Sさまから着尺ご注文のご相談をお受けしたのは・・・2年ほど前の増孝商店で。 清野恵里子さんの本のなかの、細い縞のイメージで。 清野さんのその着尺は伊兵衛織りでしたので、同じような規格でお作りすることも出来ますが・・・。 糸が太いので重くなるとお話しをすると、iwasakiの通常の紬くらいの規格がお好みとのことで。 本では淡い茶にこげ茶のような縞でしたが、その後何度かSさまと増孝商店でお話しを重ねて。 縞は紫っぽいチャコールに決まりまして。 ちょうどそのときに(ほぼ暇な商店なので・笑)、私(エツコ)が愛用の久米島式まわたつむぎ台で マーブルのまわたつむぎ糸を紡いでいたもので・・・。 そのお話の中で「実家に確か・・祖母が作ったっていう、まわたがあったような・・・?」Sさま。 もしよければ、そのまわたからとった糸を散らしましょうか? 「ホントですか!?じゃ、こんど帰省したときに見つけてきます!」Sさま。 Sさまはいつお会いしてもナチュラルで、とてもやわらかな方。 ご希望のお色味も、どちらかというと渋めなので・・・。ベースの淡い茶は、工房庭のシャリンバイ とヤマモモで染めまして。そのまわたも! 染めない白いままのまわたと、濃淡に染めたまわたを合わせて・・・オリジナルの絹糸を。 Sさまにお預かりした、おばあ様の作った角まわたは約100g。 ヨコ糸のつむぎ糸は、全部でも400g無いくらいなので。分量としては少なくはないです。 紬のヨコ糸のベースに使うつむぎ糸よりも、チョットだけ太く紡いでいます。 一見では分かりにくいけど、実はひっそりと。おばあ様を主張させる作戦なのです。 Sさまのお母さまのお嫁入りのときに、おばあ様が作って持たせた角まわただそうで。 おそらく半世紀以上経っているかと思うのですが。 とってもキレイ。繊維はまったく傷んでおりません。。。 嫁ぎ先で娘が使えるように・・・。まわたは、布団にも着物にも絹ならではの保温材だもの。 おばあ様は、まだ見ぬ孫のSさまのことも想像しながらこの角まわたを作ったに違いありません。 きっと。 Sさまが生まれたときのお布団にも一部使ったんじゃないかなぁ・・・? 脈々と。 細く柔らかく繋がるこのまわたのように、今度はSさまの着尺になって。 Sさまは、二人のお嬢さんとまるで姉妹のように仲良しだもの。いつかお嬢さんたちも着たい! と思うような「何てことない」万筋の紬を目指しながら・・・。 結構な量の糸紡ぎ。久々で嬉しいのです。 なんといっても!休憩のティータイムには、こうげいさんに頂いた『ご存知仙太郎最中』に、 Rさまからも頂いてしまった・・・とらやの最中も! お陰様でずんずん捗っております。 神戸から戻った翌日・・・集落の御宮の秋祭り当番で雨の中準備をして。 その翌々日は、来年の『日本の夏じたく』の打合せと、蔵前の住まいの改修設計をお願いしている つみき設計施工社さんとの打ち合わせで上京しまして。 帰りに東名の事故渋滞で6時間かかって(涙)。クニヒサ、とうとうダウンしてしまいました。。。 お疲れ気味のクニヒサもしっかり休息をとって、美味しい最中を食べて(笑)。 いよいよSさまの紬に掛かります。
by senshoku-iwasaki
| 2017-10-20 22:31
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