<< 福ふく幸せな、北九州・梅園の『... 九州小倉の呉服の粋・ふくひろさ... >>
iwasaki的手織り木綿考。杉綾織無地着尺『花曇り』と『キウイフルーツ』。
手織りモノの魅力とは?とか、もう毎日毎回かれこれ
30年以上ずぅーっと考えていることです。

絹なら糸のとり方でツルツルの生糸、双子の繭から引いた
節のある玉糸、まわたから紡ぐとふんわりつむぎ糸。

木綿なら唐桟のようなつるりとした細番手の高密度のもの
から、ざっくりとふわっとした手紡のもの。
用途に応じて違うから、どっちが良いも悪いも無くて。
何なら全部が正解で、全部が好きだったりもするから
自分たちでつくるならどんな?が常にテーマなのです。

iwasaki的には着尺なら、つるりと光沢のある超長綿を
密度を経ててしっかりと綾織りで。糸が痩せにくく膝が
出にくいように作っています。
今シーズンは初めて無地のタイプを制作してみました。
iwasaki的手織り木綿考。杉綾織無地着尺『花曇り』と『キウイフルーツ』。_f0177373_19094956.jpeg
先日織り上がったばかりの『花曇り』。
こちらタテが淡いピンク、ヨコがグレーでして。
絹の杉綾織シリーズでは以前、Hさまにお作りさせて
頂いた『淡墨桜』にも似ているのですがそれよりも。
全体にマットな感じが、花曇りの日の様です。。
光沢はあるのですが、絹の光沢とはまた違ってそれが
印象の違いなのかもしれません。

iwasaki的手織り木綿考。杉綾織無地着尺『花曇り』と『キウイフルーツ』。_f0177373_19100613.jpeg
こちらは先に出来て湯のしも済んだ『キウイフルーツ』。
こちらもタテとヨコの色を変えているので玉虫のように
キウイフルーツの皮のようにも見えてきます。


iwasaki的手織り木綿考。杉綾織無地着尺『花曇り』と『キウイフルーツ』。_f0177373_19093352.jpeg
昨年末…心揺さぶる凄い本に出会えて。
この本の写真は、武藤奈緒美さんとのことで。
お着物好きでもある武藤さんならではの、さすがの
質感で。浦野プロデュースの織物の数々がどっさり
感じられる、ものすごいパワーのある教科書のよう
です!表紙カバーは経節の帯地なのかなぁ。これ、
どうやって織ったのかなぁ、織りにくかったろうなぁ。
これくらいの質感があれば、白黒の小津映画の中でも
存在感が出たのかと。
この本の中で、幸田文さんの全集に木綿の幸田格子
を装丁に使うにあたって当時その特製手織り木綿を
お召しになった幸田文さんのお姿も。
ざっくりと、ぽってりとした温かみのある木綿の
幸田格子です。きっと本を手にしたときの手触り、
温かみを重視した質感なのかも。

その下も教科書のひとつ。浦野理一の現代唐桟。
こちらの唐桟のくだりの中で、ー唐桟とは「双子唐桟」
の名称でも知られるように、綿の双糸を用いて、こま
かい経縞に織り上げたのち、仕上げ加工をほどこして、
表面にすっぺりした味と光沢を盛った織物を唐桟と称
するのである。ー原文ママ
『すっぺり』とは初めて聞いた表現だけど、ぽってり
とは対極の質感のよう。

iwasaki的手織り木綿考。
きっとまだまだ続くと思うけど、用途に応じて
規格を変えてこれからも。絹と同様に色々なバージョン
で制作したいと思っております!



by senshoku-iwasaki | 2024-03-11 23:42 | 着尺・帯
<< 福ふく幸せな、北九州・梅園の『... 九州小倉の呉服の粋・ふくひろさ... >>