伊勢丹新宿店でのグループ展のときにご注文くださった Mさまは、iwasakiの御柱織りで「何か」をご希望。 しばらく考えて。。。 「私ね、毎日土鍋でご飯を炊くの。 ある作家さんの土鍋なんだけど、本当に美味しいの。 炊いている時も、炊けて食卓に置かれた姿も。 すっごくイイのよ。幸せなキモチになるの。 毎日美味しい土鍋のご飯みたいな三つ崩しがイイかも」 三つ崩しとなると、濃淡がないと作れないので 白米だけではなくて玄米も混ぜていいですか? 遠目には7分づきくらいのご飯に見えるかと思うの ですが・・・。のクニヒサに 「お任せします!良いようにしてください。」Mさま。 懸命に美味しい米づくりに励んでいる人がいて。 美味しいご飯を炊くことに特化して土鍋を作る人がいて。 たくさんの人の手間ひまにMさまの手間ひまも加わって。 Mさまのお宅の食卓は、幸せに満ちているのだから・・・ iwasakiも。 宮坂製糸さんで人の手で懸命に引かれた玉糸で。 双子の繭の節の味わいと、座繰りの手引きの味わいを 存分に引き出せるよう、一越ずつ杼を替えての崩し。 年末に伊勢丹新宿店の特選呉服でMさまに見て頂いて。 とっても喜んでくださって。 心から安堵いたしました。 なんせMさま、お代も先払いだったものだから・・・ 実物を見て、もしがっかりされることがあったらと。 でも制作中は。 とっても楽しかった!(笑)だって、つやつやふっくら まるで炊き立てご飯そのものだったので! iwasakiは、なんといっても何でもない日が好きです。 特別じゃないフツーの日。 朝は大抵、コーヒーとトースト。 冷蔵庫の夕べの残りを変化させたお昼ご飯を食べて。 今日の仕事は、今日だけのものでもなくて 昨日から明日や来週に繋がってゆく仕事。 ちょっぴり居心地の悪い(!?)特別なお正月という ハレの日を、いつもより長めに過ごしましたので。 4日からいつも通り仕事場に戻り、あぁ幸せ~。 Mさまの御柱織りのような、毎日着ても飽きない 何でもないけれど幸せなキモチになれる織物を! 今年もせっせと織り続けたいとおもっております。。。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2020-01-08 23:00
| 着尺・帯
10・11月の二ヶ月間、クニヒサはブランケットを中心に。 新企画の『半巾50』に取り掛かりまして。。。 私(エツコ)は組成の違う着尺を3反織りました。 一反目はこちらの『地紋ある着尺』。 タテ糸に群馬・碓氷製糸さんの生糸を。 ヨコ糸に長野・宮坂製糸さんの座繰りの玉糸を使って。 このシリーズは、ヨコ糸の越し数を数えながら・・・ 四角の大小でマルをつくる「市松織り」とも呼ばれています。 この大きさでマルを構成したのは今回初めてで、 もっと大きいタイプか、小さいタイプでしたが。 今回の大きさは、もしかしてちょうどいいかもかも・・・。 このシリーズにかかるときは、 数えながらになるので、私語厳禁になりまして。 クニヒサがしゃべりかけても、ほぼスルーなのですが。 何度そう言ってもワカラナイ(いや、ワカリタクナイ!?) のは岩崎の母でして(笑)。 しゃべりながら嫁のところに直行してくるものだから(涙) こっちも学習しまして。 ばばちゃんが仕事場に立ち寄る頃合いを見計らって・・・ ヨコ糸を小管に巻く作業に充てておしゃべりタイムに(笑)。 その緩急が良かったのか、 この着尺は織り始めから終わりまで・・何の問題もなく スムーズにいきまして。 いろんな意味でバランスのよい一品になったかも!?な この着尺も。 12日からの『増孝商店』に並びます。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-12-03 22:00
| 着尺・帯
キラキラと輝く水面のような段です。 緯吉野の組成は今までに、平織りと組み合わせた 『入り江の波』シリーズがありますが、今回は。 穏やかなさざ波がずっと続きます。。。 ナカナカ織り進まなくて、腰板に乗りっぱなしで お尻も痛くてぇー。(涙) かなりな難産となってしまいましたが(笑)。 織り上がって、機から降ろして繁々と眺めて。 あぁ。 今回も愛おしい織物になったなぁ。。。と お尻の痛さも心なしか和らいで(笑)。 ![]() 先日。 郡上に暮らす日置先生から今年も。 岐阜の富有柿と、先生手描きの来年の暦が。 これまで野仏を描いてきた日置先生でしたが、 今回は日置家に伝わる江戸期の『巻子本』から。 7㎝巾で12mもある巻物だそうで、中には 3㎝~5㎝ほどの種子曼荼羅など150体以上の 尊像が線彫されているそうで。 いつも先生が描く石仏や、寺院の仏様とは 違う珍しい造形なので、少しアレンジをして 描きましたとありまして・・・。 扉に『美醜未生』の文字が。 柳宗悦の『美醜未生』の言葉ですが。 電話のなかで先生は、やや興奮気味に・・・ 「えっちゃん、やっとこの言葉にボクは 繋がることが出来た気がするヨ。」 柳宗悦が『工藝の道』のなかで 無名の工人が自然や、伝統や実用性に助けられて 生み出したとして民藝を仏教の他力道になぞらえ 『美の法門』のなかで 信と美の深く結ばれた世界の実在を示して、 多くの衆生(僅かな天才ではなく凡夫にこそ) を招くという論説に出てくる『美醜未生』。 iwasakiの織物づくりもまさに。 『美醜未生』の境地に立って 凡夫にこそ生み出せる「愛おしい」織物たちが。 誰かの「美しい」に昇華出来ることを信じて。 今日もまた。 お尻をさすりながら(笑)、次の織物を作って おります。。。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-11-26 23:08
| 着尺・帯
今年iwasakiは、8月からブランケットなど 秋冬モノの織物にも取り掛かりながら・・・ 気がつけば立冬も過ぎて。 ふと。なんか寒っ(笑)。 あらら、イワサキ家はまだ衣替えも出来ておりませんで(涙)。 なんでこんなに時間が足りないんだろう? いやいや、あーたの仕事が遅いんじゃと天の声。 ううぅ。 「そういえばこの秋は、栗を食べるのを忘れてたわ。。。 南部町にいた頃は必ず作った渋皮煮だったのにぃ~。」 「あ!エツコさん!! 神戸のRさまからすっごい羊羹を戴いていたんじゃ?」 クニヒサ。 おぉぉ。食いしん坊の私が こんなに重要なコトを忘れるなんて、重症かも(笑)。 立派なサイズの渋皮煮の栗がゴロゴロと、しかも上品な 白あんで固められた、渋皮煮以上の美味しい渋皮煮栗を 食べている気になる初体験の贅沢な秋をいただきながら。。 染織こうげい・神戸店さんから送られてきた、Rさまの 御柱織りの画像を。8月に制作させて頂いたもので、 先の神戸店さんでの作品中に仕立て上がったものでして。 しっとりとお召しくださっているお姿に、うっとり。 格子の大きさ、渋皮煮のような(!?)薄茶、Rさまの イメージは古い伊平織でした。 合わせてくださっている山形斜文の八寸帯も。 あれやこれやとクニヒサと、色味を試行錯誤しながら・・ の制作でしたが。 Rさまがとても喜んでくださったことが何よりも。 私たちにとって嬉しいことなのです。。。 ナカナカ織り進めない時間も。 こんな素敵な日がやってきてくれることもあるから 手を止めるコトが出来ません。。。 ![]() そしてこの方も。 手を止めるコトが出来ない、素敵な記憶をいつもくださる Nさま。ご注文くださった、吉野格子の九寸帯地を見に蔵前 までお出でくださった・・9月中旬のお仕度。 まだまだ残暑厳しい日のことでして、松永恵梨子さんの染め のお着物にiwasakiの緯吉野半巾帯『SAVON』をさらりと。 実は今。 私(エツコ)はホントに織り進まない(笑)着尺に掛かってて。 一日中織って2尺とか・・・マジかぁ~(涙) チョット途方に暮れながら(え?今更?って天の声・笑) こりゃ、織り上がるのはもっと先になりそうだから。。。 明日こそは。 夏物を仕舞って、秋はすっ飛ばして(笑)。 冬物を引っ張り出さないと。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-11-11 23:26
| 着尺・帯
カレンダーがとうとう今年もあと2枚になって。 いつものことながら。。。 はて、今年って自分、何したっけ? な気分になってしまいます。 仕事は(きっと)かなりしています(笑)。 もともとのボケボケな性質に、撚りが掛かって。 一昨日織り上げたモノまで忘れてしまうくらい(涙)。 今年iwasaki夫婦は二人とも50歳になりまして。 節目の年らしくて、iwasakiらしい何かを 51になるまでに作ることは出来ないかしら?と。 とんでもなく忘れっぽい私(エツコ)でも それだけはこれから先も鮮明に覚えてるような・・・。 やってみたかったけど、今まで出来なかったことで。 ![]() 始まりました大!?プロジェクトはコレ、半巾帯です。 大プロジェクトなのは、その数でして。 二人で50本作ります! iwasakiでは、半巾制作は通常4本ずつなので。 ざっと見積もっても12回は機にセットすることに・・・。 それを他の制作と並行しながら・・となると。 たぶんきっと、そうは見えない(笑) 長閑な手織り工房ですが、 かなりタイトなスケジュールになってしまいます。 なんといっても。 51歳になってしまう前に達成せねば!となると。 6月生まれのクニヒサと、7月生まれの私なので。 来年の5月がタイムリミット。 毎日はいつも同じようでありながら。 50年も経ってしまったら、そりゃもう別世界級の大変化。 でも変わらないモノも必ずあって。 iwasakiはそんな織物でありたいのです。 そんな思いを込めましての大プロジェクト(笑)。 これから時々・・進行状況をアップ出来たらと思います! ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-11-04 22:38
| 着尺・帯
iwasakiの手織りの半襟は、 今までに平織りで緻密なグラデーションタイプや、 小さな格子で小弁慶シリーズ。 昨年は、ヨコ糸に太目のエリ蚕の糸を使った ざっくりとしたタイプもつくりまして。 今回は。 九寸帯地と同じ規格の、緯吉野。 凹凸があって、可愛くて、大人っぽい。 年末年始の華やかなシーンでも似合いそうな。。。 ![]() 織り始めてから。 おぉぉ。こりゃ綺麗だわ~と期待と同時に後悔も(笑)。 この組成は、ヨコ糸を喰う=織り進まない組成でもありまして。 なんてったって 巾は無いけど、九寸帯地のときと同じだけ杼(シャトル)は何度も 私(エツコ)の掌を、右へ左へと行き来します。 一枚約110㎝、それが一日がかりでやっとやっと。 もう懲り懲り!? いえいえ、私は真のバカ(笑)。もちろんクニヒサも。(笑) 10日間かけて11枚織り上げた後に。 隣の機にセットしたのは。 同じ規格で着尺です。 11枚の半襟の中で、 さまざまな色で試し織りのお宝級の体験をした直後ですから。 きっと良いモノが出来そうです。。。 緯吉野の組成は、iwasakiではおなじみで。 半巾、八寸、九寸に、着尺に、マフラーとかイロイロ。 使用する糸の太さでびっくりするくらい表情が変わります。 永らくこの仕事に携わっておりますが。 いまだに 小さな驚きと発見がありまして、底が見えません。。。 中3の娘はどうしても行きたい高校があるらしく。 「ここの推薦入試を受けるなら、入試説明会は全部来たほうがいい」 って在校生に言われたからと、娘に付き合わされて。 私はただいるだけの保護者なのだけど・・・。 担当の先生から「自分がどう生きたいのか明確に伝えられるように」 と言われていて。 ふーむ。 キッパリと明確に生き方語る15歳なんて、 私だったらあんまり信じられないなぁ。 50年生きてても、アタシは迷いぱなっしなんだけどなぁ。。。 真のバカは保護者には向かないなぁ。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-10-28 23:15
| 着尺・帯
きっちりと、まるまなこ。再び。 タテヨコともに紫がかった濃いグレーの無地です。 こっくりと。 深まるこれからの季節に・・・。 淡い色のときよりも堀が深く見える菱たちが、 少し冷え込んだ朝の 朝露のようにも、朝靄の中に注ぎ込む陽ざしのようにも。 ![]() 蔵前のiwasaki工房は、 只今3台の機全てに糸がかかっており、慌ただしく制作中なのですが。。。 ふと。 あまりにも工房が片付いていないことに改めて気づきまして。 おまけにこの工房は、 ガラス張りの外からまる見えの仕事場でして(涙)。 これはいけない、このままではイケナイ・・・。 私(エツコ)、蔵前に来てからお掃除する箇所が増えまして。 そのうえ千葉の実家だったり、南部町の家だったり。 (この2軒は間違いなく大掃除になるので)とにかく休日はそれらに代わり。。 なるべく工房にいる時間は、織り進めることに専念したく。。。 そもそも 蔵前に引っ越してきたときにも、仕事を早く再開させるためにとりあえず 置いた道具の配置だったりするので・・・。 果たして使い勝手が良いのか悪いのかもよくわからず。 これはいけない、このままではイケナイ・・・。 作業効率を高めるためにも、自分たちのキモチを高めるためにも! 工房をナントカしよう。 ・・・ナントカなるのかなぁ? 山形斜文の菱山を数えながら悶々と考え中。。。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-09-30 22:34
| 着尺・帯
染織こうげい・浜松店さんで、Oさまよりのご注文頂きましたもの。 タテ・ヨコともにツルツルの生糸でキッチリピッタリの菱は、まるまなこ。 タテ色はアイボリーで、ヨコ色がシルバーグレーです。 ![]() 艶やかな光沢と、立体感。 山形斜文のシリーズはiwasakiの定番として・・・今までにかなり制作してきました。 シンプルなのに。 これほどチカラを感じる織物は、そうは無いんじゃないかと自分で思うくらい(笑) 世界中で作られてきている、ド定番の組成のチカラでしょうか・・・。 このOさまの帯を制作したときに、もう一本同じタテ糸で作りまして。 それはヨコ色に深いグリーンのタイプです。 幾度となく作ってきても。 飽きるコトが無いのも定番ならではのチカラ。 タテ色の濃いタイプも欲しくなりまして、クニヒサ染めた色は・・・。 紫がかった濃いグレーです。 秋から冬に。 深い奥行きのある菱たちが、豊かな輝きの雫のような帯地にしたいと思います! ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-09-24 22:36
| 着尺・帯
夏にクニヒサが制作していたのは、吉野格子の九寸帯地二種。 吉野間道とも呼ばれるこの織りは、縞の部分の糸の密度が二倍。 凹凸があって、艶やかで、織物らしくて。 iwasakiの織物の中でも・・・ チョット余所行き(!?)おすましなアイティムでもあります。 ![]() Hさまは、吉野格子の『板チョコに銀紙』シリーズをご覧になって。 アイボリーとブルーでリクエスト。 ブルーにアイボリーにシルバーグレーと、少しだけ天蚕の生糸は効かせ色。 すっきりとした、爽やかな一品になりました。 ![]() 型染めなどの工芸的な染めのお着物もとても愛するNさま。 お持ちの染めのお着物の画像の中から 「このお着物に合わせたいと思って・・。」と見せてくださったのは。 型絵染め作家の遠藤あけみさんの作品で、素敵なのです。。 「うわっ!!」とiwasaki夫婦二人で喜んでしまったのは、 私たちも遠藤さんの作品とお人柄のファンでして・・・。 アトリエにお伺いさせて頂いたこともありまして。 その遠藤さんの作品に合わせる帯ですから。気合が入ります! Nさまとの打ち合わせで、シルバーグレーの無地となりまして。 タテ糸は生糸、ヨコ糸に玉糸を使って糸味のある無地に。 先日。 出来上がったこの帯地をご覧になったNさま、とても喜んでくださって!! ー上品な光沢、色、それでありながらお高くとまっていない(笑)、 温かい親しみやすさがあって・・・ どんな着物にも合うのに、ちゃんと存在感もある帯ですー あぁぁ。 何よりも嬉しいお言葉を頂きました。 Hさま、Nさまありがとうございました。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-09-18 21:43
| 着尺・帯
『お柱織り』は、iwasakiの着尺の中でも最も太口。 糸味全開の素朴でありながら、絹量たっぷり贅沢な一品。 どこか懐かしくて・・でも新しい、そんな風情。 ![]() 『お柱織り』は、宮坂製糸所さんの座繰りの玉糸を使用して。 なんといっても糸感、節感、光沢感、そして重量感。 これからの季節に 単衣でも暖かで、何でもない日に特別な心地よさを与えてくれそうです。 『お柱織り』シリーズは、濃い色と薄い色を交互に経てて。 ヨコ糸も濃い薄いで交互に入れると、あじろのような崩しになるのですが。 これはヨコ色は一色です。 不思議なことに この仕事に長く関わっていますが、全く飽きることが無いのです。 それはこんなシンプルな組成でも、あー。こんな風になるのかぁ。と ヨコ糸を入れてみるまで、それもヨコ色でまた大きく変わるところなのです。 それは iwasakiの他の着尺類で使用する糸の太さの約4倍という、糸一本の迫力もある のだと思うのですが。 やっぱりどこか・・・ 正解のない「人の生き方」みたいなものを感じてならないのは、私だけではない んじゃないかなぁ~。 私自身は織物に出会えてヨカッタと思う瞬間でもあります。。。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-09-14 23:13
| 着尺・帯
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