工房の入り口正面でお迎えしてくれるのは、アメリカ製の古いミシン。 何年か前に神戸のHさまに譲っていただいたものでして。 南部町の家に置いてきた、私の足踏みミシンと違うのは電動なのです。 もちろん現役で使用出来るものなのですが・・・。 まだ一度も稼働できていません。。。 ![]() なんでか慌ただしい日々がずっと続いていて。 年季の入った素敵な小冊子のような取説は、眺めてるだけで使っている気分(笑)。 眺めに徹してしまうのは、当然ながら英語表記なものでして(涙)。 今はまだ。 落ち着いてこの上蓋を開けることが出来なくても。 あれやこれや考えているこの時間が、何よりも好き。 Hさまがお使いになる前は、どんな方が使っていたのかしら? 何を縫ったのかしら?やっぱり幸せなキモチだったかな・・。 さてと、私はまず何を縫おうかな? 新旧二つの砧と、 木製の繭皿には、半巾帯を織った時の織り付け部分。 Hさまの魔法のミシンが、iwasakiの過去と今とそして未来まで! ジグザグジグザグ・・・心地よいテンポで縫い付けてくれそうです。。。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-10-05 22:26
| iwasakiの持ち物
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by senshoku-iwasaki
| 2016-12-22 23:21
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2月になってから、先週は友人たちと毎年恒例の味噌づくり。
今週は息子の学校行事で、日曜日らしく過ごしたものの。 年明けから・・・ほぼお休み無しのiwasaki。 やらなきゃならないコトは山積みなのですが・・・。 縁起モノ好きの私(エツコ)、ここ5年ほど・・・ ずっと恋い焦がれておりましたのが、富士の毘沙門天祭! いやはや・・・だってだるま市に、だるま開眼祈祷です(涙)。 旧正月7、8、9日の三日間にこちらに詣でば、一粒万倍 の功徳あり、とのことでして。 だるま市としても、日本最大といわれていますし。こりゃぁ 一度拝ませていただいて・・・ご利益にあやかりたいっ! と願っていたものの。 この時期、我が家では子どもがインフルエンザになってたり、 (親もだったり・笑)、展示会中だったり、大雪だったりと。 んまぁ~縁がなく(涙)。 おまけに運転手さんのクニヒサは、大の!人混み嫌い。 カレンダーを眺めては、聞こえよがしに「行きたいなぁ~!」 を連呼してみたり、ため息をついてみたり。 安芝居(!?)の甲斐ありまして、本日最終日に願いが叶いました。 ![]() 境内には、たっくさーんのだるま屋さんが。 四方八方ぜーんぶがだるま屋さん!という何ともファンタスティック な市でして。おおぉ。。。幸せすぎてどこから選んで良いものか・・・ ぽわーん♡としておりましたところ、杉山だるま店さんのコーナーで こちらの小さな髭だるまを分けて頂きました。 「今年の開眼は、右目ですよ。」お店の方。 右、左は、順番とかじゃなくて、年によって違うそうです。 できればもっともっと、眺めていたかったけど。 東京下町生まれの運転手さん、もっと混んでくるから・・と足早。 ![]() 開眼受付で、名前と住所を書きまして。願い事を選びます。 達筆な方々が裏に貼る紙を書いてくださり、若いお坊さんが 眼を入れて・・・お祈りしてくれるのを待つ間に・・・。 本堂に参拝をして、おぉ!おみくじも木のだるまに入ってる! ありがたいねぇ、嬉しいねぇ、なんかイイことありそうだよぅ!! ごっきげんで達磨おみくじを開きましたら・・・。『凶』。ガーン。 46年生きてきまして、お初の凶(涙)。 ナカナカうまいことはいきません(笑)。 気を引き締めて、日々の小さな小さな作る喜びを大切に・・ この髭だるまを拝みつつガンバリます!! ▲
by senshoku-iwasaki
| 2016-02-16 21:22
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![]() あわゎ・・・いつものことだけど(笑)。 あっという間に!?4月もあと一週間で終わってしまうコトに 今更ながら気づいた私(エツコ)。 まだ終わらないでぇ~。 まだまだ新作の生紬に、織り上がりの目処が立たないから? (っていうか、ざっくりとだけど(笑)立ててるスケジュールでも 新学期は、こんなに予定が狂うというコトは、想定外だったり・涙) せっかく晴れるようになったのに、止まっていた糸染めばかりで。 我が家の冬物の洗濯やら、春夏モノとの入れ替えやら出来てないから? どっちもなんだけど(トホホ・・・)4月のカレンダーがお気に入りだから!! 近正千広(こんしょうちひろ)さんの『コノミノコヨミ』が大好きで。 ここ何年か・・・無いと新しい年が来ないような気がして。 毎日何回か・・・眺めないと、一日がもったいないような気がして。 私には必須のアイティムなのです。 特に、今月はっ! 織物なのですっ! 乗り物でっ!?電車ですね、近正さんちのお子さんが好きなのかな? なんて夢があるんだろう!って、見るたびにウルっときちゃいそうになる位。 カレンダーって、実用的なものとか、ぱっと見でもキレイな写真のものとか、 とにかくデザインが美しいとか・・・いろんなタイプがあるけれど。 『コノミノコヨミ』は、『コノミノコヨミ』。唯一無二のもの。 ご主人の近正匡治(こんしょうまさはる)さんのつくる木彫りの『ムシャ人形』も。 全てはお二人の、日々の暮らしのなかから生まれてくる・・・ まさに、紡がれている糸のようであり、織り成す布に思えてならないのです。 それはまさに人生そのもの。 今日という日。明日という希望の日。 予定が狂ってばかりのiwasakiだけど。 こんなに、バタバタでトホホな日々でも・・・だからこそ生まれる織物もあると。 千広さんの『コノミノコヨミ』のような、iwasakiでないと、私でないと出来ない 織物をつくるのだ!というキモチを奮い立たせてくれる、魔法の暦なのです。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2015-04-24 23:10
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![]() iwasaki家の冬の晩ごはんメニューといったら、『なべ』『ナベ』『鍋』! お鍋はサイコーなのです。 味付けも具材も、どんなふうにもなるし。 翌日は、クニヒサとお昼(ほぼ麺類)ごはんに大変身を遂げるし。 肉も、魚も、たっぷり野菜も、オールインワン。 洗い物は、お箸にお茶碗とお椀だけ出し(笑)。 鍋料理って、食卓にそのまま出てくるから、ステキな土鍋が欲しいなぁ・・・。 酒井さんに初めて会ったその日から、釘付けだったのが手前のタイプ。 「ばかやろう、土鍋じゃねえよ、キャセロールだ!」って声が聞こえてきそう(笑)。 手前のコは、彼是10年ほど使っておりまして。 やっぱり酒井のアニキ、なんかオサレ。 土鍋っていうよりキャセロールだから、ビーフシチューとかポトフとかがよくあいます。 なんだけど。 小6息子は、大のおでん好き。小4娘は、大のポン酢好きのため・・・。広口タイプも欲しいなぁ・・・。 というコトで、今年初夏(だったかしら・・・?)長野の宮坂(製糸所)さんに伺うときに久々に 白州町の酒井さんのお宅にお邪魔させていただきまして。 奥のコ、そりゃもう・・・ヘヴィローテーションで大活躍中なのです。 まだまだ・・・寒くなるのはこれからだけど。 アニキの広口のお鍋は、蓋も直火で使えるスグレモノだし。 田宮亜紀さんの、直火OKの鉢も。 料理を作っているときも、食卓でも、こうやって水屋箪笥の上に置かれている姿も。 温かなキモチになってしまう、私(エツコ)の大好きな台所です。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2014-11-06 21:26
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![]() たっくさんのクッキー缶に、切り糸がいっぱい。 せっせと繋げる、私(エツコ)もいっぱいいっぱい・・・。 ちょっと広げて、更にペースをあげたく・・・手ごろな笊を、なんとなく探しておりまして。 この夏の、西日本の家族旅行中に見つけたのがこちら。 地方都市の銀座通りにある、トラディショナルな民藝店。 典型的な昭和の民藝店を思わせる店先、看板。 「失礼しまーす・・・」と重たい引き戸を開けると・・・おおぉ・・・。『昭和』がいっぱいの店内。 確かにイイモノがいっぱいなのですが。 う~ん・・・。時が止まったままなのです。おそらく30年くらい前から。 学生の頃、ドキドキしながら巡った・・・東京や、ビンボー旅先地での民藝店のまま。 私(エツコ)、民藝店も古道具店も大好きなのなのですが、なんででしょうか・・・。デッドスットクの 民藝道具というのはチョット・・・悲しいキモチになってしまって、あんまり『掘る』ココロが生まれませんで。 だってだって、ガラスケースに入っていないものはホコリが積んでいて。 当時買って、今も我が家で現役のそこにあったものの兄弟みたいな水差しや、土瓶が我が家のものの ほうが艶やかで、明らかに美しいのです・・・(涙)。道具は使われてこそ! おっ!チョット新しい笊類があるじゃん! 何種か置いてある中にこの、深過ぎず浅過ぎず、切り糸を入れるのにちょうどイイ感じのコレが。 1,800円って安いなぁ。どこのものかなぁ。どこでもイイのだけれど、本来何に使う道具なのかなぁ。 レジカウンターでテレビを観ていたお店の方に、支払いをしながら 「あのぅ、こちらどこで作ってるものですか?」私。 「中国でしょうね。国産だったら倍はしますね。」目はテレビを追ったまま。 「このくらいのサイズで、他のものもあるんですか?」私。 「無いですよ。最近無いから仕入れたんです。」 ちょうど・・・私の母世代のおかーさん、ちょっとムッとした感じで買うの?買わないの?といった目で。 「あ、頂きます。」私。 ホントは、どこの国のどんな地方で、主にどんな目的で作ってるのかを聞きたかったのになぁ・・・。 ![]() 旅先から戻って翌日。 さっそく取り出して喜んでると・・・。ペキッペキッと縁取りの竹が、どんどん割れてきて。 工房はめっちゃ湿度高いのになぁ・・と、最初は割れたところだけ麻紐を巻いていたのだけれど。 やっぱり・・・生まれた場所と環境が違い過ぎるコトに抵抗しているのかなぁ・・・? 結局グルリとジュート麻に、布団表の絣布を縫い合わせた特製の小風呂敷を敷いて。 繋ぎ糸製造笊(!?)に大変身!がぜん愛着が沸きまして、繋ぎペースもアップ!アップアップ!? 夕ご飯を済ませて片付けが終わると、テーブルにやってくるこの笊。 最近は、しっくりiwasaki家のメンバーに。あめ色になるまでヨロシクね。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2014-09-16 20:35
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![]() 21歳になる頃だったかしら!?クニヒサは郡上の学校から、京都の川島テキスタイルスクール の別科に進みまして。ずーっと着尺用の規格サンプルばかり織っていたようです。なんせ、天下の 川島織物の学校ですから、竹筬も金筬も、ものすごーく種類豊富! 個人で買おうと思うと・・・竹筬なんて超手作りの工芸品で、安いモノでは決して無いものだから・・ 糸の太さや密度を変えて、規格を変えたいと思っても『使うかもしれないけど使わないかも!?』 くらいのキモチの筬はナカナカ買えないのが実情でして。(なんとそれは未だに・・・溜息) 学生の特権を活かしきった、クニヒサの当時のそのサンプルが今日のiwasakiを支えております。 その頃京都に遊びに行って。 京都のやまと民藝店の分館(だったと思う)で、鳥取民藝家具を取り扱っていて。 松本民藝家具より通っぽいといいますか、拭き漆仕上げの質実剛健な感じがとってもよくって。 座り机のビューローが、まるで文豪の机みたいでカッチョよくって(笑)。嫁入り道具にしたくて。 バイトに勤しむも・・・でも翌年結婚するときには、機道具でお互いすっからかん。 それから10年近く経って・・・南部町に移り住んでから、どうしても気になって・・・。 当時お店でいただいて大切にしていた、手描きのカタログを広げて・・・まだ扱っているか京都に 電話をしたのが15年前の今頃。 「せっかくお電話いただきましたのに、残念なんですが・・・現在作っておられないんですよ~。 今、こちらに一つだけ・・・お盆が残っているのですが・・・」 もう無い、作っていない、に打ちのめされた私、「そのお盆、いただきたいのですが・・・。」と 見もせず送っていただいたのがこのお盆。家でも工房でも使い込みまして、工房展のときなどは大活躍。 先日。 クニヒサと小津安二郎の『お茶漬けの味』という映画のDVDを観まして。 1950年代の昭和がたっぷりの、住宅、パチンコ、競輪、野球、とんかつ、ラーメン・・・。 60年前の、小津の丁寧に描写のなか、クライマックスの『お茶漬け』の重要なシーンにこのお盆と同じ ものが登場しておりました。お盆だけじゃなくて、鳥取民藝家具と思われるスタンドライトや、李朝っぽい 八角のテーブル・・・。おぉ~っ!!と二人、ミョーに盛り上がってしまったものの。 横に居た子供たちは、退屈そうにそれぞれゲームをしておりました・・・(笑)。 2週間ほど前から、どういうわけか毎晩私の枕元に『進撃の巨人』が一冊ずつ置かれていて。 どうやら小6の息子、私を巻き込ませて新刊を買わせる作戦?と感じつつ。 どんなものか読み始めたら・・・展開が早い早い・・・(涙)。おばはん、飲み込みが悪いので(笑) 息子のように速読は出来ず・・・昨晩やっと13巻を読み終えて。 (隣のおっさんは、更に読むのが遅く・・・近日中なのかなぁ・・・笑)。 まんまと息子の思惑通りの45歳。 小津ワールドのゆっくりさ、障子越しに消えてゆく印象的な背中・・・。 30年サイクルで時代は大きく変わるけど、変わっていないものもまだまだあって。 60年前のその映画の中でも、変わらないものを好む兵隊帰りの主人を、垢抜けない田舎者と 受け入れられないお嬢様育ちのマダム。 新しい時代の象徴のように、銀座和光だったりナイター観戦だったり・・・・。 でも、最後はお茶漬けで。 この映画で平和の象徴のように、家族の愛がお盆にのるお茶漬けの具材・・糠漬けとご飯。 iwasaki夫婦もこのお盆で、準備しましょうか・・・。 ![]() ▲
by senshoku-iwasaki
| 2014-07-07 22:54
| iwasakiの持ち物
![]() 築140年のこの家。 我が家のリビングは、もともと玄関から土間つづきの旧台所と、農機具置き場(!?)になったり 農繁期とか、人手の多いときに使うような控えの間のようだったけれど・・・。 昭和50年代には子供部屋のように使っていたような形跡があって。 その当時のベニヤ板を剥がしたら、出てきたのがこの壁と柱。槍鉋で削ったような味わい深い まるでアフリカの古道具みたいで、お気に入りのひとつです。 工房部分の座敷だったところは、フローリングにしたくらいの改装しかしていませんが。 リビング側は、水周りのこともあって、業者さんや大工さんにやっていただきました。 そのときに・・・。大工さんが「イワサキさん、こっちは140年よりも古い、古材で出来てるよ!」と。一体何年もの? この家を建てる前の家のときの材料で、使えるモノは使う精神が滲み出ているこの景色。 こうなったら、使えるウチは使い切る、iwasakiの精神もさらに繋げて・・・。 この家には、更に長生きをしてもらいたいものですが・・・。 我が家の子供たちは、何が憧れって・・・「絶対マンション暮らし!」だそうで(笑)。 締め切ると湿気るし、雨どいや、裏の水路はすぐに落ち葉で詰まる・・・。 別荘使いには向かない古い家ですが、毎日のちょっとした手の入れ方ひとつで格段に快適になる・・・ この家に暮らしてから、私(エツコ)はかなりの引きこもり(笑)。 食材も日用品も、ほぼ宅配のパルシステムで。買い物に出かけることも無く、ここでの時間が一番なのです。 ![]() ▲
by senshoku-iwasaki
| 2014-06-17 20:54
| iwasakiの持ち物
![]() 「エツコさーん、どうでもいいんですけどねコレら、振り分けられてるんですか?」クニヒサ。 「もっちろーん!着尺の織り上げ部分の長い切り糸はこのイケアのクッキー缶で、今は この丸缶二つを供米袋に入れて・・仕事場とリビングを行き来ね。 織りつけの短い切り糸はクリスマスじゃないほうのイケア缶。ショールの糸はこっち。 このチョコとか入ってた、小さめ缶は携帯用ね。移動中とか、滞在先とか。角型缶には 銀河シルクの切り糸ばっかりなのよん。今度、銀河シルクの結び糸シリーズ考えてんの!」私。 「ほぅ!宮坂製糸所の銀河シルクも、そんなに貯まりましたか・・・。イイかもしれませんねぇ。」クニヒサ。 「でしょっ!!あー。もう忙しいわー。誰かアタシを休ませてぇ~!みたいな感じよー(笑)。」私。 「『これ以上糸繋ぎすると、命の保障はありませんよ』ってドクターストップかかっちゃいますね。」クニヒサ。 「そーそー!そーゆーの好き(笑)。」私。 「かぁちゃんはイイなぁ。幸せそうで。」小6息子。なんだなんだ! お幸せな私、今日も大統領のように(!?)目まぐるしく手指と踏み木を踏む足だけ動かして仕事中! ![]() Mさまの繋ぎ糸だらけの『結びの着尺』、予想通りに悪戦苦闘しながら・・・ それでもココロ穏やかに(笑)、ただいま九合目あたり。死の淵(!?)をようやく越えたあたり。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2014-06-15 20:48
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![]() 前回の古袱紗を、小母さんから戴く数ヶ月前・・・。 出会ってスグの26年前の春のこと。 当時通っていた学校は、バウハウスをお手本とした工芸の専門学校でして。 私(エツコ)は第1期生ということもあって、学校は何もかもピカピカのおNEW。 本校は飛騨高山にありまして、染織学科だけ郡上八幡にあったのですが。 春休み中に郡上入りをしまして、2日目にして齋藤さんと出会った私。 入学式は、本校のほうで・・・。 1週間のオリエンテーションは、本校の学生寮に泊まらせて貰うというコトで。 郡上八幡も初めてだったけど、飛騨高山も初めての街。心踊りました、ハイ。 「えっちゃん、高山はどうやった?」小母さん。 「楽しかったですぅ~!!古道具屋さんがイッパイあって。」私。 「古道具屋!?下手物なんか好きなんかん?」小母さん。 「カワイイのがあったんですよ~。ほら、パッチワークなんです。カワイイなぁ。」私。 「おまん、まさかそれ買うたんか?しかもカワイイって!?」小母さん。 「そーですよー。あ、でも結構迷ったんですよ・・・」私。 「買うか買わなんだでやろ?」チョット入れ食い気味に・・・小母さん。 「いやいや、もう一つだけ似たような巾着があって・・・。」私。 小母さん、急に立ち上がって。仏間の引き出しから何やら持って・・・。 「あっ!!同じだ!」私。 「えっちゃん、コレはな、お寺さんにお米持って行くときに使った袋やん。」小母さん。 「それでか!だから絹の着物の端切れをパッチ したんですねっ! うぁっ!齋藤家のは流石ですね。虫喰ってますけどココ更紗だし、ココなんて帯地ですね~。 やっぱり敬意を込めて、端切れの中でもハレのものを組み合わせたんですね~。感動ですぅ。」繁々と私。 「それ、欲しかったらおまんにあげる。」小母さん。 「えっ!?でも齋藤家のが無くなる・・・」私。 「お寺さんに米持って行く時代じゃないわなぁ・笑。 えっちゃんが大事にかわいがってくれるなら、この袋縫ったご先祖様も喜ばれるわな。」小母さん。 「・・・。」 「でもな、えっちゃん、おまんはご両親から仕送ってもろてるんやで。無駄遣いは、だしかんで!」小母さん。 『だしかん』は、郡上弁で『ダメダメ』の意味。(笑) これから始まった2年半の学生生活・・・。小母さんにどれだけ『だしかん!』を連呼されたことか・・・。 ただ小母さんには申し訳ない・・・。ビョーキはとうとう治らず今日に至っておりますが(笑)。 それにしても、齋藤家の供米袋。 文政八年・・・って、調べたら190年くらい前!!裏地の晒しは木綿ではなく上布のような麻。 ビョーキはとうとう治りませんでしたが、 二つの供米袋に出会っていなければ、あまり糸を繋げて繋げて・・・の着尺なんてゼッタイ作らなかった だろうから。この袋にはよく・・・切り糸をどっさり入れた缶を入れて、リビングでチョットの時間に繋ぎ糸。 200年後、カワイイ!なんて言われたら嬉しいなぁ・・・。 ![]() ▲
by senshoku-iwasaki
| 2014-01-07 20:59
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