1 百千鳥の声に目が覚めて。 あぁぁ。もう2月も終わってしまうのね・・・と。 この裏庭は、この家を手に入れたときには沼(!?)のようでして(笑)。 土手がせり出して、藪になって、落ち葉がまた降り積もっていて。 初夏になると、モリアオガエルの卵が水辺に落ちそうになっていて。 それを下でアカハライモリたちが狙って(!?)いて。 それはそれで良かったのかもしれないけれど。 暮らすにはあまりにも湿気っていたので。 土手と裏山の樹々を払ってもらって。 沼のような池は、グッと狭めて水路のようにしてもらって。 土手から染み出す山の水は、普段はちょろちょろ流れています。。。 山葵もクレソンも、杜若も、すっかり定着して10年近くに・・・。 ![]() ![]() 長年の空き家だった時代に・・・せり出した土手が何度か崩れて、その都度土砂を払っていくうちに。 本来のこの家の石積みが出てきたのが10年ほど前。 3月末に蔵前に引っ越すことになったiwasaki家だけど。 暮らすのに手間がかかって面倒臭い、隙間風が寒くて快適とは程遠い、だけどどこまでも愛おしい。 まるでiwasakiが目指す織物のような・・・。 築140年のこの家を、再び独りぼっちで寂しい思いをさせないように。 本当は、やらなきゃいけない引っ越し準備もそっちのけで(笑)。 ギリギリまで仕事をしながら、乾燥している冬のうちに裏庭の手入れを毎日!少しずつ。 それがなんとも楽しくてぇ~。 生きている実感に浸りながら、今年もチョットほろ苦い山葵の花入りのパスタを食べて。 工房と住まいが東京に移っても、足繁くココには通うぞと決心。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2018-02-27 21:30
| 岩崎のある日
「渡り」と呼ばれ、異国への憧れも込めて重宝がられた名物裂のイメージで。 アフリカ、シエラレオネのメンデ族のボーダーの織物からインスピレーションを得まして。 iwasaki流に消化(!?)しますとこの感じ(笑)。 作る度に縞の幅だったり、色だったり変えているのですが。 今回はこの赤を使いたくて。 ガーナチョコレートの包み紙のような赤。 そういえば、そんなテーマでもっと赤ベースの八寸帯地を作ったこともあります。 幼くならない、大人の遊び心で楽しんでもらえそうなストライプです。 ヨコ糸にマットなキビソ糸。ビターチョコ色や、草色、水色。 差し色にはキビソ糸のほかに、光沢のある銀河シルクのアイボリー、墨色。。。 組織が変わると、地糸の出方も変わるのも面白いのです。 お世話になっている染織こうげい・神戸店さんでは来月、木綿の着物の展覧会を開催されるそうで。 なんとiwasakiの新作の半巾帯も出品いたします。 iwasakiの半巾帯の素材は、シルクなのですが。手織りの木綿のキモノとの相性も良いのです! 遠い昔に。 海を渡って東の果てまでやって来て愛された織物たちのように。 iwasakiのこの半巾帯も旅をして。素敵なユーザーさんに、これまた素敵なお着物に、楽しく コーディネートしてもらえたら!・・・なんて考えながら制作中。
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by senshoku-iwasaki
| 2018-02-21 21:01
| 着尺・帯
小径(こみち)と題したシンプルな縞のシリーズは、iwasaki結成当初から・・・。 この其の2は、ちょうど人差し指一本分くらいの巾で。色と糸使い違いで一番制作している縞です。 単純なんだけどつまらなくない(笑)、昔の縞帳にあるような愛くるしい縞がテーマ。 刈安で染めた、透明感のある綺麗な黄色の濃淡だけで以前制作したことがありまして。 それがずっと気になっていたとご注文くださったKさま。 タテ糸は生糸と玉糸を。 ヨコ糸は玉糸100%なので、双子繭のゴツゴツとした節たっぷりの味のある質感ながら サラッとつるっと光沢感のある着尺になります。 やっと今日織り上がりまして、機から下しました。 そうはいっても、玉糸の節が大暴れ(!?)する個所もあるので、いろんなカセから小管(コクダ) に巻きまして。。。ヨコは一色なのに、杼(シャトル)は4丁使って散らしました。 刈安(カリヤス)はススキ科の草なので、煮だすときはなんともいい香りに包まれます。。。 こういうアロマは、化学染料には無いなぁ・・・とクニヒサ。 化学染料の良さ、植物染料の良さ、どちらもアリでどちらもイイというのがiwasakiの結論ですが。 少しずつ色が変化するのが植物染料です。 Kさまのこの着尺も。 時間をかけて少しずつ、お色味が落ち着いてゆくはず・・・なのですが。 「それをね、また楽しみに着ていきたいのネ」Kさま。 Kさまは、iwasakiが初めて・・・百貨店のイベントに京都の下村撚糸さんのブースにチョットだけ 出品させて頂いたときからのお客様なので・・・20年以上のお付き合い。 ビジュアルもお好みも全然変わらないKさま。 出会ったときからカッコよくて、お洒落で、男前(!?)な素敵な方で。 私(エツコ)のずっと憧れの女性のおひとり。 憧れのお手本がいっぱいあって幸せですが、いつまでたっても全く近づけないけれど(涙)。 こうして楽しく制作させていただいたものが、素敵な方々に着て頂けるのが・・何よりも幸せです。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2018-02-15 22:09
| 着尺・帯
お出でくださいました皆さま、ありがとうございました。 静岡カントリー浜岡コース&ホテル・カルチャーフロアでの12回目の展覧会も無事終わりまして。 昨日二人で会場に行きまして、搬出をしてきました。 この12年を振り返ると・・・。 思い出すことも出来ないくらい(笑)、毎回いっぱいいっぱいで。 こちらの展示会は期間が長いのと、会場が広いのとで・・。 毎年、その年の仕事の総まとめのような位置づけで。 この12年のうちに、少しずつ。 学生の頃からもっともっと作りたい!と思い続けていたフツーの日の帯、着尺の方向へ・・・。 そうなると。 ショールやマフラーも10年前に作っていた糸使いとは、少し変わってきていまして。 一見ではワカラナイかもですが、なんでか確実に面倒な方角(!?)に進んでおります。(笑) 芸風はナカナカ変えられないのですが。 これからも生きる限り(笑)、作れる限り・・・。 その中で「前回作ったときとは違う」道を選ぶ、変化を楽しめる時間と経験を重ねたいと思っています。 ありがとうございました。 ![]() ▲
by senshoku-iwasaki
| 2018-02-13 21:12
| 展示会・お知らせ
イトノサキさんで昨年からご注文頂いている・・・Mさまの八寸帯地は。 タテ糸の銀河シルクはアイボリー、ヨコ糸のキビソ糸は深いグリーンです。 ![]() 宮坂製糸所さんの銀河シルク、今回はいつもより若干太め・・・。 こればっかりは手作りのものなので、毎回微妙に違うのも面白味のひとつなのですが。 このアイボリーは、ヤマモモで染めて。画像だと白に見えますがクリーム色です。 今回のように・・・タテヨコのコントラストが強いと、 真横から見ると白い帯地に見えるから不思議です。 そして正面から見ると、Mさまのリクエストの濃いグリーン。 この帯は確かに・・・ブルー系にも茶系にもグレー系のお着物にも映えそうです。 立春を過ぎても厳しい冷え込みが続いていますが・・・。 樹々の芽たちは少しずつ膨らんで。 一歩ずつ近づいている、待ち遠しい次の季節を感じながら。。。 爽やかな深緑の風をイメージしながら制作中です。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2018-02-08 21:56
| 着尺・帯
昨年末から1月と。 しこしこせっせと取り組んでいた紬着尺は、手・指・掌。 こうしてみると、至ってシンプル。 だけどどうして。 永らく着ているうちに、少しずつ見えてくる感じてくる・・・。 一筋の、ヨコ糸のまわたの手つむぎ糸にiwasakiらしさを閉じ込めて。 どうってない、何てことない、平織りの縞格子。 ざっくりと、サクサク織ったわけではありません。。。 だからといって、時間をかけりゃイイとも思ってはいませんが(笑)。 着尺は特に。 何てことないものほど・・・。 その場所や、帯もあまり難しいということもなく、気が付くとヘビロテになる傾向があると 思うのですが。。。 一見何てことない、シンプルなものだからこそ、じわじわと後から味が出てくる仕掛けを。。。 よっぽどのことがない限り。 着物は次の代まで持つものだから。 そのときに、iwasaki夫婦が絶えていても。 名もなき先人の作り手が、ヨコ糸一越手つむぎでこの効果を狙って作ったのでは? と、未来の愛おしい系織物好きの人に感じてもらえたら・・・。 一昨年、我が家の北側の部屋の畳の下、歪んだり腐ってしまった根太と床板を、大工さんに 修理して頂いて。取り外した木材は、全て薪ストーブで暖をとり・・・。 灰から出てきた、鉄の手打ちの釘ひとつ。 140年のこの家の建設当初のもので。 その釘のような、まわたの手つむぎ糸の一越になってくれたらイイんだけどなぁ。。。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2018-02-05 21:51
| 着尺・帯
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