先日Oさまから「古書店で面白いモノを見つけました」
と頂いたこちら、サンプル帳(縞帳)なのですが。
素敵な装丁、隅田川(この時代は大川)に都鳥。
その名も『言問絣』。大正初期のもの。
私(エツコ)の祖父母もクニヒサの祖父母も、同級生では珍しかった明治生まれで。私の中では大正生まれのお婆ちゃんは若い!みたいなイメージが勝手にあったものの。今年は昭和99年と思い知ると、もう100年以上昔のことなのかぁ…と急に大正が遠くに(笑)。
そして『言問絣』、実は何の情報も無く。実体はよくわかりませんが、絣といっても括り絣ではなく、新しい技法として転写のような技術で量産を目指したものではないかと思われるのですが…。このサンプル帳にも何の記載も無く、わかることは大正博覧会で金牌受領ということと、この裏表紙に手書きで大正四年度と書いてあるだけで。
素材は木綿で、全て濃い茶地に柄の感じがちょっと村山大島紬にも似ているような…ないような。品番ラベルにもハトのような都鳥の前顔がキュート。
言問橋を渡った墨田区向島辺りでしょうか。高〜い煙突からモクモクと出ている真っ黒い煙が新しい時代の象徴のよう。工場製の反物ですもの。関東大震災は、大正12年の出来事となるので…その後工場は移転したのかもしれません。。。
私が20歳くらいの頃、覚えたてのまわたつむぎで糸を紡いでいた私を見て。当時90歳に近かった祖母小菊ちゃん。「やってみる?」と私が言うと。「そげーんちこつば、婆さんばやらすこたぃ」と忙しい自分にはまだ出来んと断られたことがありましたが。笑あれから35年、結構あっという間の月日でして。染織iwasakiは何も変わらない手仕事の日々なんだけれども。この言問絣の当時の社長さんが見たら「随分と時代遅れのやり方してるじゃねえか」と笑われるかもしれない明治以前のやり方で、令和の時代にも新しく感じる織物を作りたいと改めて意を決しました。生きているうちは元気に作り続けたいと思っております!
Oさん、素敵なプレゼントありがとうございました♪