコ)の生紬を2反織りまして。
縞なので、ほとんど姉妹のようにそっくりなのですが(笑)。お好きな方を選んでいただいたり、
藍のお話をうかがったりしている間・・・なんと我が家の二人の子供たちに藍染め体験をさせて
くださいまして。
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三木文庫で、藍の葉っぱからすくもを作って、すくもに灰汁と石灰とふすまでこの藍液を作る・・・。
という工程は眺めてきた子供たちでしたが。実際は不思議がいっぱい。
子供たちには、森さんのような大人も初めてのタイプの大人。

今回森さんのアトリエにお伺いして。
やっぱり、森さんが情熱を注いでいる阿波藍を、森さんが建て染めたものだからこそ!使ってみた
いし、iwasakiの商品としていいものを作りたいと心から思いました。

晩秋ころから始まる、森さんの今年の仕込みから本格的に糸染めをお願いする予定です。
シリーズタイトルはもう決まりました!
フツフツ・・・と沸いてくる、藍の中の妖精のような菌たち。
森さんには見えているのかもしれません。
私もこれから・・・目を凝らして(!?)その妖精たちと一緒に仕事が出来るのが楽しみです!!
by senshoku-iwasaki | 2016-08-09 23:45 | いわさきのつながり
森くみ子さんとのプロジェクト・報告8
森さんは、ご自身の作品のなかで・・・木綿や麻の藍染め着尺を制作されています。
驚くことにそれらの作品は、ほとんど襦袢や帯に色移りしないというのです。

『藍染め』と呼ばれるものの中には、インド藍や、琉球藍のように還元建てして染めるもの。
すくもから天然灰汁と石灰、ふすまで地獄建てで染めるもの。苛性ソーダやハイドロといった
薬品を使うもの。合成藍で染めたもの・・・。
森さんも私も。
どれがホンモノで、どれがニセモノとか。だれが正直で、だれが嘘つきだとかとか。。。
そんなコトには、そもそも全くキョーミが無いのです(笑)。

江戸時代に確立された、阿波藍の極上のすくもから江戸時代と同じ方法でシンプルに藍を建て
染める森さん。藍液の微生物の栄養となるのは、ふすまだけ。森さんはお酒も入れません。
「お酒を入れると、還元してしまうんです。
私は、その還元が色移りの要因のひとつに思えるのです。」森さん。
たしかに、私が以前作っていた沈殿藍も還元染めでしたが。
色止め剤を使っても、色移りがとまらない・・・それで自家製藍を諦めた口ですので(笑)。
麻や木綿と違って・・・動物性繊維の絹糸は、そもそも藍液のアルカリで糸が痛むのではないかとか。
と繊維の周りに藍が付着するだけで、浸透しないのではないか・・・等々疑問がありまして。

藍の成分だけではなく、歴史の研究もされている森さんから
「絹糸のセリシンを残した生紬なら、糸を痛めることもないのでは?古い織物にも精練されていない
絹糸を藍で染められているものがあります・・・」のお話しになるほど!

今回はまず森さんと、私(エツコ)の実験台!?プロトタイプです。
あえて色移りが一番しそうな(!?)濃い藍色で。
プロジェクトと言っているのは、早期の商品化を前提としているから。
iwasakiが商品として・・・この森さんが手掛けた、美しい藍の色バリエを楽しめる手織物を作るなら
時間のかかる織物とはいえ、作りやすいものでなければいけません。。。
段取りと下拵えとシュミレーション、工房の機と、仕事のローテーション。今まで(子供の急な病気とか、
予期せぬ事態も踏まえて・・・)予定プラス10日という、余裕をもって計画してきましたが。
今年に入ってから・・・余裕時間、休日無しでキッチリ予定日上げでなんとか・・・。の日々(汗)。

今、このプロトタイプを織っております!
今度の日曜日に・・・東京で森さんと、この反物を持って打ち合わせをするべく・・・・。尻カッチリで(笑)。
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報告8
『微妙な薄い色を染めるには藍液の濃度の具合が適さず、保留にしていました縹色のバリエーションを
染める順番になりました。
藍建てしてから3ヶ月が過ぎ、濃い色は染まらなくなり、折り絞りや込み入った絞りの襞の中の藍液は
酸化しにくい状態になりました。
この間藍瓶には麸を2回、石灰を7〜15日毎に、1〜2番灰汁(PH14前後)が藍液の減り具合に
合わせて投入されています。
藍の色を上手く布、糸に染め付かせるのは、藍液の状態に合わせて素材(絞の種類、布の厚さや
密度、糸の細さや撚りの強さ、繊維の種類など)を的確に判断して染めることが必須です。
藍液は日々変化しますので、特に絹や細糸の布は変化した色が如実に表れます。
欲しい色を染めるためにも藍の管理に気を使います。
藍分(インジゴ)の含有量も染める毎に減っていきます。以前数人で工房を運営し染めていた時は、
だいたい3〜4ヶ月で藍分が無くなり廃棄していました。
今は1人ですので毎日の使用量も少なく、藍菌の負担も少ないからでしょうか、最終的には2年ほど
藍液の中に藍分が残っています。
そのころには何度染めても「瓶覗」といわれるごく薄い青色しか染まらなくなります。


絹糸にとっては石灰も多く入りよい環境ではないのですが、薄い色を染めるには1回藍液に浸しても
それ程濃くならず、2回と3回染めたものの色の違いも左程ではありません。
瓶覗、水色、浅縹、浅葱色などを染めます。
染まる力も弱いので液の中にゆっくり浸して、糸を硬く絞りよく酸化させます。


「60中x3玉糸」は水色、花浅葱「42中x5玉糸」は縹、瑠璃色「110中x2玉糸」は水色、浅縹、瑠璃色
に染めました。
前回と同じ糸の同じ色名もありますが、微妙に違う色に染まっていると思います。染まった色に合わせて
13段階の色名で都合上識別していますが、毎年、毎回、同じ色に染まらないのが藍染です。
良さでもあり短所でもありますが、色名で注文をいただいても同じ色に染めるのは大変難しいです。
商業ベースでは欠陥技術の扱いになりますね。
染織iwasakiさんとのお仕事は、欠点でもある揺らぎのある藍糸が個性的な織物になると楽しみにしています。』 
2月1日

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by senshoku-iwasaki | 2016-06-21 22:46 | いわさきのつながり
長野・岡谷の宮坂製糸所さんに行ってきました。
学生の頃よりお世話になっている、宮坂製糸所さん。
平成26年8月に岡谷蚕糸博物館が移転と同時に、宮坂製糸所をまるごと併設という・・・
工場のfactoryと、シルクの真実factから、「シルクファクトおかや」としてシルクを五感で感じる
新しいタイプの博物館になった・・・と、お話しはうかがっていたのですが。
いつも糸をお願いしつつも、前回宮坂さんを訪ねたのはお引越しの前だったもので・・・。
今年こそは!と。
岡谷蚕糸博物館も初めてでしたので、なんと宮坂社長さんがご案内してくださいました。
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博物館に入るとすぐ迎えてくれるのは、明治初期フランスから輸入されたという、優美な繰糸機ですが。
こちらは、その後にイタリアから輸入された繰糸機。「おぉぉ・・・。このボックス部分はどうしてですか?」
「綛に上げた糸を、この箱の中を通った管に蒸気が走って、乾かすという装置がついてるの。」宮坂さん。
「なるほどぉ。・・・にしてもカッコイイですねー。真鍮打ち出しの槽や、金具は全部手づくり。フランス製と
いい、イタリア製といい、当時相当な高額品ですよね。」
「そりゃあ、高かったと思うよ~。船で運んでくるのも大変なもんだよねー。ただ、ここから急速に国内で
こういった道具を作り出して、発展していくんだよね。。。その後日本では自動繰糸機をつくりだしてね。
その装置は、今も基本的に変わらないんだよ。」宮坂さん。
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そして宮坂製糸所の工場に入ると。
上州式の手繰糸のエリアも、宮坂さんの諏訪式の手繰糸のエリアも人手が僅か・・・?いやいや、今現在
スタッフは、宮坂さんのお嬢さんとそのママ友も多くいらっしゃいまして。
「岩崎さん、今日は午後から中学の保護者会がありまして出ますが。ゆっくりしていってくださいね。」お嬢さん。
80代の超ベテランのお母さんから40歳のママまで。皆さん、宮坂製糸オリジナル手ぬぐいや、バンダナを
してお仕事されています。今は、春蚕の注文糸に追われていて・・・工場は大忙しなのです。
手ぬぐいもバンダナも大好きiwasaki、グッズコーナーでしっかりゲットしてきました(笑)。もちろん、宮坂
シルク石鹸も!こちらの洗顔石鹸とってもオススメなのは、その使い心地のよさに加えて『持ち』の良さ!
ナカナカ減らないのに、泡立ちよくてシルク成分でお肌もちもちなのです。
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シルクの美肌としか思えない(!?)宮坂社長さんと。
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今は、宮坂製糸所をほぼ引き継がれて奔走されている・・・高橋さんと。
駆け出しのときからずっと・・・変わらない、いつでも謙虚で温かい、本当に素敵なご一家です。
京都の下村撚糸の下村さんといい、私たちは若いときからずっと・・・憧れの心の支えのひとつ。
今回また、宮坂さんに糸をイロイロ・・・沢山お願いしてきました。保管場所を作らないと(笑)。
せっかくの宝石のような糸たちを無駄にしないよう、魅力的な織物にしたいと思います!
by senshoku-iwasaki | 2016-06-18 23:32 | いわさきのつながり
森くみ子さんとのプロジェクト・報告5・6・7
森くみ子さんの染めた藍染の絹糸。
糸の種類(撚り加減や本数、生糸と玉糸との違い、もちろん色の濃さ・・・)や、その日の湿度によっても
グルグルと綛(カセ)から木枠に巻き上げる手指に付く『青』が違います。
それにしても。自分たちが記憶している・・・藍染の絹糸にしては、手に藍が付きにくいように感じます。
柄は、「お任せします。」と森さん。うーむ。。。
格子と縞なら、どちらがイイですかね?には、「どちらかというと縞でしょうか・・・。」と森さん。うーむ。。。
なんといっても色味がどれもキレイ。
この糸は、森さんがストックされていた玉糸で『甕覗き』と呼ばれるお色。
こちらは一綛しかないので、ポイントとして使います。。。
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贅沢な『褐色(かちいろ)』をベースに、藍の研究家の森さんなら、iwasakiのなんてことない芸風(!?)を
好んでくださる森さんだから・・・。クニヒサと考えたのは、シンプルな昔の小倉縞を連想させるような縞でして。
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『褐色(かちいろ)』は糸違いで二種。『瑠璃色』『紺』『甕覗き』、そしてヤマモモで染めたアイボリーはアクセント。
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報告5
『昨日「60中x3玉糸」今日「42中x5玉糸」「42中x4」の染め重ねをしました。
「60中x3玉糸」は「褐色」(かちいろ ごく暗い青紫)まで濃く染めてみました。セリシンが少し除去されましたが、糸、色の状態はよいです。糸の痛みは少ないと思います。今週中はこの3種類の糸の色の調整をします。』 11月17日

報告6
『今日から「110中x2玉糸」を染め出しました。「60中x3玉糸」「42中x5玉糸」と比べたら渋い色に染まりました。
セリシンが多く残っているからでしょうか? 数日中に少し濃いめの濃淡に染めます。
引き続き「42中x4」は褐色まで染めます。』 11月22日

報告7
『全ての糸の染めが完了しました。揃って干したらなかなか表情があって美しいです。普段の布染めとは違う景色です。
この後灰汁抜きをして、仕上がりです。半年くらい寝かして(置いて)からの灰汁抜きの方が色も落着くのですが、軽くしときます。』 11月25日

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by senshoku-iwasaki | 2016-06-14 22:07 | いわさきのつながり
藤井美登利さんの著書『埼玉きもの散歩』
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川越の町雑誌『小江戸ものがたり』の発行者であり、NPO法人・川越きもの散歩の代表でもあり、
さいたま絹文化研究会(秩父神社・高麗神社・川越氷川神社)の会報担当もされている・・・
藤井美登利さんが、新たに『埼玉きもの散歩~絹の記憶と手仕事を訪ねて~』を出版されました。

東京生まれの藤井さんは、1985年から10年間、仕事で東京とロンドンを往復されていたそうです。
~バブル前後の浅草は、1週間留守にするとまち並みが変わっていました。かたやロンドンは、
古いまち並みが残る町。川越のシンボル「時の鐘」を見たときに、効率優先の都会で失われたもの、
蔵造りのたてもの、きもの、暮らしの歳時記や祭りが、川越では当たり前のように存在することに
驚きました。~
1969年に蔵前で生まれたクニヒサと、1992年に結婚した私(エツコ)も当時の蔵前・浅草の日々
の変貌は、よーく覚えております!

当時暮らしていた、浅草から川越に移住されて・・・約20年。
藤井さんはその間に、愛読されていた・・・谷中・根津・千駄木の町雑誌「谷根千」の主宰者である
作家の森まゆみさんに後押しされて・・・「川越むかし工房」を2001年に立ち上げ、川越の町雑誌
『小江戸ものがたり』を創刊されます。
現在13号まで発行されています。川越のチョット昔の歴史を紐解いて、さまざまな物語が浮かび
上がって、益々『今の川越』が輝いて見える・・・そんな『小江戸ものがたり』の埼玉決定版!という
感じの『埼玉きもの散歩』。大変興味深い内容ですっ!

☆藤井美登利 著 『埼玉きもの散歩~絹の記憶と手仕事を訪ねて~』
さきたま出版会 定価2,300円+税

こちらの本には、『日本の夏じたく』で今年もご一緒させていただいている、秩父銘仙の新啓織物
さんもご紹介されていますので・・・ぜひ。
iwasakiは、埼玉在住ではありませんのに、なんと!『繭からの顔の見えるきもの作り』のコーナー
で南部町の工房にいらしてくださったときや、蔵前の季節商店、『増孝商店』での写真つきで・・・
紹介してくだっております。。。(汗)。
by senshoku-iwasaki | 2016-04-15 23:36 | いわさきのつながり
森くみ子さんとのプロジェクト・報告3・4
森さんに染めていただいた絹糸、その後。
今回は写真上が、前回の紺よりやや青寄りの『瑠璃紺・るりこん』。
下がさらに青寄りの『御納戸色・おなんどいろ』だそうです。

糸は、森さんの生紬用にiwasakiで用意したもの。
「60中x3玉糸」とは中というのが絹糸の太さのことで、60デニールの
3本合わせで180デニールの玉糸という意味です。
玉糸とは、二匹の蚕が一つの繭を作ってしまって糸口が二つあることから
節のある・・・味わい系の糸のことです。
なので、「42中x5玉糸」のほうは、210デニールの玉糸。
同じ太さの糸でも、撚りの回転数や、何本合わせかで風合いは異なる
のでイロイロ染めていただいて、縞や段を考えましょう・・・というコトで。
お色のほうは、すべて森さん任せです。

糸たちが森さんより届いて、箱を開けた瞬間から感じたことなのですが。
いわゆる、『藍の匂い』がほとんど無いのです。
臭いくらいにプンとくる、藍の匂いがホンモノなのかと勝手に思い込んでいた
私にとって、ちょっと意外でした。
発酵状態が良好だからなのでしょうか。腐敗臭と発酵臭は違うということ
なのかもしれません。この辺りもこれから森さんに教えていただこうと思います。
灰汁のミネラルをいっぱい食べている、森さんの藍菌だからこそかもしれません。

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報告3
『今日、「60中x3玉糸」「42中x5玉糸」を染めました。
ゆっくり2回染めたのですが「千草色」(鮮やか青)くらいの色目に染まりました。
両方とも色の発色はよいと思います。
濃淡2種類をどのようなバランスにするのか悩むところです。
布染めと違い、小さなコントラストは織られてみないとわかりません。
初めての糸なので本当に実験という感じです。』   
11月13日

報告4
『今日、「42中x4」を染めました。
今回もゆっくり2回染めたのですが、少し不思議な色です。
セリシンの堅さからの斑も多いですが、「新橋色」(緑みの鮮やかな青)と
「御召御納戸」(暗い灰青)の混ざった綛に染まりました。
白い糸なのに濃い染液では微妙な色分けはできませんので、
今回は濃い色の濃淡にします。
乾いてからじ〜と見ていると興味深い色です。細い糸ではありますが、
表面の色が落ちやすい可能性もあります。
今後薄い色を染めてテストしてみると面白いかも知れません。
昨日染めた糸が完全に乾き(絹は乾くのが早くていいですね。
綿はなかなか乾きません)セリシンが少し取れ柔らかくなった感じですが、
「60中x3玉糸」の方が柔らかくなったような気がします。
色は透明感もあって綺麗です。
早く岩崎さんに状態を見ていただきたいです。
12日から今日までおよそ1Kgの糸を染めたのですが、
やはり染液のPHの低下が早いです。
セリシンのたんぱく質が染液の中に溶け出すのは想像していましたが、
綿糸や麻糸の管理とも違いそうです。
糸染めをした場合と布染めの場合とでは、染液の管理が違うように思います。
綛を動かすので酸素が多く入るからなのか、布と糸の染まる表面積が違うから
なのか、この10年布ばかり染めていましたので、はっきりと比較する事はできま
せんが、これから観察しながら試行しますね。
とはいっても、藍菌は今日も元気にしています。
灰汁のミネラルをいっぱい食べていてくれるうちは大丈夫です。』 
11月15日

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by senshoku-iwasaki | 2016-02-03 21:42 | いわさきのつながり
森くみ子さんとのプロジェクト・報告1・2
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森さんの藍甕には、蒅(すくも)と灰汁と麸(ふすま)と石灰だけ。

阿波藍の特別さは、その蒅(すくも)の製法にあります。
蒅(すくも)とは。
藍の葉を乾燥させ、水分をあたえて発酵させたものです。
蒅(すくも)は藍師と呼ばれる長年の経験と、技術を持った人たちによって作られ
ておりまして。
葉藍を約100日かけて、藍成分インジゴと糖質やたんぱく質を栄養源とし繊維発酵させる
ことで、多量の有機物と藍還元菌などが含まれた物質に変えたのが蒅(すくも)です。
この繊維発酵が秀逸なので、阿波の地以外で作られた、地藍と呼ばれる蒅(すくも)
とは桁違いなのです。成分的に。それは価格にものすごく反映されていたようです。

その蒅(すくも)に森さんは、木灰汁のアルカリの力で還元(発酵)させて。
黄色い水溶性の物質白藍(インジゴホワイト)に変えて染液にするのですが、
それを、『建てる』と呼びます。

私(エツコ)は、化学も苦手(そもそも得意なものがあるのかどうかも・・・?・涙)
亀の子の化学式は、チンプンカンプンなのですが、なんといってもこの化学反応を、
江戸時代の人がちゃーんと、知恵と経験と工夫で、諸外国の影響を全く受けず
独自の技法で極めていた、というのが阿波藍の歴史。スゴイです。
森さんも。江戸時代の技法のまま、とってもシンプルに藍を建てます。

現代の暮らしのなかで、木灰をたくさん集めることは一番大変です。
アルカリを高めるだけなら、薬品を使う方法もいくらでもありますが。
森さんは、染め切ったあとの廃棄についても、土に還る好アルカリの発酵の
『土壌改良剤』になる藍染めをされている方なのです。

さてさて。今回写真がナカナカ難しかったのですが・・・。これは『紺』。
前回の『褐色(かちいろ)』の次に濃い、贅沢なお色。
なんでかというと、染液である発酵状態が上り状態にある(藍の勢いが強い)とき
に数回で染め上げる、何度も何度も染め重ねて濃くするわけでは無いというのが
『褐色』や、『紺』なのだそうで。
徳川家に代々愛された高貴なお色・・・というのも頷けます。

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報告1
『いい感じに藍建てが完了しました。
今日初めて染めてみましたが、大丈夫です。
これからまず手持ちの糸を染めてみて、
今週中には岩崎さんからのお預かりの糸を染め始めます。
よい色に染まるとよいのですが‥‥とても楽しみです。(ちょっとドキドキですが‥)

始めの段階は醗酵の状態が安定しません。
染め始めの3週間くらいが染液の浸透に勢いがあって濃い色が染められます。

今回、中石といわれる蒅(すくも)の醗酵初期の段階(わたしは発芽するときと思っています)
をゆっくり、できるだけ全ての菌が発芽するように待ちました。
(藍瓶の中の藍菌の様子は見えませんし、わたしの勝手なイメージです)
わたしの藍建てはここが一番大切な時間で、
いつもここだけは慎重に蒅の状態を確認しながら適応します。
ここが上手くいくと後はいくらでも取り返しができるのですが、
失敗するといつまでも多くの麸を投入しないといけません。
(異物はできるだけ少ない方がよいです。建ち上がって直ぐ麸をいれないと
醗酵の勢いが頂点に達しないままズルズルしていまうこともあります)

今回も藍菌がよい醗酵をしてくれました。
15年前の蒅にも藍菌はきちんと生きていて培養に適した環境が
与えられると、発芽、増殖します。
わたしはこの菌を増殖させて、水に溶けない藍の染料「蒅」を
菌の力で還元させ布に染まる状態にします。
菌の活きよいがある(若い!)ときにしか染まらないものを最優先に染めます。

絹の場合あまり濃い事は重要でないのですが、勢いは欲しいのです。
絹の糸染めの経験は少なく初心者と同じです。
色が落着いたもう少し後(2週間後くらい)で染めてもよいのですが、
セリシンの残っている絹をおよそ2Kgも染めた経験はなく、
藍の管理も含め今回手探りでよい方向へ持っていこうと考えています。
上手くいくかは未定です。』  11月10日

報告2
『今日、手持ちの(以前サンプルを送った糸)4綛染めてみました。
水(水道水)と灰汁(PH10位)に一晩浸けたものをテストしましたが、
殆ど変わりません。
セリシンの具合の仔細はまだわかりませんが、
岩崎さんの糸は水に浸けただけで染めてみようと思います。
藍の濃度が濃いので手早くやらないと、絹はすぐ表面だけ染まります。

この環境で染めるのと、もう少し濃度が低くなってから染める方がよいのかは
少しずつ経験を積まないと結果はでません。
今回は初めてなので取り敢えず今しかできない一番濃い状態で
染め上げます。』 11月11日

報告0はこちらです。
by senshoku-iwasaki | 2016-01-04 22:09 | いわさきのつながり
森くみ子さんとのプロジェクトはじまりました。
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生きていると、思わぬ出会いがあるもので。
徳島で阿波藍の研究をされながら、阿波藍染めをされている、櫻庵 森くみ子さん
との出会いは、iwasakiにとって今まで謎だらけだった・・・藍についてを、少しずつ
ひも解くキッカケとなりそうです。

平成の自家織物を目指すiwasakiに、阿波藍は到底使えるシロモノではございませんで。
なんでかというと、まず藍を(建てるというのですが)染められる状態にする難しさに加えて、
藍染の素である、蒅(すくも)は大変高価。とてもとても・・・藍染めの素人に、そのリスクまで
抱えながらいつ売れるかわからない(笑)織物にして、その分を価格に乗せられる実力も
勇気も無いものだから・・・。今までに、タデ藍を育ててインド藍の要領で沈殿藍を作り、
それで青味が欲しいときだけ染めていた時期もありましたが。
その自家製の藍と、染め方が原因なのか・・・絹糸との相性が良くないコトもあって、
着尺や帯をつくる比率が増えてきた頃からブルーは、酸性染料(化学染料)にしてきていたのですが。
昨年、森さんからiwasakiに「生紬を作っていただけませんか?」とご依頼いただきまして、
糸はこちらで何種か用意して・・・森さんに染めていただいて。出来たお色で考えましょうと
いうコトになりまして。
森さんの、灰汁とふすまだけで阿波藍を建て染める、そのお色味の美しさは知っておりましたので。
これはぜひとも!森さんの生紬と、私(エツコ)の分も作らせてくださいっ!とお願いをして。
糸から藍染にしたものを着物にして、汗や摩擦にどれだけ色が移るのか・・・水洗いをして
ゆくうちにどう変わっていくのか・・・森さんと試してみたいと思いました。

昨日森さんから届いた糸たちの美しいこと!
ちなみにこのお色は、褐色(かちいろ)というのだそうですが、紺よりも濃く、赤味が深く。
こんな藍の色は、初めて見ました。
それもそのはず、とても贅沢なお色だったのです・・・。そのあたりもこれから・・・。

森さんは、とても理知的。
なかなかデータのとりにくい、藍に向かい合い生きている人。
森さんからの報告のメールも、大変・・・森さんらしくて。興味深く。
森さんのご了承もいただきましたので。
そのまんま、これから少しずつご紹介していきたいと思っております。

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報告0
『今日、藍の仕込みをしました。
使用の蒅は「新居製藍所 新居修」の2000年のものです。
藍の仕込みで一番大切なのは灰汁です。醗酵の妨げになり困るのは、
灰のなかのミネラルに藍菌増殖にとって必要な成分が足りなかった場合です。
灰の段階で調べることは弱小工房ではできませんので、採集時期の違う
いろいろな所で頂いたものを15種類くらいブレンドして平均した灰の成分を
維持できるように努めます。(飽く迄も推定ですが‥‥)

30Kgの灰に60ℓのお湯(60℃くらい 水道水・湯沸かし器)を入れ灰汁を取ります。
3日おきに5番灰汁まで取ります。藍建て完成までに瓶の容量が270ℓなので、
まずおよそ230ℓは使います。1番灰汁のPHは13以上必要です。
藍建ての上手くいかない原因は、推定ですが1番は灰汁の良し悪し、
2番は中石後かさ上げが早過ぎた、3番は染液のPH管理が的確でない。でしょうか。
問題が起こらなければ、大体の藍建て完了は11月7、8日ころです。』  10月28日
by senshoku-iwasaki | 2015-12-05 23:35 | いわさきのつながり
同業の、吉田美保子さんの展覧会がはじまります。
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若い頃からの同志でもあります、染織吉田の吉田美保子さん
明日より、iwasakiもお世話になっております、青山のイトノサキさんで個展を開きます。
カラフルで、ポップで、元気がみなぎってくるくるような・・・吉田さんの世界が広がりそう!
ぜひぜひ、お出かけくださーいっ!!

2015年10月29日(木)~ 11月 1日(日)
11:00~19:00
イトノサキ
by senshoku-iwasaki | 2015-10-28 21:31 | いわさきのつながり
南青山の itonosaki イトノサキさん。
この夏にオープン1周年を迎えられた、itonosakiさん。
オープン当初から・・・iwasakiはお世話になっているショップです。

itonosakiさんは、新しいカタチのセレクトショップ。
その日の気分や、シュチエーションに応じて・・・キモノを楽しんだり、
ゆるりと心地よい服を着たり、バシッとスーツの日もあったり・・・と。
現代日本人ならではの豊かな暮らし。
itonosakiさんは、そんな心地よい豊かな暮らしを提案するお店です。
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KFビルの2階にitoosakiさんはあります。
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暮らしのなかにある工藝は、白州正子さんも提案されていましたが、
着尺や帯地だけではなく、今なら・・・オーナーの畔蒜さんならでは・・・
のセレクションです。
伺った日はうつわを中心に紹介されていましたが、さまざまなジャンルの
展覧会も開催されています。

ぜひともご覧いただきたいセレクトショップです!
by senshoku-iwasaki | 2015-08-10 21:53 | いわさきのつながり