Y様とは面識はありませんが、以前からiwasakiのブログやインスタをご覧くださり、半巾帯もお使いいただいていました。 ある時15年ほど前に書いた『大島紬の裂き織り半巾帯や八寸帯地』の記事を読まれて、「ぜひ制作をお願いしたい」とお問い合わせを頂いたのです。 iwasakiでは大島はヨコに裂かずに縦に細く切って使います。 経糸も通常半巾に使っている糸よりも細い、着尺に使う生糸・玉糸を蜜に配し、しなやかでベルベットのような質感を目指しています。 着物というのは本当に不思議な衣です。 作るのも着るのも、とにかく面倒くさい(笑)。 ましてや手織りは糸から始まるので、いくらでも手間をかけられる反面、染めの着物のような華やかさは無く…かかった手間が伝わり難く。控えめに言ってもかなり面倒くさいのです(笑)。 けれど。 この“スーパー面倒くさい”を、仕事として30年近く続けてきて、はっきりと分かったことがありまして。それは「面倒なコトほど物語が生まれて面白い」ということです。 Y様のご依頼も、まさにそんな物語でした。 先日出来上がった帯をお納めした際の、嬉しいメッセージを一部ご紹介させてください。 ー 想像以上の仕上がりに感謝しかありません。 大島は5年前に亡くなった主人のもの、明治生まれの義父から譲り受けた古い物。 羽二重を柿渋染めした一部は私の婚礼布団です こうして思い入れのある物を半巾帯にする事で締めるたびに『思いを身近に感じることが出来る…』とても嬉しい事です ー Y様、「着物は解いて切るところまでやります!」とおっしゃってくださったので、縦に切るのはやりにくいから今回は横に裂いていただきました。 あとは全てをお任せ頂いて、今回織ったのはクニヒサ。仕上げは私(エツコ)。 なんだか夏休みの共同制作みたいで、お会いした事もないY様がとっても近しい人に勝手に感じながらの嬉しい夏の出来事となりました。 ![]() ![]()
by senshoku-iwasaki
| 2025-08-20 22:39
| 着尺・帯
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