![]() 今回も大師匠、故・宗廣力三のずらし緯絣の技法から。 『練り上げ文様』と名付けられた、春の雲のようなモチーフがありまして。 2センチほど残して括り、そこを染めたヨコ糸を、ずらしながら三日月の ようなマルを作ってゆきます。 地に対して、絣の部分が濃い色になることを「逆括り」と呼びまして・・・。 それだけ括る量が増える、厄介(!?)なタイプではあるのですが。 たぶん、この場合は逆になるから・・・地の部分の四角四面な吉野格子 まで!まろやかに流水のような動きを見せるのだと思うのです。 大師匠の作品展で、『練り上げ文様』を実際目にしたのは、もう10年以上 も昔のことですし、作品集で見ているだけではワカラナイ。 あーでもない、こーでもないと・・・二人して無い知恵を振り絞って(涙)。 四苦八苦しながら、想像を膨らませて、再構築するコトでしか体感できない 悦びは・・・。自分たちがバカで不器用だからこそ、もしかしたら誰よりも 感じ入ることの出来るものかもしれないと思えてきまして。 もはや・・・柄を作っているとか、技術の継承とか、そんな意識は毛頭も 無くなってしまって。ものすごくアナログな技法を重ねたあとに見えてくる、 飛び出してくるような『織物力』に、私たちが突き動かられてしまうのです。 デザインを描いてから、色味を決めて、実際に実寸大で設計をしてみて。 絣の量を計算して、絣糸を作るために糸を括っては染めて、ほどいて。 ずらしながら織り込む。色を刷り込むのではなく、手結いで絣にする。 そうすることで『手間をかけて不確かなものをつくる』、その不確かさこそが 柄だけじゃない、手織物の魅力であり、魔力なのだと・・・。 440シリーズは、二人掛かりでもやっとやっと。 仕事は分業で挑んでおります。 今回も絣のコカセを作って、絣を括ったのは私(エツコ)。染めて織ったのは クニヒサ。こちらの帯地、織り上がったばかりで湯のしまで間に合いません でしたが、30日からの伊勢丹での展覧会に出品いたします。 ご覧いただけたら嬉しいです。
by senshoku-iwasaki
| 2016-03-27 22:32
| 着尺・帯
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