1 iwasakiお馴染みの(!?)緯吉野の八寸帯地ですが、今回はアースカラーの二品。 ツルツル、ゴツゴツ、カサカサ、フワフワ・・・様々な質感の絹糸のほかに今回は。 科(シナ)や葛(クズ)、苧麻(チョマ)の糸も。 自然布のような雰囲気を持つ、一応(!?)新作なのです(笑)。 なんで一応かといいますと、以前に赤城の節糸をタテ糸にした緯吉野の八寸帯地で 『brown sugar』というのを作ったことがありまして。 特に意識はしていなかったのですが、織りあがってみると・・・。 それによく似た感じになってるような気がして。もう10年以上も経つのに(笑)。 ![]() 作風(というか芸風?)は、きっとあんまり変わらないんだなぁ・・・とあらためて。 でもだけど。よーく見るとやっぱり、10年分の進歩はありまして(笑)。 今のほうが以前のものよりも安定しているような気がします。たぶん。 そういえば私(エツコ)は、いつでも能天気(脳天気⁉︎)なので。 過去は懐かしく愛おしいものだけど、戻りたい過去などありませんで。いつだって今が一番。 それは作っているモノも同じで。 いつだって一所懸命その時掛かっているモノに取り組んではおりますが、 織りあがってしまうとすぐに忘れてしまうのです。。。 もしかすると私の理想そのものでもあるのだけれど。 生きるコトと、織物をつくるコトが四六時中一緒だからかもしれません。。。 なので。 この帯地も段の配置や、糸や色。クニヒサと随分とやり取りをして出来上がったものが 「あれ!?ひょっとして前に作ったっけ?」な会話になるのは・・・。 二人でまだまだ織物づくりを続けていくには、大正解!なのかも。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-03-31 00:42
| 着尺・帯
織っている時はこんな風に広がっているのですが。 この後に、房をヨリヨリ仕上げてから湯通しをすると・・・。 織り込んだ撚りを強くかけた絹糸(強撚糸)の糊がとれると、キュッとしぼが生まれます。 iwasaki定番の楊柳のストール。 昨年数本だけ制作した、『阿波藍とアイボリー』バージョン。 今年も。 スカッと爽やか、五月の風のような『阿波藍とアイボリー楊柳ストール』出来ました。 ![]() 素材は主に絹。セリシンを残してシャリ感のある生糸、玉糸。 繭の深層部、蛹に近いところからとった、宮坂製糸さんのシルクトルネードや、 タッサーシルクの天然色のつむぎ糸、ベトナム黄繭節糸などの他に・・・ やはり撚りを強くかけたリネン(亜麻)も散らしています。 ヤマモモや梅など天然染料で染めたアイボリーと阿波藍で。 染付の陶磁器のような、涼やかなんだけど味わいもある・・・ 今年もいい感じの『阿波藍とアイボリーの楊柳ストール』になりました! ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-03-27 21:56
| 纏う布・暮らしの布
新しい山形斜文八寸帯地は、ツヤツヤピカピカの生糸のタイプ。 群馬県の碓氷製糸さんの生糸で、組成もいつもとチョットだけ違いまして。 「まるまなこ」とも呼ばれる綾の組織になっています。 だからどうだということもないのですが・・・(笑)。 iwasakiはいつもこんな感じ。 今回はダイレクトに、ストレートにこの、ツヤツヤピカピカの生糸の魅力をお伝えしたく。 クニヒサ、久々に菱のサイズもキッチリ同じサイズで作りました。 ![]() 30年も織物を作っていると。 始めたばかりの頃とは、考え方も作り方も少しずつ変わって・・・。 変化というよりは、進化と思いたいのだけれど。 18歳の私(エツコ)に紬を教えてくれた先生の手織りの概念は、つむぎ糸や座繰り玉糸こそのもの。 生糸は綺麗すぎてダーメダメ(笑)。機械織りみたいになってしまうから、味わいも何も無いわよと。 当時は、そうなのかなぁ。。。とぼんやり思いながら、とりあえず技術を教わって。 クニヒサと二人で制作するようになってから。 機械織りって、スゴイ色んな質感のモノあるよね~。なんて話になりまして。 昔は機械にかけられないといわれたような、 節のある糸でも手紡糸でも・・・現代のマシンは織れるわけで。 手織りであることの意義や、意味みたいなものがもしあるとしたら それは、少量規格で作れるということ。 それと、織っている自分がつくる悦びに浸れるというか、幸福感に満たされることなのだと思うのです。 iwasaki夫婦は、マットな手紡糸も大好き。 そしてこんなピカピカの贅沢な極太の生糸も大好き。 個性溢れるそれぞれの糸の、個性を活かして。 50歳のオッサンとオバハンが無い知恵を絞って・・・少量生産で朝から晩まで。 幸せな手織りをしております。 お向かいの榊神社の桜も咲き初めまして。 また新しい春がやってきたキモチになりました。 高2になる息子は、そろそろ将来のなりたい職業に向けた進路を考える頃のようで・・・。 学部や学科が就職先と直結するようなところもあるようだけど・・・。 ほぅほぅと・・・資料には目を通すものの。 自分が面白そう!と思ったコトにしか動いてこなかった母は、何のアドバイスも出来ない(笑)。 「かぁちゃんならどう思う?」息子。 「あーたもアタシの子だからね~。バカはバカらしく!一般的にどうこうよりも。あーたが 面白そうだと思う学部学科を探せばいいんじゃない?」 「ちなみに。かぁちゃんはどういった選択で今日に?」息子。 「直感。」 「・・・でしょーねー。それは出来たら避けたいかなぁ。。。」息子。 悩め悩め、青い春の青年よ。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-03-23 20:25
| 着尺・帯
「穿き込んだジーンズのようなイメージなんですけど・・・作ってもらえませんか?」 昨年の染織こうげい浜松店さんでの作品展で、 iwasakiの『御柱織りシリーズ』の第一弾をご覧になって・・佐浦店長さん。 『御柱織りシリーズ』はiwasakiの着尺の規格のなかでも最太、重量級のもの。 デニムだったらヘビーオンスと言われるような、ハードタイプです。 なんといっても糸ぢから全開で、その贅沢な太さの絹糸一本の存在感を重視しています。 なので。 通常の着尺の規格では小さすぎて見えなくなってしまう、三つ崩し(算崩しともいいます) で小さな籠目を、無地感覚で色違いでシリーズ化したいと思っておりまして。 佐浦店長さんも。職業柄とはいえ・・・いやいや、相当マニアックな織物好き(笑)。 これは結構タイヘンなリクエストをお受けしてしまったかもかも。。。 まず初めに経てたタテ糸のブルーが綺麗すぎてしまいまして。 どうもイメージと合わなそう・・・。 佐浦店長さんのユーズドデニムのイメージを伺っていくと・・・。 淡いブルーはグレー寄りのものと若干黄色味のもの。濃いブルーは茶味を入れて・・・ 三つ崩しになる縞ですが、淡いブルーは2種使いまして。 ユーズド加工のジーンズのようにはいきませんが、若干くすませながら。でも絹ならではの 透明感も大切にしつつ。悩ましいせめぎ合いを自分たちの中でしつつ。。。 更にヨコ糸の色と、入れ方を変えたサンプルを数種類織り、選んで頂きました。 結果、当初三つ崩しの予定でしたが。崩しではあるけれど三つ崩しではなくなりまして。 確かに・・・。縦落ち感のあるデニムのような風情になりました。 ~浜松に颯颯紬有り~ 学生の頃読んだ、古い『民藝』で紹介されていたその織物は、『ざざんざ織り』でした。 そのヘヴィーデューティーで、硬派で、ストレートにカッコイイ織物にずっと憧れていました。 いつかこんなふうに、素材力を活かした力のある織物を作りたいと思っていました。 それから30年経って。。。 ざざんざ織りが好きで、着潰すほど好き過ぎる(笑)佐浦店長さんのような方に、 ざざんざをリスペクトした『御柱織りシリーズ』を作ることが出来て・・・。 本当に。織物を続けてこられて幸せだと実感した一品となりました。 気掛かりは。 佐浦店長さんが心から気に入ってくださるかどうか・・・なのですが(汗)。
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by senshoku-iwasaki
| 2019-03-17 19:21
| 着尺・帯
「エツコさんハイ、私です。(笑)」 4月18日からの作品展の打合せに工房にいらして下さった、染織こうげいの社長さん。 「えっ!?開けてもイイですか???」私。 「どーぞどーぞ。」社長さん。 「ひえっ!!ひゃっ!!きゃーっ☆☆☆タヌキの整列!!」大興奮の私。。。 意匠系最中でも私、タヌキは初めましてでして。見た瞬間に釘付けの可愛らしさ。 ぽんぽんのお腹もユーモラスなお顔も、あれ?前も後ろも。 ![]() ![]() 茶色の種(皮)には粒餡。 皮は厚めでしっかりと、ぱりんと香ばしく。餡はちょうどいい固さで美味しい粒餡です。 白いほうは、漉し餡ではなくて白餡です。 皮は、茶に比べるとやや柔らかく上品で。餡は滑らかな白漉し餡です。 茶狸も白狸も。それぞれに美味しいタヌキです。 染織こうげいさんは、iwasakiが作品展というカタチで毎年発表させて頂いている呉服店です。 帯地や着尺だけではなくて、ストールやショールなどの纏う布まで『iwasaki織物』全てを iwasakiの仕事として、浜松と神戸のこうげいさんでご紹介いただいていまして。 今年で浜松店は6年目になりました。 生きていると、不思議なコトって多々ありまして。 8年前の今頃、iwasakiは南部町内で中心地の借家から郊外の築140年の古い家に引っ越し をしながら取り掛かっていたのは、第1号の440シリーズでした。 子供たちも小3と小1になるので、時間のかかる帯、着尺にもチカラを入れたいと思っていました。 大師匠の仕事をリスペクトして、吉野格子の中にずらし絣で丸紋を入れた九寸帯地。 二人がかりで何度も話し合いながら、そのさなかに あの震災があって。 それでもその後ようやくその帯地は出来上がり。その年の作品展をご覧になっていたのが こうげいの社長さんと浜松店の店長さんでした。 もしかしたら、織物制作を続けていくことも難しいかもしれないと思った日に。 一番面倒なモノに取り掛かっていて。それが今iwasakiが生きているキッカケに繋がっていたとは。 本当に感謝しかありません。。。 呉服店の主というと・・・。時代劇とかでもどうしても狸親父なイメージが・・・(笑)。 あらあらでもでも、この狸最中は裏も表もありません。。。 そっかぁ~。それで社長さん「私です」っておっしゃっていたのか~。 今年の染織こうげい・浜松店さんでの展覧会。 素材力・糸ヂカラをガッツリと感じられる新作を揃えまして挑みます! 社長さん、いつも驚きの美味しい差し入れをありがとうございます!ご馳走様でした。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-03-11 23:14
| 最中
iwasaki夫婦の中で、このところ流行っているカラーはグリーン! それもチョット懐かしい、深い山里のような緑です。。。 冬に、仕事の合間合間に手つむぎしたマーブル糸も程よく貯まりまして。 この着尺に取り掛かれるところまで辿りつけました。 hands,hands,handsのテーマのイメージは、使い込まれて手油でトロトロテカテカになった家具。 古い小さな教会の木製のベンチのような・・華美とは程遠く、簡素なんだけれど美しい。 一年や二年じゃ、到底作り出すことの出来ない美しさがテーマだったりします。 美しいって、感性のものだから。それは人によって、土地によって、人生経験によっても様々かと。 艶やかでしなやかで端麗な美も。 健やかで丈夫で無骨な美も。 iwasakiはどちらも好きです。あ、でも・・どちらかというと後者寄りが強いかもかも(笑)。 このシリーズは、完全に後者の美を目指しています。 簡素を作り出すって、実は結構面倒臭くて(笑)。 グリーン、金茶、こげ茶に染めたまわたと白のままのもののミックスでつむいだマーブル糸の他に。 白茶、ベージュ、小豆色、グリーンと。ヨコ糸だけでも5色で小さな格子を構成しています。 健康的で、堅牢で、ちょっぴりブサイク(!?)な豆格子は、 クセになる愛おしさで制作中の私(エツコ)をメロメロにしてきます(笑)。 前回のhands,hands,handsもそうでしたが。 このシリーズ、仕立てると全体にぼわーんとマーブルつむぎ糸が浮き出てきます。 その、ぼわーんが今回は金茶でして。 深いグリーンに金茶。 私のアタマの中は、30年前に織りを学びに行った郡上八幡の風景と。 大師匠の作品の数々が・・・。 このグリーン、大師匠が好きな色だったのかもしれません。。。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-03-08 23:46
| 着尺・帯
『帯揚げにもなるストール・小弁慶』は、ギンガムチェックのような弁慶格子。 今年はスカッとブルーのストライプに、イエローが添えられて。 あぁ春だなぁ。 南部町のお山のお家からここ、東京蔵前に工房を移してもうすぐ1年です。 今年の春は、爽やかで柔らかで少しシャリ感もあって、そして少し眠たい(!?)こんなストールを。 首元に、はたまた帯揚げとして帯周りのアクセントになったらイイなぁ。。。 ![]() 今年で6年目となる、染織こうげい・浜松店さんでの展覧会が4月18日(木)~22日(月)なのですが。 お越し頂くお客様に、毎年新しい発見があるとイイなぁ・・と思いながら(願いながら)制作しています。 iwasakiの織物は夫婦二人っきりで作っているものなので、頑張っても少量生産です。 だけど『一点モノ』と謳うような立派なモノではなくて。 何でもないフツーの日にフツーに愛して頂けるような肩の張らない、でも愛おしいモノを目指しています。 染織こうげいさんのお客様は、普段の着物・・それも織物好きの上級者さんが多くいらっしゃるので。 iwasakiも。 こうげいさんでの展覧会では、今まで色々・・新しい技法だったり、色だったり取り入れてきました。 もちろん。 素材のチカラを信じて。 今年は。 技法は出来るだけシンプルに。光沢だったり、マットなつや消しだったり。 素材の一番良いところを際立たせて。 織物ならではの奥行きは、こんな格子のストールにも。 ぱっと見、じっと見、じわじわとやって来る(ハズの・笑)後味。 今日は啓蟄。 冬ごもりをしていた虫たちが土から出てくるように・・・。 工房の3台の機には全部タテ糸がかかって。iwasaki夫婦もパタパタ手足に羽も(!?)動かして。 春に向かってフル稼働です。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-03-06 22:19
| 纏う布・暮らしの布
「東京マラソンの日は江戸通りが通行止めだし、横断も出来ないから買い物は前日中にしとかないと。」 毎日のようにバスを利用する、岩崎の母から幾度となく聞いてはいたけれど・・・(笑)。 不思議と。 あまりにも何回も聞かされると、逆に耳から頭に入ってこないのは残念な私だけ!? おっとぉ~!それって今日なのね。。。クニヒサと作業中ではあるけれど。 生でマラソン選手なんて見たこと無いし、じゃ、ちょいと様子を見てくるか。 表通りに出てみると、冷たい雨にもかかわらず・・もう沿道には大勢の人が。 ちょうど給水地点の辺りで、ボトルを並べ始めている瞬間を目にするのも初体験でして。 ![]() ちょうど私たちの前のあたりは長テーブルの左端。もうすぐ右方向から男子の先頭集団がやって来る頃。 後で番号をよーく見ると、この真ん中は前田穂南選手のものだったようで。込められたパワーを感じます! なんと右は本日優勝の、ルティアガ選手のものでした。 ![]() あっという間に男子の先頭集団がやってきまして。速い速い・・・。 あっ!大迫さん跳んでいます。南部町では、走ることを跳ぶと年配の方々は言っていたけど。ホントだ。 凄いなぁ。と、思った瞬間に消え去ってていく選手の人たち。 この時は先頭集団の中にいた大迫選手でしたが。この後、銀座あたりで棄権されたと。このときにも 具合が悪かったのかなぁ。。。 このあとすぐまた仕事場に戻り。 作業の続き、クニヒサは次に掛かる着尺の綜絖通しを。私(エツコ)はその着尺に散らすまわたつむぎを。 はじめたiwasaki夫婦でしたが。 僅か2時間で40キロを駆け抜けるマラソン選手に比べて。あらまぁ。iwasakiの2時間って。 ほとんど景色が変わらない・・・(涙)。 手織りほど『のろまなカメ』を実感するジャンルもないかもだけど。 いやいや、30年近くカメを飼っている私の実感としては・・・カメは動くときは結構素早い(笑)。 そして織物制作も。 あっという間に一日が過ぎ去る、ランナーは私ではなく時間側(笑)。 マラソン選手にとっての2時間の壁のように、iwasakiにとってはあと20年の壁。 70歳までにあとどれくらい作れるかしら。 少しでも織り進めたくて、自分では跳んでるつもりで走行中。 ▲
by senshoku-iwasaki
| 2019-03-03 23:21
| 工房周辺
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