iwasaki的手織り木綿考。杉綾織無地着尺『花曇り』と『キウイフルーツ』。
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手織りモノの魅力とは?とか、もう毎日毎回かれこれ30年以上ずぅーっと考えていることです。 絹なら糸のとり方でツルツルの生糸、双子の繭から引いた節のある玉糸、まわたから紡ぐとふんわりつむぎ糸。 木綿なら唐桟のようなつるりとした細番手の高密度のものから、ざっくりとふわっとした手紡のもの。用途に応じて違うから、どっちが良いも悪いも無くて。何なら全部が正解で、全部が好きだったりもするから自分たちでつくるならどんな?が常にテーマなのです。 iwasaki的には着尺なら、つるりと光沢のある超長綿を密度を経ててしっかりと綾織りで。糸が痩せにくく膝が出にくいように作っています。今シーズンは初めて無地のタイプを制作してみました。 先日織り上がったばかりの『花曇り』。こちらタテが淡いピンク、ヨコがグレーでして。絹の杉綾織シリーズでは以前、Hさまにお作りさせて頂いた『淡墨桜』にも似ているのですがそれよりも。全体にマットな感じが、花曇りの日の様です。。光沢はあるのですが、絹の光沢とはまた違ってそれが印象の違いなのかもしれません。
こちらは先に出来て湯のしも済んだ『キウイフルーツ』。こちらもタテとヨコの色を変えているので玉虫のようにキウイフルーツの皮のようにも見えてきます。
昨年末…心揺さぶる凄い本に出会えて。この本の写真は、武藤奈緒美さんとのことで。お着物好きでもある武藤さんならではの、さすがの質感で。浦野プロデュースの織物の数々がどっさり感じられる、ものすごいパワーのある教科書のようです!表紙カバーは経節の帯地なのかなぁ。これ、どうやって織ったのかなぁ、織りにくかったろうなぁ。これくらいの質感があれば、白黒の小津映画の中でも存在感が出たのかと。この本の中で、幸田文さんの全集に木綿の幸田格子を装丁に使うにあたって当時その特製手織り木綿をお召しになった幸田文さんのお姿も。ざっくりと、ぽってりとした温かみのある木綿の幸田格子です。きっと本を手にしたときの手触り、温かみを重視した質感なのかも。 その下も教科書のひとつ。浦野理一の現代唐桟。こちらの唐桟のくだりの中で、ー唐桟とは「双子唐桟」の名称でも知られるように、綿の双糸を用いて、こまかい経縞に織り上げたのち、仕上げ加工をほどこして、表面にすっぺりした味と光沢を盛った織物を唐桟と称するのである。ー原文ママ『すっぺり』とは初めて聞いた表現だけど、ぽってりとは対極の質感のよう。 iwasaki的手織り木綿考。きっとまだまだ続くと思うけど、用途に応じて規格を変えてこれからも。絹と同様に色々なバージョンで制作したいと思っております!
by senshoku-iwasaki
| 2024-03-11 23:42
| 着尺・帯
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岩崎 訓久・悦子
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