『只此の一つ』。
f0177373_19363222.jpg
雑誌『民藝』を知ったのは10代の終り、郡上での学生時代の頃。
当時は定期購読をして、バックナンバーも気になる辺りから求めて。
帰省のときは、神田の古本屋街でクニヒサと古い号を探したり。
南部町に暮らしてからも、時々・・・持ってない古い号がネットに出ていたりすると買ってしまいます。
八百万の神様を信じている私(エツコ)ですが、最も影響を受けていて。
たぶん死んで肉体は滅びても(笑)、この思想は私の中に残っちゃうんじゃないかなぁ?と。
毎日ではありませんが。時々手に取ってパラパラと読むと、その都度新鮮で。

その日たまたま手にしたのは、柳悦孝さんの吉野格子の八寸帯地(・・なのかなぁ?)ざっくりとした、
まるでヨーロッパの、素朴なクロスの刺繍のような吉野格子が表紙の、昭和36年の12月号。
この年の5月に、柳宗悦さんがお亡くなりになった年でして。私はまだ、この世に影も形も無い年です。
そこに遺稿として『只此の一つ』というお話が。
 ー 今朝、ふと隣室のラヂオから私の病室に、英国の民謡「ホーム・スヰートホーム」が聞こえて
来ました。- 
で始まる、宗悦らしい分かりやすい言葉で宗悦も大好きなこの歌は、当時からざっと半世紀ほど前に
イギリスのアデリナ・バッティーという歌手の十八番で、バッティーといえばスヰートホーム、
スヰートホームといえばバッティーと言われるほど、聴衆は聴きたがり、またバッティーもそれに応えた
という話から『只此の一つ』に活きると、何を作っても悉く美しくなる・・・それはつまり作り手の
『只此の一つ』の心が美しさの源をなしているといえましょう。という内容でして。


その晩、夕食のときにクニヒサにその話をして。
「たぶんさ~。前にも読んだのかもしれないけど、へぇ~って思ってさぁ~。『ホーム・スヰートホーム』
ってどんな曲?って思ってググってみたら、『埴生の宿』なのね。つくづく本当に首尾一貫な生き方だと
思って・・・。」私。
「はにゅうのやど?って何?」クニヒサ。
「えっ!?うっそ?『埴生の宿』だよ。♪ルルルールルルル~」鼻歌で私。
「益々ワカラナイ(笑)。」クニヒサ。
「かぁちゃん、オレもワカラナイ。」中3息子。
「かぁつんの鼻歌で育ったから、しょーこ音痴になったんだわ!」中1娘。
「何をおっしゃる、おサルさんよっ!あーたは生まれたときは、おっぱいも忘れて死んでるんじゃないかと
思うくらい寝続けて。動き出すようになったら、今度はあまりにも運動量が多くて(笑)、突然バタンと
これまた死んだんじゃないかと思うような電池切れで。どこでも爆睡して・・・。
あーたには子守歌も、お休み絵本の読み聞かせも。あたしゃ、何もしてないわよ。あれ!?もしかして。
あーたのジャイアンばりの音痴がバレたん?」私。
「そーなの。しょーこのことモンチッチって呼ぶ男子がいてね。ま、スルーしてたんだけど。
今日音楽でさ、合唱練習でそいつの近くで。歌い終わってボソッとしょーこに、『オンチッチ』って。
敵ながら上手いコト言うなぁと思って、不覚にもブッって笑っちゃったんだよねぇ~。
したら、すんげぇドヤ顔してて。
でもみんなモンチッチ知らないから、ディスられた上に、しょーこがスベったみたいな空気になって!
最悪でしょ~。」娘。

結局。
『埴生の宿』メロディーを聴いても、我が家では誰も知らず。。。
「誰でも知ってゐる曲」と宗悦が記述してからざっと半世紀。
モンチッチは、私が小学生だったからざっと40年・・・。
「みんなが知ってる」は、いつかモヤモヤと・・・みんなの記憶から消えてしまうかも!?だけど。
この『民藝』のスピリッツは、きっとずっと時を超えて引き継がれて。
『只此の一つ』は、宗悦の魂なのかもしれないと改めて読み返したりして。
この号、興味深くて。
この年の民芸館展入賞者に、大師匠の名前を見つけて。
織物の部の、柳悦孝さんの講評の中に、~この郡上の宗広さんの仕事は一番織物の玄人の仕事となって
きている~とあり、若かりし日の大師匠が、ここから駆け上がっていった様子が浮かびまして。
きっと。毎日苦しくて、楽しかったに違いありません。
それは今のiwasakiも。





# by senshoku-iwasaki | 2017-10-31 21:59 | 岩崎のある日
来月末からのギャラリーkujiraさんでの『秋・優しく包むニットとストール展』に向けて。
ストール展なのに、せっせとブランケットを織っています(笑)。
ギャラリーkujiraさんでは、
今までに帯や着尺、絹のストールなどを出品したことはあるのですが。
大判のウールのタイプは、季節的に無かったもので・・・。
kujiraさんからブランケットのリクエストもあり、今年のカラーで制作中なのです。
幅広でボリュームのあるブランケットは、4枚ずつの少量生産でして。
織るのもアーチいっぱい使っての、重労働。夜の寝つきが更に良くなります(笑)。

今年は。
秋という季節を一気に飛び越えて、いきなり冬がやって来たものだから・・・。
絹となめらかで肌触りの良いウールとの交織のショールや、マフラーよりも先に
ブランケットが!一部の(心優しい少数派!?)iwasakiユーザーさんの中では、
盛り上がってくださっているようで。。。
お世話になっている、染織こうげい・浜松店さんからもリクエストが。
それはとっても嬉しいことで。ラドナー種のウール糸を、追加で注文しまして・・・。
さて・・・作れるかなぁ?(汗)。
キモチと。時間と。体力と。

kujiraさんは4人展だけど、ストール・マフラー展ですから。
ちゃんと(!?)ストール・マフラーも制作中ですっ。
昨年も一昨年も制作した、冬の楊柳ストールの準備も進めながら。
もうすぐ10月も終わってしまうのね~!と近正千広さんのコヨミをオヨヨ・・・と眺め。
何よりも。今年があと2枚で終わってしまう・・・と、また千広さんのコヨミでウルウル。

あとどれ位織れるんだろう?
何を織っているときも、ふとよぎるから。
一越一越キモチを込めて、先に進めます!


f0177373_19230847.jpg
秋・優しく包むニットとストール展
11月29日(水)~12月9日(土)
10時~18時 定休日 日曜日・月曜日
ギャラリーkujira
ニット 田中明子
ストール・マフラー 洲崎英美 岩崎訓久 岩崎悦子

ギャラリーkujira
愛知県刈谷市御幸町1‐301



# by senshoku-iwasaki | 2017-10-28 21:44 | 纏う布・暮らしの布
Mさまのご主人のマント地は、絹×カシミヤです。
クニヒサが神戸に出ている間・・・私(エツコ)が織っておりましたのは、Mさまのご主人のマント地。
随分と前からリクエストを頂いておりまして。
ようやく取り掛かることが出来ました。
タテに節のある玉糸と生糸を、紫がかったチャコールグレーに染めまして。
ヨコはご主人のご希望でカシミヤです。
ヨコ色はライトグレーなのですが、光の加減で茶っぽくも見えます。

服地としてあるカシミヤ地は、製織後に縮絨をあてるので、織り用のカシミヤは編み用のカシミヤ
よりも肌ざわりが良くないのですが。
iwasakiでは10メートル以上ある生地を、縮絨するような設備も技術も無いので・・・。
編み用の、トロトロのカシミヤ糸をヨコ糸に使用して。
雨続きのお天気の、合間を縫って湯通しをして仕上げをします。
f0177373_19240230.jpg
Mさまは、iwasaki初期の頃からのユーザーさんのおひとり。
サカタと3人でekkaとして年に一度、iwasakiの手織り地でサカタのデザイン、仕立てのコートなどを
制作していました。
15年ほど続けてきたのですが、サカタの体調や家族の事情などなどで、最近は出来ておりません。。。

が、Mさまはご注文頂いてからお納めするまでの間に、次のご注文をくださる・・・サイクルでしたから
追い付かず(笑)。サカタが止まっている間も、Mさまは継続中だったもので。
またMさまも気長にお待ちくださったので・・・。
現在はサカタ、体調と時間と相談しながら・・・Mさまの発注分を少しずつお納めしているカタチです。

Mさまのトンビコートを制作している頃から、ご主人から「ボクはねハーフサイズでいいんだけどね。」
と控えめに(!?)でも「・・・お願いしますね。」とおっしゃってくださっていて。
ようやく生地の準備が出来まして、ホッとしています。
ご主人が気に入って下さるといいのですが・・・。
織り生地は、しばらく寝かせてからでないと鋏を入れられませんで・・・。
織りたては糸たちが元に戻ろうとして大暴れするそうで、サカタに送るまで織地を落ち着かせます。

織っている間も。
フワフワでトロトロ。なんて幸せな肌触りなのかしら~!と癒されながら。
Mさまのご主人のマント姿を思い浮かべて。織り上がりがチョットだけ・・名残惜しかったです。。。


# by senshoku-iwasaki | 2017-10-25 21:20 | ekka
Sさまのまわたを紡いでいます。
Sさまから着尺ご注文のご相談をお受けしたのは・・・2年ほど前の増孝商店で。
清野恵里子さんの本のなかの、細い縞のイメージで。
清野さんのその着尺は伊兵衛織りでしたので、同じような規格でお作りすることも出来ますが・・・。
糸が太いので重くなるとお話しをすると、iwasakiの通常の紬くらいの規格がお好みとのことで。
本では淡い茶にこげ茶のような縞でしたが、その後何度かSさまと増孝商店でお話しを重ねて。
縞は紫っぽいチャコールに決まりまして。
ちょうどそのときに(ほぼ暇な商店なので・笑)、私(エツコ)が愛用の久米島式まわたつむぎ台で
マーブルのまわたつむぎ糸を紡いでいたもので・・・。
そのお話の中で「実家に確か・・祖母が作ったっていう、まわたがあったような・・・?」Sさま。
もしよければ、そのまわたからとった糸を散らしましょうか?
「ホントですか!?じゃ、こんど帰省したときに見つけてきます!」Sさま。

f0177373_20243049.jpg
Sさまはいつお会いしてもナチュラルで、とてもやわらかな方。
ご希望のお色味も、どちらかというと渋めなので・・・。ベースの淡い茶は、工房庭のシャリンバイ
とヤマモモで染めまして。そのまわたも!
f0177373_20244939.jpg
染めない白いままのまわたと、濃淡に染めたまわたを合わせて・・・オリジナルの絹糸を。
Sさまにお預かりした、おばあ様の作った角まわたは約100g。
ヨコ糸のつむぎ糸は、全部でも400g無いくらいなので。分量としては少なくはないです。
紬のヨコ糸のベースに使うつむぎ糸よりも、チョットだけ太く紡いでいます。
一見では分かりにくいけど、実はひっそりと。おばあ様を主張させる作戦なのです。

Sさまのお母さまのお嫁入りのときに、おばあ様が作って持たせた角まわただそうで。
おそらく半世紀以上経っているかと思うのですが。
とってもキレイ。繊維はまったく傷んでおりません。。。
嫁ぎ先で娘が使えるように・・・。まわたは、布団にも着物にも絹ならではの保温材だもの。
おばあ様は、まだ見ぬ孫のSさまのことも想像しながらこの角まわたを作ったに違いありません。
きっと。
Sさまが生まれたときのお布団にも一部使ったんじゃないかなぁ・・・?

脈々と。
細く柔らかく繋がるこのまわたのように、今度はSさまの着尺になって。
Sさまは、二人のお嬢さんとまるで姉妹のように仲良しだもの。いつかお嬢さんたちも着たい!
と思うような「何てことない」万筋の紬を目指しながら・・・。

結構な量の糸紡ぎ。久々で嬉しいのです。
なんといっても!休憩のティータイムには、こうげいさんに頂いた『ご存知仙太郎最中』に、
Rさまからも頂いてしまった・・・とらやの最中も!
お陰様でずんずん捗っております。

神戸から戻った翌日・・・集落の御宮の秋祭り当番で雨の中準備をして。
その翌々日は、来年の『日本の夏じたく』の打合せと、蔵前の住まいの改修設計をお願いしている
つみき設計施工社さんとの打ち合わせで上京しまして。
帰りに東名の事故渋滞で6時間かかって(涙)。クニヒサ、とうとうダウンしてしまいました。。。
お疲れ気味のクニヒサもしっかり休息をとって、美味しい最中を食べて(笑)。
いよいよSさまの紬に掛かります。




# by senshoku-iwasaki | 2017-10-20 22:31 | 工程
お陰様で染織こうげい・神戸店さんでの展覧会、終了いたしました。
今年で4年目となりました、こうげい・神戸店さんでの展覧会もお陰様で終了いたしました。
会期中、お天気があまりよくなかったにもかかわらず・・・iwasakiをお召しになってお着物でいらして
くださったお客様もありまして。本当に嬉しくありがたく思っております。。。

毎回同じようなコトを書いているかも!?な私(エツコ)ですが。ほんとうに。
こうしてお召しくださったお姿のお写真が、iwasakiの宝物。明日への糧となります。
おいで下さった全てのお客様、こうげい・神戸店のスタッフの皆様に感謝申し上げます。
f0177373_19385314.jpg
Rさまは昨年の展覧会で銀河シルクの山形斜文三色の段の八寸帯地と、
杉綾織りの着尺をご注文くださって。
初夏に帯地を、初秋に着尺をお納め出来まして・・・。お時間をいただきましたのに、
とっても喜んで頂き素敵なお便りも(涙)。とてもお似合いです!
この写真は初日に撮らせていただいたものですが、Rさま3日目にもまたいらしてくださり。
「一昨日着たあの着物を、着物ハンガーに掛けていたらね。いつもは何も言わない主人が
『この着物はイイ』って言ってくれたの。それで岩崎さんというご夫妻が作っていて、一年がかりでお願い
したものだと伝えたら『色違いで欲しいのなら、頼んでおいたら?』って。
ならば主人が忘れないうちに直ぐお願いしようと(笑)思って、また来ました!」と。
来年秋までに、淡いお色の杉綾織りの着尺の嬉しいご注文を頂きまして。
Rさまを思い浮かべながら・・・また一年、楽しく準備を進めていきたいと思います!
f0177373_19390591.jpg
神戸店での初めての展覧会のときに制作した、『青木間道をモチーフにした八寸帯地・アポロチョコ』を。
ショールも以前制作した『shawl,shawl,soul』です!iwasakiではピンク系は少ないのですが、これまた
とてもお似合いで。「あらピンク系少なかった?じゃ、私ピンク好きなのかもネ・・・」

f0177373_19391564.jpg
Kさまも昨年ご注文くださり、この秋にお納めさせていただいた杉綾織りの着尺。
織っているときにも、織り上がってからも。写真に撮るのが難しかったお色だったのですが。
クニヒサ曰く「Kさまの杉綾、ホント凄かった。まず光沢がまるで天蚕のようだったのよ。」
あーわかります、わかります。淡いお色ほど光沢が美しく、そして綾織りだからこその
ドレープが、生地の質感をより際立たせてみせるのですが・・・。これまた不思議なことに。
お召しになる方の、オーラみたいなもので見え方が変わるのです。
オーラみたいなもの。その方の持っているお色なのかもしれません。
とか感じるコトはできても、自分のカラーはまったくワカラナイ私です(涙)。

クニヒサが滞在した3日間、とにかくお天気があいにくな中・・・。
お運びいただきましてありがとうございました。
心より感謝申し上げます。


# by senshoku-iwasaki | 2017-10-18 22:27 | 展示会・お知らせ
染織こうげい・神戸店さんでの展覧会、明日までとなりました。
12日より始まりました、染織こうげい・神戸店さんでの展覧会も明日(月曜)まで。。。
12・13・14日と・・・クニヒサ、神戸店さんにお邪魔してきました。
f0177373_19525581.jpg
神戸店さんも今年で4年目となりまして。
初めての年からiwasakiの織物をお使いくださっているお客様も、初日からいらしてくださったりと。
今回も温かなお客様と、こうげいさんのスタッフの皆さまに感謝でいっぱいです!
新しいシリーズも試みも。楽しんで頂けたようで・・・留守番の私(エツコ)もホッとしています。

よーく見ないと気づきにくい(笑)、チョットわかりにくくてマニアックなiwasakiの織物たちですが。
こうげいさんのお蔭で、神戸でも少しずつ・・・素敵なユーザーさんの元へ嫁ぎまして。
そんなユーザーさんたちとお話しが出来て、嬉しい3日間を過ごさせていただきました。
昨晩遅くに南部町に帰ってきましたクニヒサに、会場での話をたくさん!聞きまして・・・。
私も一緒に会場に居たような気になって(もしかして織り目の何処かに私の分身がいたのかも!?笑)。

今年のiwasakiも、神戸では明日までです。
お近くの方や、神戸方面にお出かけでご興味がございましたらぜひ!





# by senshoku-iwasaki | 2017-10-15 21:23 | 展示会・お知らせ
いよいよ明日から、染織こうげい・神戸店さんでの展覧会が始まります!
10月12日(木)~16日(月)までの5日間です。
染織こうげい・神戸店さんでは、今年で4年目のiwasakiです。
今年は帯も着尺も、織り半襟もブランケットも、模紗のショールも!!いろんな『織り』が揃います。
f0177373_19243094.jpg
写真は、新しい『青木間道をモチーフにした八寸帯地・篠竹』。
篠竹は、機織りで重要な綾を置く「綾棒」の素材でもあります。
細い竹が群生しているような・・・銀河シルクがキラリと光る、竹の縞です。

明日初日から14日の土曜日まで、クニヒサがこうげい・神戸店さんにお邪魔いたします。
染織こうげい・神戸店さんは、三宮にありまして。
産地の希少な織物や、染織工芸の諸先輩の作品が充実の専門店です。
iwasaki、関西方面での展覧会はこうげいさん以外では皆無ですので・・・。
よろしければお出かけくださいませ!



# by senshoku-iwasaki | 2017-10-11 20:33 | 展示会・お知らせ
『帯揚げにもなるストール・小弁慶』も秋冬カラーです。
このサイズのストールは、もともとiwasakiでは絹のマフラーとして作っていたものですが。
染織こうげい・浜松店の佐浦店長さんが、帯揚げとしてもステキに使ってくださっていることから・・・。
こうげい浜松店さんでは、そうやって楽しんでお使いくださるお客様が一人二人・・と増えまして。

何でもないフツーの日をこよなく愛し、一見何てことはない織物の織物力を信じているiwasakiに、
ルールなんてそもそも皆無だから。帯揚げはこうあるべき!みたいな先入観を抜きにして
自由にフツーの日を、一緒に謳歌してくださる仲間が出来たみたいで・・・
私(エツコ)はとっても嬉しいのです。
f0177373_19171012.jpg
春の浜松店さんでの展覧会では、パステルカラー系の小さな弁慶格子を出品しまして。
ラムネ菓子のようなポップな小弁慶でしたが。
今回はちょっとシックに、深めの色のまわたつむぎ糸も使って。
このシリーズ、織り半襟のときもそうでしたが。
基本的に着尺や、帯地を制作したときの残糸で構成しています。
クニヒサが経てたタテ糸も、残糸で構成された縞。私が入れるヨコ糸も。

織物は、経糸は変えられないので運命のようなもの。それに対して緯糸は、明るくも暗くも心次第で!
キモチの持ちようで良くも悪くもなる、日々の生き様みたいに感じます。
それがホントに面白くって!
デザイン先行ではゼッタイに出来ない面白さなのです。

生きていると、理不尽なことも不条理なこともあるけれど。
それが偶然自分にだけ降りかかった不幸ではなくて、あれは必然として自分に与えられた・・・。
後にしみじみやってくる、この幸福感のためだったのかもかも!?なんて(笑)。
大袈裟みたいだけど、実は本当に。
この小弁慶たちは、織っている私が一番ワクワクしているのかもしれません。
160センチの長さの中で、色もイロイロ変わるので。
チラっと見える部分もその日の気分で変えてみて、楽しんでくれる同志(!?)が
染織こうげい・神戸店さんでもいらっしゃるといいなぁ。。。と思って
8枚分の経糸を機にセットしたものの。
ギリギリまで楽しく粘りまして(笑)。とりあえず半分の4枚だけ神戸に間に合いました!




# by senshoku-iwasaki | 2017-10-10 20:49 | 纏う布・暮らしの布
仕上がったばかりの、今年のブランケットは・・・。
ちょっぴりミリタリーです。
今回も英国原産のラドナー種のウールを使って。
定番のジャコブウールもなのですが、ラドナーも繊維が太くてコシが強いので。
こういったブランケットに、とても適しておりまして。
しっかりとした杉綾織りの中に、温かな空気も孕んで。
使い込むほどに、身体に馴染んでゆく・・・『愛おしい系』ケットと思って制作しております。
f0177373_19375610.jpg
12日から始まる、染織こうげい・神戸店さんでの展覧会に間に合わせたくて。
今回は4枚分だけ機にセットしまして。
ブランケットは幅が広いので、分量が多いと整経も機に巻き取るのも・・大変でして。
以前は6枚分とか頑張ってセットしていましたが。
年寄り二人なので(笑)、無理はせず(もっと・笑)少しずつ生産することにしました。

とはいっても。
ずっとそれぞれに、帯だったりショールだったり同時進行していたので・・・。
初めの2枚はクニヒサが、残りの2枚は私(エツコ)が織りました。

ちょっぴりドライで、ミリタリーな雰囲気ですが。
クニヒサはそんな感じ(!?)のままに。私は、シルクもたっぷり挟み込みまして・・・。
ほっこりと。シルクツイードの風情のタイプも。

今シーズン中には、まだもう一回(二回!?)機に掛けたいなぁ・・・と思っておりまして。
次回はどんな感じにしようかなぁ?と。残ったウールを眺めながら。。。
織り上がった傍から、せっせと房をヨリヨリ。
湯通しをして仕上げをして・・・最速のコース。

今日はタグを付けて。
新作の着尺や帯地たちとともに、こうげい・神戸店さんへの荷造りに追われて。
つくづくと。
織物屋以外だったら、私は織物が充実した古道具屋になりたかった。
そんな想いがiwasakiの織物たちに乗り移りまして(笑)。
古今東西、iwasakiのいろんな顔を詰め込んで。
愛おしい系の織物好きな方々に、ご覧いただけたら嬉しいなぁ。。。




# by senshoku-iwasaki | 2017-10-08 22:11 | 纏う布・暮らしの布
最新の八寸帯地には・・・。
極太のガッチガッチのコレ、国産のキビソ糸です。
iwasaki定番の山形斜文の八寸帯地のヨコ糸にしているキビソ糸の約3倍くらいあります。
現在iwasakiでは中国のキビソを使っているのですが、国産のものもお願いはしてあるのですが・・・。
他からの注文も多くあるそうで、ナカナカ使いやすい太さのものが手に入りませんで。
ならば。
この極太でしか出来ない、手織りでないと扱いきれない規格の、新作にして次なる定番を目指したく。
f0177373_20334356.jpg
ガッチガッチは、絹のたんぱく質であるセリシンによるもので。
これをどれくらい落とすかが、大きな大きなポイントになります。
キビソは、練りすぎるとホワホワになり過ぎて・・・帯には使えなくなりますので。
また、染めるときにも気を付けないと柔らかくなってしまうから。
そのあたりも考えて・・・灰汁で練りまして。
f0177373_20332162.jpg
染めあがった、紺と白茶。
この規格を思ったのは、Aさまからもう・・・10年近く前からリクエストされている三つ崩しの八寸。
フツーに作ってしまうと、三つ崩しは糸の細さからよーく見ないと・・・三つ崩しに気づかない
無地のようになってしまうから、Aさまがイメージしている三つ崩しのサイズ感と合わず。。。
ずっと考えあぐねていたもので。

iwasakiにリクエストくださるときには、定番として制作しているものならばご注文としてお受けさせ
ていただくのですが・・・。まだ制作したことの無いものですと、考えさせていただいて。
それがこうして長引くことも多々(笑)。でも決して、忘れて長引いているわけではないのですっ。
新たな糸を目にする度に、これはあれに向くかな?と大体二人して同じコトを考えていまして。
このキビソを手にしたときに、イケルかも!と同時に・・・でもチョット難しいかなぁ・・・?とも。
でも。いまだに、やってみないとワカラナイことだらけなので。

かなーり味わい深い、でも好き嫌いが分かれそうな(笑)、魅力的な新作がちょうど今・・・。
生まれ始めております。染織こうげい・神戸店さんでの展覧会で初お目見えとなりそうです。




# by senshoku-iwasaki | 2017-10-03 22:05 | 素材
とうとう10月に入って・・・。
いよいよ染織こうげい・神戸店さんでの展覧会も近づいて。
チームiwasaki、工房内をフルに動き回っております。。。

織り進めながら、次の次に掛かる糸を染めながら・・・。
おぉっと!絹糸のセリシンを落とす精練に使う、灰汁を使い切ってしまったので仕込まないと!
グルグルと。
タテ糸を木枠に巻き上げる、クニヒサもいつもより多めに回っておりま~す!
・・・じゃなかった、いつもよりもピッチを上げて。
整経もそのピッチのまま・・・小走りに。チョットだけスポーツの秋のようです(笑)。
整経が終わると、二人で機にセットするのですが。
クニヒサ、そのあとの綜絖通し、筬通しまでずっと・・ハイペース。
ムムム・・。織っている私(エツコ)は、ずっとお尻を引っ付かれている気分ですが(汗)。

今月12日(木)からと、2週間を切ってしまいましたが・・・。まだまだ!
現在進行形で走っておりますっ!!

4月に展覧会をさせていただいた、染織こうげい・浜松店さんから・・・。
嬉しすぎるお写真が!!
f0177373_18060312.jpg
浜松店さんに3日間お邪魔したのですが、その3日とも会場においで下さったIさま。
模紗織りの生紬『小さな窓』に、440シリーズの最新作『吉野格子にずらし絣・練り込み文九寸帯地』
を。お召姿を拝見出来て・・・。本当に嬉しいです!!あ、ありがとうございます!
f0177373_18061407.jpg
浜松店さんでは、iwasakiの半巾帯をご愛用してくださるお客様も多くいらして。
4月の展覧会には間に合わなかった半巾を、初夏にご紹介してくださり・・・。
そのときにお選びくださった『メンデストライプ』」。
くしゅくしゅっと、こなれた感じにカッコよく締めて下さって。すごく嬉しいです!!

浜松店さんからの嬉しすぎるお写真に、パワーをいっぱいいただいて。
神戸店さんには春にはなかった、新しいiwasakiもいっぱい詰め込んで参りたいと思います!

岩崎訓久・悦子展
10月12日(木)~16日(月)


# by senshoku-iwasaki | 2017-10-01 22:59 | 展示会・お知らせ
またまた・・・銀河絹の山形斜文八寸帯地も織っていました。
クニヒサが昨日織り上げたのは、iwasaki定番の銀河絹の山形斜文八寸帯地。
手前の青磁色は、お世話になっている青山のitonosakiさんでご注文いただいたKさまのもの。
f0177373_20065533.jpg
タテの銀河シルクはライトグレー、ヨコのキビソ糸は青磁色。
なんとも上品で、やわらかな一品となりました。
こういった色味の山形斜文は、今までにも何度か制作してきましたが。
タテのグレーが赤味か青味か、濃いか薄いか・・・ヨコの青磁色ももう少し深くなると、
全く印象が変わります。
iwasakiに「全く同じ」は作れませんで。
もちろん、毎回データはとってありますが、絹糸自体がその時々で違うので。淡い色は特に。
前回と同じ濃度の染料を用意しても、使い切らないうちに上げてしまう事も、その逆もあります。
要は、相手が天然のものだから、こっちも天然力(!?)をフルに発揮して(笑)、「今回はココっ!」
というのを見極めないといけないのです。。。
「ココ!だよね?ココだね!」と二人がかりで摺合せして。

年を取ると。
眼はショボショボだし、感覚は鈍いし、集中力は続かないし・・・。落ち込むことばかり。
せっかくiwasakiを信じて・・ご注文くださるお客様が現れてくださっているのに。
そんなお客様を、がっかりさせてしまうコトだけはゼッタイしたくないので。。。
こう見えて(!?)実は、日々は必死(笑)。
「あの頃がピークだった」なんて過去は作りたくないので、なんとか今日が一番、
何がっても今が一番を心がけて。ひとつひとつ。
どうかKさまのイメージに近いものであって欲しいし、Kさまにとって愛おしい帯のひとつになって欲しい
と願うばかりです。

銀河絹の山形斜文八寸帯地は、ヨコ糸にキビソ糸を入れたタイプのほかにも生糸のタイプもありまして。
写真奥は、その生糸タイプ。
ライトグレーに、ヨコのこげ茶がシャッキリと。同じタテ糸で、小粋なお姉さんが生まれています。

何度制作しても、毎回初めましてな発見がある・・・それはとても幸せな仕事かと。
たぶん、私(エツコ)が認知症でなければ!(汗)。


# by senshoku-iwasaki | 2017-09-29 23:17 | 着尺・帯
またまた模紗のショール・ロザを織っています。
夏から8枚ずつ制作している模紗のショール、今回で3回目。
今回はチョットだけリッチなタイプでして。
ヨコ糸のウールがカシミヤなどの高級ウールとシルクだったり、シルク100パーセントだったりと。
肌ざわりが違うと、纏う季節も時間も長くなります。。。
f0177373_20102634.jpg
グレーは以前、町内万沢地区の神社の境内で伐採された桜の皮で染めた渋めの色。
そこに酸性染料で染めた、キレイ目のピスタチオやチョコを散らして。
f0177373_20103547.jpg
ピスタチオやメロンの星降る夜のようです。
模紗のショール、シルクだけのタイプは実はあんまり作っていなくて。
以前制作したときに2枚だけ作ったのですが、それをお使いくださっているお客さまから
「すごく重宝しているので、また是非作って!」と、3年くらい前から・・・。
・・・そうだった。模紗は夏向けの多い織りだけど。
ショールだとiwasakiでは、ふわっとウール中心にすることが多くて。。。
でも今回は。
シルクでもまわた系の、ふわっと温かいシルクをたっぷりと使って。
明るめ渋め。今年の冬も、ロザをグルグル巻いて・・・心躍る季節となりますように!



# by senshoku-iwasaki | 2017-09-27 21:33 | 纏う布・暮らしの布
2017・秋の『ゼリーのミルフィーユ仕立て』は、三姉妹。
10月12日から始まる、染織こうげい・神戸店さんでの展覧会に向けて・・・。
先日織り上がった秋の新作九寸帯地は、なんとなくムーミン谷です。。。
f0177373_20032818.jpg
これは最後に織り上がった末っ娘。
凍った湖に、スニフとミーの声が聞こえてきそう。

息子が3歳くらいの頃、とにかく毎日のように図書館から借りてきた『楽しいムーミン谷』のビデオを
しつこーく何度も観ていたのを思い出して。
なんだったか、こちらのほうはすっかり内容がごちゃ混ぜになってしまっているのだけど・・・。
ニョロニョロたちが、キラキラと噴水のように飛び出して遊ぶシーンが浮かんだり。

過ぎてしまえば何もかも。
キラキラとした真っ白い光のように・・・
見えそうで見えない、思い出せそうで思い出せない、ステキなモヤモヤになってゆくのかも。

ステキなモヤモヤの真っ最中は、落ち込んだり笑ったりの連続なのに。
毎日って、そんなに変化に富んでいるわけではなくて。
こんな風に。
同じような、違うような、ちょっと変わりダネが入ってきたりしながら・・・重なっていって時となり。
積み重なったゼリーたちが、かけがえのない月日たちとなりますように。
そんなことを考えながら
思った以上に急に細くなったり、太くなったりする座繰りの玉糸に戸惑いながら、魅せられながら。
ポコンポコンと。丸いあぶくのような、ステキなモヤモヤ・・じゃなかった、ゼリーを織り重ねました。




# by senshoku-iwasaki | 2017-09-23 22:48 | 着尺・帯
ご注文いただいた、銀河絹の山形斜文八寸帯地2種。
春に展覧会をさせて頂いた、染織こうげい浜松店さんで・・・。
iwasaki定番の山形斜文をご注文くださった、MさまとKさま。秋までに、とお約束して。
お二人とも別の日に、それぞれお好みとご希望を伺ってお承ったのですが。
偶然タテのお色が同じだったので、今回はお二人分の制作となりました。。。
f0177373_20092708.jpg
Mさまは、ヨコ糸にツルツルの少しセリシンを残した生糸を使って。
キリッとシャキッとスッキリと。
タテは宮坂製糸さんの銀河シルクを紺色に染めて、ヨコはライトグレーです。
f0177373_20132153.jpg
Kさまは、着付けの先生をされておられて。
普段は半巾帯を締めることが多いから・・・と。
前回は、やはり銀河絹の山形斜文で半巾帯をご注文くださいまして。「それがとても良かったの。」
「本当にヘビロテで使っていても、へたらないし。あの時に八寸を見て半巾をお願いしたから、今度は
初めから八寸でお願いしようと思って。この着物に合う色目を相談しようと思ってね・・・。」と。
落ち着いたラベンダー色の、お着物の端切れをお持ちくださって。。。
写真ではこれまた分かりにくいのですが・・・ヨコ色は、紫っぽい淡いグレーなのです。
Kさまはヨコ糸にキビソのタイプ。でもあんまり厚みが出ないほうが・・・とのことで、在庫として
僅かにあるキビソ糸の中からなるべく細めのカセを選んで。
どうにかこの帯のヨコ糸分に細めのキビソが足りてヨカッタ・・・。

キビソを入れた銀河絹の山形斜文八寸帯地は、まだ何点かご注文分がありまして。
それらを制作すると、キビソ糸のストックは尽きてしまいそうです。
Mさまのタイプのような生糸バージョン、ほわっとした風合いになるビス糸を入れたバージョン・・・
新しい定番をアタマに置きつつ・・・クニヒサ、今日織り上がったこの帯地を機から下して。
MさまとKさまの、イメージに近い帯地になっていることを祈りながらの検品でした。
気に入ってくださると良いのですが。。。







# by senshoku-iwasaki | 2017-09-19 22:24 | 着尺・帯
夏の終わりの来客。
ちょっぴり過ごしやすくなって、カメちゃんは外で日光浴(!?)中。
私(エツコ)は、緯吉野の九寸帯地を・・・2本目は、ムーミン谷の12月って感じだなぁ~なんて。
いつもの如く、勝手な妄想をしながら織っておりますと。。。
あれあれ、我が家の土間をピョコピョコ歩くのは・・・ひょっとしてクワガタ?
f0177373_20314455.jpg
いつの間に?どこから入ってきたの?結構立派なサイズでございますが・・・。

我が家の土間は、カメちゃんも寛ぐ場所だけど。今までにもヘビやトカゲ、雨が降れば沢蟹も。
床下の板を突き破って(!?)アナグマがやって来たことも!

外と内との境があんまり無い、この土間は小さな虫や、それを追ってトカゲやヘビも。
今はクモが多くて・・・朝になると、いろんなところに糸が張り巡らされて。
お彼岸の頃まで続く、生命力溢れる我が家の土間です。

中3息子は、この写真を見て「あぁ、やっぱりミヤマクワガタだな。ここはミヤマが多いんだ。」
「へ!?そーかな?これはノコギリクワガタじゃない?」クニヒサ。
「いや、父ちゃん違うのよ。このバッファローのような角は、ミヤマでしょう。」息子。
ん~。どっちでもいいんだけど、なーんか、どこかテキトーっぽくて嘘くさいのが気になる(笑)。
息子は小さい時から興味を示したのは、ウルトラマンくらいなもので。。。
昆虫も鉄道もロボットもスルーだったから。
何かひとつでも彼にあったらのならなぁ。。。工業系とか向いていたらよかったのに。
「あ、母ちゃん、夏休み明けの模試が返ってきたんだけど。。。」
「げっ!!前回よりも下がってるし。あーた、どーすんのよ!」塾代返せと角が出る私。
高校受験が近づいて。
優でも秀でもない、普通の普通。
あぁぁ・・。並なのは、タネも畑もですけれど(涙)。
持って生まれた生命力の強さで、もうこうなったらそれだけで(笑)!!どーにかこーにか
進路を切り拓いて欲しいと・・・切に願う私。









# by senshoku-iwasaki | 2017-09-14 22:45 | 岩崎のある日
機から下したばかりの、新作八寸帯地は。
オールニッポン、全部がジャパン!?
青木間道をモチーフにしたシリーズなのですが、『新しい』が織り込まれています。
f0177373_19210990.jpg
iwasakiが八寸帯地のヨコ糸に使用してきました、キビソ糸とも呼ばれる緒糸が在庫僅かとなりまして。
国産のキビソ糸はほぼ無く、中国のものを購入してきましたが・・・。それも底が見えてきて。。。
新しく長野の宮坂製糸所で作り始めた、『トルネードシルク』と名付けられたビスと呼ばれている
部分の糸を試験的に使ってみました。

キビソは、生糸をとる際に糸口を探す・・最初の繊維で作った糸。
ビスは、生糸をとった後のキレイな糸のとれない・・蛹の周りの最後の部分で作った糸。
どちらも再生の絹糸になるので、以前はB級とされていましたが。手間がかかるので現在はA級な糸です。
しかも今回は。
宮坂さんの社長さん自ら試行錯誤を繰り返して生まれた、見た目はB級。されど心意気はA級。
今回タテ糸には、やはり宮坂さんの銀河シルクなので・・宮坂尽くしな一品に。

ただ、まだ課題もありまして。
ビスはキビソに比べてどうしても柔らかく、そしてまだ太さも安定しておりません。。。
これには、こちらでピッタンコな(笑)規格をよーく考えて。また、宮坂さんも私たちが使いやすい太さを
作ってくださるとのことで・・・もっと進化したいと思っているけれど。
今は精一杯の糸力(いとぢから)を信じて引き出したつもりです。

『トルネードシルク』が届いたとき、当たり前のように「チョーチョッパ有り」「チョーチョッパ無し」と
メモ書きがされていまして。チョーチョッパ?ああ。糸にちょんちょんとついた眉の蓋のような部分のこと
かな、とは思ったのですが。
先日社長さんからお電話をいただいたので、それを伺うと・・・。
「蝶々の羽のようなので、『ちょうちょうは』それがいつの間にか『チョーチョッパ』って(笑)。
業界用語になってるかもしれませんね。みんな普通にそう呼んでいました(笑)。」

今回3本の八寸帯地を織りまして、『トルネードシルク』を使ったのはこの1本のみですが。
小さな蝶々が羽ばたくように・・・少しずつ前に進んで行こうと思っております!







# by senshoku-iwasaki | 2017-09-11 22:45 | 着尺・帯
2017・秋の『ゼリーのミルフィーユ仕立て』九寸帯地。
緯吉野の九寸帯地を織っています。
今回ヨコ糸は、太い細いがかなりある節糸です。
f0177373_20284938.jpg
凹凸を感じたり。光沢を感じたり。ちいさな縞を感じたり。
そしてほっこりと。秋も感じる温かみのある質感になっております。。。

昨年の年明けのころ生まれた『ゼリーのミルフィーユ仕立て』は、ゼリーが幾層か重なっているように
色がストンストンと乗っかっていきます。

緯吉野と呼ばれるこの織りは、糸の入れ方で見え方がかなり違って見えるところが気に入っています。
ぷっくりと膨らませてみせたり、かっちりとシャープにエッジを効かせたり。

今回は3本分のタテ糸を機にかけましたので。
3種の『ミルフィーユ仕立て』を制作します。

10月に今年も染織こうげい・神戸店さんでの展覧会がありまして。
今年の夏は、『絞り絣』はお休みして・・・新しい九寸帯地と、新たな八寸帯地にも!
クニヒサと。今取り掛かっているものの次の次の次(!?)の企画会議をしながら・・・増殖中です。



# by senshoku-iwasaki | 2017-09-07 22:04 | 着尺・帯
少し乾いた、秋風に吹かれて・・・。
Kさまの杉綾織りの着尺を織り上げて。
次に掛かる九寸帯地のタテ糸が、機にかかるまでの間・・・。
織り上げた模紗のショール・ロザの房を、せっせとヨリヨリ。
出来た傍から仕上げを少しずつ。
クニヒサが織ったものは、私が織ったものとは少し雰囲気が違います。
でも織った本人でもこの頃は、どっちがどっちかワカラナイこともあるので(笑)。似てるから
これがわかったら、かなりのiwasaki通です。
f0177373_19595806.jpg
9月に入って。
少ーし空気が乾いて。
季節がゆっくりと冬に傾き始めるこの時期の、風の匂いが中学生の頃は大キライでした。
喘息持ちだった私(エツコ)は、秋は発作の季節。
気温、気圧、花粉に、当時は公害(!?)の変化激しいこの季節は、夜中の発作で。
気が付くと、病院のベッドの酸素テントの中・・・なんて真っ暗な中学時代を送っておりましたが。

有難いことに、大人になる頃にはすっかり元気になりまして。
今はこの、中途半端でビミョーな、暑いような涼しいような『間の季節』が愛おしくてなりません。

中3息子は、来週末に迫った文化祭の出し物の中で・・・江戸時代の寸劇があるそうで。
なぜか刀鍛冶職人に扮する息子と、侍役の子とののロケ地にイワサキ家と・・・。鍛冶といえば!
と巻き込まれてしまったのが、アトリエプラトーの川合さんで。(あぁぁ・・申し訳ないっ)
お忙しいなかを、仕事場に子供たちを入れてくれるよう片付けてくださって。
更に刀のように途中まで作っておいてくださって!
お陰様でとても本格的な画が撮れたそうで・・・。
イワサキ家の土間や、和室でも今日いろんなシーン撮りを。生徒会のメンバー8名と先生と。
和気あいあいと、そしてとても真面目に真剣に取り組んでおりまして。
そんな経験は共にゼロの(笑)、イワサキ夫婦は隣の工房で帯地を一緒に機にセットしながら・・・。
ちょっぴり羨ましく、いや、かなり照れ臭く(!?)親とは全く違う息子を隣室に感じて。

そういえば48歳の自分自身も。
中年とも壮年とも・・・うーむ。最近は、ちょっと老年にも近づいた実感もありまして。。。
人生の季節もゆっくりと。夏から冬に傾き始めている『間の季節』だからこその愛おしさなのかも。




# by senshoku-iwasaki | 2017-09-02 22:22 | 纏う布・暮らしの布
Kさまの杉綾織りは、写真が難しいです。。。
タテはシルバーグレー、ヨコにはこんなピスタチオが入って。
見る角度で様々な見え方、色の感じ方が違う杉綾織りの中でも・・・。今回はとびっきり!?
実際はもう少し萌黄色なのですが・・・写真だとグレーが勝って見えています。
f0177373_20110434.jpg
昨年の染織こうげい・神戸店さんでの展覧会のときにご注文くださったKさま。
iwasakiの杉綾織りサンプルの中から、意外(!?)な組み合わせのこのカラーをお選びくださって。
サンプルのときはほんの2寸ほどだったので、
タテヨコの色が馴染んでいるかどうかが少し心配だったのですが。
こんなにもシックに馴染んで『織り成す』色味というのがあるのかぁ~!と再発見。
今回の発見は、もうひとつ。
Kさまのご希望で、切り返しが3.5㎝2.5㎝1.5㎝と変化するというのも実は初めてでして。
いつもなら同じ幅ずつ切り返すので、見え方が違うのです。

織物は、どこまでも奥が深くて。
こんなに似たようなモノばかり、毎日毎日織っているにも拘わらず。
自分がバカだからかもですが(笑)、本当に。全然わかったような気にさせてもらえません。
25年やっていても、まだまだ毎日に発見があるのです。
だからきっと、こんなにも単調に見える仕事なのに・・・織り以外の事と同時進行が出来なくて(涙)。
これはやっぱり私(エツコ)が、とびっきりのバカだから(トホホ)なんだけど。。。
機に向かうと、ムキになってしまって。
それでも子ども等の学校関係とか、隣保のこととか忘れちゃいけないコトはかなり意識していても。
自分のコトとなると、すっかり抜けてしまって・・・。
あっ!!健康診断が今日だった・・・ガーン。





# by senshoku-iwasaki | 2017-08-28 22:38 | 着尺・帯
今日から新学期も始まって。
我が家の、中学生の子ども等の夏休みも終わりまして。
慌ただしく・・・iwasaki家の夏が終わりました。
f0177373_20104759.jpg
23年間一緒に暮らしてきた2匹のカメちゃんたち。
夏場の暑い時間は、こうして少しひんやりとした土間で・・・活動的に動き回るのですが。
蔵前から戻った翌々日、キバラガメのキイロちゃんが眠るように天国に逝ってしまいまして。
昨年からおじいちゃんみたくなっていたのと、このところ食欲が全然無いのが気にはなっていたのですが。
写真は、残されたミドリガメのミドリちゃん。

カメはあんまり懐くコトがありませんので・・・。
それでも大事に家族として過ごしているつもりなのですが。
「ミドリちゃーん!」といっても無反応。
キイロちゃんのほうは、亀の子だわしでゴシゴシ洗ってあげると気持ちよさそうにしてくれていましたが。
ミドリちゃんは、それはあんまり好きじゃないようで・・・(笑)。
カミツキガメのような形相で(笑)、未だに私に威嚇することがあります。。。

そんな、どこまでいっても距離感が近まらないカメちゃんでも。
私(エツコ)の喪失感は、どうも日増しに高まって。
やっぱり私には・・・イヌやネコは、ハードルが高すぎる動物だと再認識してしまう日々。

嗚呼、息子に娘。
もうすっかり子供たちも手を離れてしまって。チビッコだったときが、ただ懐かしく・・・。
こうなったら。
カミツキガメの形相で威嚇されても、無反応でも。
ミドリちゃんを溺愛しまくってやろう・・と、一人甲羅をなでなでする私。




# by senshoku-iwasaki | 2017-08-25 22:44 | 岩崎のある日
夏の、10日間集中大掃除。
iwasaki史上初の10日間という、超(!?)大型連休を、無理矢理(笑)作りまして。
蔵前の増孝商店の上階に、来年からiwasaki一家が暮らすスペースを確保するための大片付けに。
f0177373_21374951.jpg

そこは、増孝商店が玩具問屋だった頃のオフィス部分であり、社員さんたちの更衣室でもあり、
応接室でもあった階でして。
本と人形が大好きなクニヒサの姉が、20年ほど前に結婚するまで過ごした部屋もあり・・。
玩具問屋を閉めてから35年ほど。私(エツコ)がヨメに来てから25年、恐ろしいコトに(笑)ほぼ
手つかずの物置と化しておりまして。

増孝商店時代のモノは、母に捨てる・捨てないを精査してもらって。
となると、ほぼ全部捨てる!を選択してしまうせっかちな母なので・・・。
ビンボー症の嫁は、「ババちゃん、それはダメです!使います!」
「エツコさん、ここは心を鬼にしないと片付きませんっ!」クニヒサ。
姉の本とお人形は、なんと40箱の段ボールとなって。せっせと上の階に運び込みながら。
ヘロヘロになりながらも、増孝時代のお宝たちを1階に避難(!?)させて。
エレベーター無しの、コンパクトな昭和の階段を・・・1階から5階まで。何往復したかしら(涙)。
f0177373_21380525.jpg
今回の一番のお宝は、亡き父が若かりし頃・・・それまでのMKマークの増孝商店のロゴに対して。
新しくデザイナーさんに作ってもらったという看板。「なんだけど、みんなにウケなくてねー。」母。
書類棚の裏から埃だらけで出てきまして。
ひょっとして、一番反応が悪かったのは母だったりして。

母が使っていた事務用机は、TOYOの1969年製。
「父つんたちが生まれた年でしょ?カッコイイじゃん、しょーこコレ使う!このロッカーも!」中1娘。
「でしょ!だよね~!書類庫たちも新居で使いたいと思って・・・。」せっせと磨きながら・・私。
「えぇ~っ!何もそんなきったいないモノ使わなくてもいいのにぃ・・・。」母。

3日かけて・・・どうにか床が見えてきて。粗大ごみも専門の業者さんに運び出してもらって。
10日間でどうにか空っぽに。
これでどうにか9月から・・・解体工事と改修工事をお願いできます。。。

昨夜遅く、南部町の家に戻りまして。
この雨続きに締め切った家は、なんだかカビ臭く・・・。そのまま掃除になりまして(涙)。
さっそく今日から巻き返し(出来るとイイんだけどなぁ・・・)の仕事を始めました。
築48年の昭和のビルと、築140年の明治の家と。
チャキチャキの母と、のんびりなヨメと子供たちと。
どっちの良さも手に入れる、贅沢なこれからになりますように・・・。と年季の要った神棚を磨きながら。
さてさて。
まずは今からの仕事が・・・。(汗)。




# by senshoku-iwasaki | 2017-08-20 23:40 | 岩崎のある日
先日お納めさせて頂いた帯二種。
Tさまの吉野格子九寸帯地と、Iさまの緯吉野八寸帯地、それぞれキレイに仕立てて頂いて。
いつものことながら、帯地だったときとは別人(!?)別モノとなって帰ってきまして。
お届けする前に記念撮影。。。
f0177373_20223802.jpg
爽やかなブルーと、深紅が交差する吉野格子。
増孝商店・梅雨場所でご覧頂いたTさまは、とっても喜んで下さって・・・。
秋以降・・・お召し頂けるのを楽しみにしております!!
f0177373_20231257.jpg
そして・・・。お仕立ても(無理を言って・・・涙)急いで頂いた、Iさまの絹と麻と科の八寸。
仕上がってきた翌日に、ちょうどIさまのお宅の近くに行く用もあり・・すぐにお届けが出来まして。
Iさまにとっても喜んでいただいて、心からホッとしました。
「でもIさま、もし次があるとしたらその時はじっくりお時間くださいねっ!」とお願いを・・・。

織物制作者としましてはいつも。
多くのプロをリスペクトしていますが、仕立ててくださる方には殊更。
Tさまの九寸帯地などは特に、丁寧な地直しがあって、あのようなピシッとした格子になっておりまして、
手織りは特に、どうしても右と左とではゆがみが出てしまうのです。
ekkaとして長年・・サカタと、コートやジャケットを作ってきましたが・・・。
サカタからいつも聞いていたのが、織るのと同じくらい時間のかかる地直しの作業の話。
なので・・・。
iwasakiでお仕立てまで依頼された場合は、知り合いのお仕立てのプロの方々にお願いするのですが。
真のプロだけに、皆さんお忙しいのは熟知しておりますので・・・『お急ぎ』はお願いできません。。。
なるべく余裕を持ってお願いしています。
そんなこちらの気持ちをまた汲んでくださって、本当に丁寧に仕立ててくださいます。

まずは糸になる素材から糸になるまで、糸(原糸)から使いやすい太さにする撚糸(ねんし)、精錬、
iwasakiが使う糸一本とっても、多くのプロの手が関わって。
iwasakiで染めて織って・・織物になったら、ゆのしのプロを経て、それをカタチにしてくれるプロへ。
たくさんのプロの手によって・・・完成、・・・じゃなかった、
これから。
ユーザーさんの手によって、最後にユーザーさんの一部となって完成形となります。

これを仕事に出来て、本当にヨカッタ。
仕立てあがった着物や帯を、たとう紙を広げて見せていただくときは、いつも。
ひしひしとhandsを感じて感謝するひとときなのです。








# by senshoku-iwasaki | 2017-08-07 22:50 | 着尺・帯
久々に、『模紗織りのショール・ロザ』織っています。
タテ糸に着尺で使っている、玉糸や生糸、節糸などなど・・。
ヨコ糸にはウールをベースに、所々に絹を散らして。
夜空に地味に、鈍く微かに、だけど確かに輝く炉座のように。

模紗織りは透け感があるので、よく夏用の織物に用いますが。
ふわっと軽く、空気を孕む暖かい織物として・・・iwasakiでは秋冬向け用としても用いています。
f0177373_20222335.jpg
今年は。
秋に『染織こうげい・神戸店』さんでの展覧会と、愛知の『雅趣・kujira』さんでのグループ展と。
暖かな纏う織物も!と、嬉しいリクエストがありまして。
ご注文の杉綾織りの着尺をひとつ織り上げて。クニヒサが次の準備にかかる間に・・・久々の摸紗織りを。
織っていると、ウールだからお腹回りがより暑くてぇ~。それでなくてもこの頃たっぷりの脂が(トホホ)。
トントンの振動で(笑)、少し燃焼してくれたら有り難いんだけどなぁ・・・。

例年だったら、家族で夏のビンボー旅行に出かけている頃ですが・・・。
これまでのツケが溜まりまくった中3息子(笑)と、
そうはなりたくない(!?)中1娘はそれぞれに忙しく。
なんでか夏休みに入ってからのほうが、早朝から弁当づくりに始まって、それぞれの都合の送り迎えと・・・
あれあれ、親のほうがもっと忙しかったりして(涙)。

それでも今月中に。
来年から暮らすことになる、蔵前のクニヒサの実家の一部を、リノベーションが出来るように大片付けを。
なんとか10日間で!(出来るのかなぁ・・?いや、もう時間が無くて・涙)せねばならず。
その分の時間を差し引くと。
そういえばもう何ヶ月も・・・。休日が無い気が。

この模紗のショールを、グルグル巻き付けたくなるような木枯らしの頃には・・温泉にでも浸かりたいなぁ。





# by senshoku-iwasaki | 2017-08-02 22:46 | 纏う布・暮らしの布
吉野格子九寸帯地・『板チョコに銀紙』の第2弾。
原糸布を彷彿させる・・・八寸帯地を織り上げて。
クニヒサ、今日から取り掛かりましたのは吉野格子の九寸帯地です。
f0177373_19255080.jpg
春に『板チョコに銀紙』という九寸帯地を制作したのですが、今回は前回よりもストイックに(!?)。
より、板チョコっぽい格子になりました。
今回のヨコ糸は、玉糸でも前回のときよりも太い細いがハッキリしているので、ややざっくりと。
秋らしい質感になっているように思います。

「1本目はこんな感じで、波長の違う色は入れないつもりなんですけどね。
2本目はどうしようかなぁ・・・と思って。」最近織る時だけ眼鏡を累進レンズの近々にしたクニヒサ、
違和感があるのか眼鏡に手をあてながら。
「たまに生協で出るんだけど、アタシ『大人のチョコレート』っていうのがあって好きなの。
クーベルチュールチョコにブルーベリーに全粒粉のビスケットチャンクが入ってて・・・。」私。
「いつの間に?知らないところでコソコソとつまんでるからエツコさん、益々大きくなってますよ。。。
そんな話じゃなくて、私の話を聞いていました?」クニヒサ。
「ちゃーんと聞いてるって(笑)!だから~、大人のご褒美といったらブルーベリーだってば。
このチョコ色に、シックな差し色といえばブルーベリーのような紺もイイんじゃない?って話。」私。
「あぁ。なるほど。じゃ、最初からそう言ってくださいよ。ブルーベリーね。」クニヒサ。

Rさまの杉綾織りの着尺を、ようやく織り上げるところの私。
タテ色が濃紺だったせいもあり・・・タテ糸がナカナカ糸が見えにくくて。
おまけに連日の暑さと、夏休みに入ったもののそれぞれに忙しい子どもたちの予定に振り回されて・・
織り進みのペースは、かなり落ち気味(涙)。
こうなると。
お眼目にもどんより気分の私にも優しい、ブルーベリー入りの『大人のチョコレート』で補給しないと!





# by senshoku-iwasaki | 2017-07-29 20:53 | 着尺・帯
Iさまの『絹と麻と科の緯吉野八寸帯地』。
Iさまにご注文いただいていた・・・自然布のような八寸帯地は、無地ライクで。
タテに赤城の節糸、銀河シルク、リネン。ヨコにはキビソ糸に銀河シルク、苧麻、科と。
真夏に締められるよう、透け感を持たせて。
f0177373_20133096.jpg
自然布とか原糸布とか呼ばれるものには、芭蕉、藤や葛、科・・といったものがありますが。
どれもまず糸を績むのが大変時間のかかるものなので、糸として殆ど流通していないものたちです。
今回Iさまは、最初にお話しを伺ったときに「科布のような・・・」とおっしゃっていたので。
僅かに手に入った科の糸を散らして。
「iwasakiらしく」となると、やはり絹との交織かと。
科だけよりもしなやかで、糸感がさまざまに見えると・・・複雑な光も見えてきまして。
緯吉野で、赤城の節糸を使ったボコボコとした八寸は、『アカギブシノコブシ』や『brown sugar』
といったシリーズを作ってきましたが。今回はまたひと味違う質感です。。。

今回の『絹と麻と科の緯吉野八寸帯地』、Iさまのこの帯ともうひとつ。
段を入れたより・・iwasakiっぽいタイプをクニヒサ、制作いたしました。
素材感たっぷりの夏向け八寸、梅雨は明けてしまいましたが・・・。
Iさまのイメージにピッタリだとイイなぁ・・・。

# by senshoku-iwasaki | 2017-07-24 21:30 | 着尺・帯
その手は千葉の(笑)、やき蛤。
大坂屋さんは、私(エツコ)が生まれ育った千葉市にある、老舗のやき蛤屋さんです。
実家ではお盆と暮れの季節になると・・・贈り物に、そして自宅用に。
呑兵衛の父はやき蛤があると、嬉しそうにいつもより更に(!?)呑んでいたのを・・・思い出します。

先日思いもかけず・・・千葉に暮らす上の兄から届いたのは・・・。
なんと!大坂屋さんのやき蛤の缶詰!
何度か登戸の本店に伺ったコトもあったけど、初めて見ましたっ!なんともステキなパッケージ♡
あぁぁ。にっちゃん(兄)もこのパッケージにやられて(笑)、私に送ってくれたのか・・・と。
f0177373_19340195.jpg
「おっかさんに頼まれて、大坂屋の入ってるペリエに連れて行ったのよ。そしたらひっそりと。
置いてあったのよ、この缶詰のギフトセット。オレも初めて見たんだけど(笑)。
手づくり感半端ないこの感じを見た瞬間、えつが浮かんで。おっ!あいつ誕生日じゃんっ!と思って。」兄。
「えぇ~っ!ウレシイよぅ。祝う歳でもない、アタシも48よ。人生50年よ・・・」私。
「おぉぉ。48か。オレも還暦間際なわけだ(笑)。」兄。
・・・なんて淋しい会話を、久し振りにしまして。

息子がまだ小さかった頃、「かぁたんとにっちゃんは似てる」と。「そお?どこが?」って聞くと、
「ポンコツ好きなとこ!」と言われたコトがありましたが(笑)。確かに面白いと思うツボは同じかも。
この缶詰めは、勿論ポンコツではありませんが。
手焼きの高級なやき蛤を、さも高級でゴザイマスなパッケージにせず・・・なんともアジアンテイストな
レトロなデザインの巻紙を張り付けているあたり・・・かなーり惹かれます。

『カモメ印』というのも。本店のある千葉市登戸のあたり、国道14号は兄の生まれた
昭和30年代は海で。大阪屋さんはちょっと高い所にあり、海辺のお店だったそうなのです。。。
私が生まれた頃には・・・もっと海の中だったところまで!団地だらけのニュータウンとなっていましたが。
f0177373_19342509.jpg
缶を開けてビックリ!ぎっしりと。なんと串焼きのあのやき蛤がキレイに詰められています。
f0177373_19344867.jpg
一缶に20本以上の、やき蛤。大坂屋さんのあのお味。
暑いこの季節、冷たいお茶漬けにもピッタリです。
旨味と郷愁がいっぱい詰まった、大坂屋さんのやき蛤。味だけでなく缶好きの私のハートまで串刺しに。


# by senshoku-iwasaki | 2017-07-21 22:13 | 岩崎のある日
Rさまの杉綾織りの着尺。
昨年、染織こうげい・神戸店さんで、iwasakiの銀河絹の山形斜文八寸帯地と、
この杉綾織りの着尺をご注文くださったRさま。

春に先に八寸帯地を制作させていただいて。
その際には「先日こうげいさんでいただきました。とても嬉しいです・・・着尺もお待ちしております」と、
ほんとうに。恐縮してしまうほどうれしいお便りを頂戴いたしまして。
先週からRさまの着尺を、クニヒサと機にセットしておりました。
f0177373_20040386.jpg
タテが渋めの紺で、ヨコは玉糸のシルバーグレーなので、光沢感があります。

実はこの着尺。
クニヒサが綜絖通し、筬通しがほぼ終わるころ・・・私(エツコ)は中学生の子供たちの三者面談で。
『三代目豆象』と呼んでるサンバーで、ご近所で不注意な自損事故を起こしてしまいまして(涙)。
電柱にぶつかり、豆象は廃車になってしまったものの。私は軽い打ち身で済みまして・・・。
駆け付けたクニヒサの第一声が、「とりあえず手が無事でヨカッタ!!」
まったく何てことだ・・と、これ以上落ち込めないくらい自分自身に対して落ち込みまして・・・。
でも。有り難いことに手が無事でしたから、翌日からこの着尺に取り掛かることが出来まして。
一週間が経ち、ひしひしと。
Rさまの着尺を織ることが出来る喜びで、立ち直っていることに気づきました。

この着尺に助けられましたから、精一杯心を込めて(打ち込んで)織り上げたいと思います!!
あ・・でも、これからは更に運転には気をつけて(汗)。




# by senshoku-iwasaki | 2017-07-19 21:35 | 着尺・帯
きつつき工房・華子さんに作って頂いた消しゴムはんこで・・・。
商品タグを、空いた時間にペタンペタン・・・。
iwasakiの着尺や帯には、織り生地に証書の類は一切貼り付けておりません。
ナントカの証とか伝統的手織り工芸品とか・・・そんな有難い肩書もありませんし(笑)。
何より、せっかく織った生地。
終り部分とはいえ、ベタベタ糊くっつけて紙を貼る気にならない・・・のが本心でして。
iwasakiの反物は、なるべく織り柄のまま最後まで。
仕立てて残った生地は、たとえどこの誰が織ったモノかわからなくなってても。
できればその着物や帯が、直してでももっともっと!着たいものとなってくれていて。
全ていつの日かの補修用に使えるように・・・と希って。
f0177373_21113404.jpg
なので。
iwasakiの帯・着尺についているのは、このきつつき工房・華子さんの消しゴムはんこが押された紙に。
私(エツコ)が、20年以上愛用の『筆DEまんねん』でタイトルと材質や価格等手書きした、
アナログなタグが・・・これまた織りの残り糸で、下げてあるだけです。

高尚な有り難い要素はゼロのiwasakiタグですが。ここにこそiwasakiが凝縮されています。
ブランドではなく、iwasaki夫婦の眼と手で選んだ素材と、それに最良だと思う組成で!
全力で制作しています。
質実剛健で堅牢なんだけど固過ぎない、イマドキでもあるんだけど懐かしくもある。
一見どうってコトないんだけど、実は結構考えて(笑)。
どうってコトある(と信じてる・笑)iwasakiの織物。

イチオシ!の太鼓判の証書は、ユーザーさんのココロに貼られますように!!


# by senshoku-iwasaki | 2017-07-14 22:47 | 骨子・背景
師匠の手紙。
日置先生は最近、墨絵のほかに版画を描いたりもされているので。
三渓園での『日本の夏じたく』展に、徳島で和紙を漉く中村功さんが出展されるようになった4年前から
味わいのある紙を、少し分けて頂いては日置先生にお送りしておりまして。

今年は紙漉きの一日の最後にしか出来ない、『サデ紙』と中村さんは呼ぶ紙を。
サデる、というのは方言で「落とす」という言葉らしいのですが。
もう漉くことが出来なくなった最後の液を、そのまま枠に落として一晩水を切って。
昔の紙漉きは、自家用としていたものらしいという・・・楮の皮の量も紙の厚みも違う、まるで太織りの
ような紙を送りましたところ、大変喜んでくださいまして。
先日・・郡上から好物の郡上ハムとともにこのお手紙が。
f0177373_21372390.jpg
先生のお手紙・・・。私(エツコ)、学生の頃より何度か頂いているものの。
まず一読では解読出来ませんで(オヨヨ・・・)。
3回読み返して、一晩寝まして。翌日また読んで・・・。
なので届きましたのお電話は、必ず翌日になってしまいます(笑)。
今回は、以前お送りした杉の紙に、梵字が書かれたものも同封されていて。
お手紙によるとその文字は、江戸初期の真言宗の澄禅(ちょうぜん)律師が書かれたものを写したとの
ことで。先生は、真言宗という厳しい戒律の中にあっても、梵字を美しいアートにまで独自に高めた・・
澄禅律師の規格外の美意識と、遊び心にとても惹かれているとありまして・・・。
中村さんのゴツゴツとした杉の和紙に、日置先生が手探りで作った杉の木のヘラのような筆で。

あぁ。
やっぱりどこまでも日置先生なのだなぁ・・・と。写しをしても日置先生なのです。
『超える』という言葉を大切にしていた、大師匠の宗廣力三氏もまた同じで。お二人とも既存の概念には
囚われない、柔軟さを持ち合わせた方々。先生のお便りで初めて知ったけど、きっと澄禅律師も。

日置先生のお便りは、常に進化していて。いつまでたっても追いつけません。

# by senshoku-iwasaki | 2017-07-08 23:37 | 岩崎のある日